ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

いじけとんぼ…

2010-02-06 18:06:59 | 着物・古布
*すみません、さきほど来客であわてて、途中でアップされてしまったようです。
 書きかけ状態でお読みになられたかた、すみませんでした。


我が家の裏庭、とんぼおばさんはただいま「これ」を探しています。
春のお便り、ですねぇ。


   


コメントをくださるakklmam様のところに「ふきのとう」を探しに…
というお話しがありまして、おぉウチの裏もそろそろ…と。
夏場は、草取りやらで裏に回ることも多いのですが、
寒い間はつい行かずじまいですごしてしまいます。
ありました、4つばかし…食べごろもあるのですが、ひとつふたつじゃ話になりません。
花がさいてからも使えますから、今日のところは数を数えただけでおしまいにしました。
正直なもので、写真のように日の当たるところだけ一列に…。
角をまがった日陰はまだまだ葉も少ないです。

着ているのは例の「端縫いのひっぱり」、薄いけど綿が入っているのであったかいです。
これをひっかけてゴミ捨てに行くと、時々視線を感じます。
お若い方は「何これ視線」、お年のかたは「あら懐かしい視線」…。
「はーい、よろしおすやろ、ぬくいでっせぇ」と、心の中でお答えしとります。
いつもは、割烹着だけで、ささっと捨てに行くのですが、
昨日今日は冷えて冷えて…バケツの氷5ミリです。


さて、昨日のお話の続きをしてみようと思います。
私の書き方も言葉足らずですので、正絹礼賛みたいになってしまったかもしれませんが、
そういうわけではありませんので。

実際、今の時代はほんとにしあわせな時代で、いろんなものを目的別に選べます。
母なんぞの時代は、選びたくてもモノがない、モノはあってもお金がない…だったと
昔話を話しておりしました。選べるならしっかり選びたいと思うわけです。

「今の着物事情」には、いろいろモンダイがある…と、昨日の最初に書きましたが、
もう一つの問題点として「個人でメンテができない」と思われていることがあります。
「解けない」「洗えない」「縫えない」ですね。
そう思うと、どうしても「洗える」というのはありがたいことで、
私もポリ着てますから、それは便利だと思っています。
洗濯機でガーラガラ、ホイッと干してすぐ乾く、シワも何にもきにならない。
ついでのことに「ポリ」だと思うから扱いも軽くなって、
野袴の下に着るポリは、中着としてばっさりひざ下で切ってしまいます。
絹ものなら抵抗あって、そうは切れませんねぇ。
単純に価格ばっかりじゃなくて、つまりこれが「価値観」ってものなのだと思います。

本来着物は、解いて、洗って、仕立て直して、長く着るものなわけですが、
今はそれをするのはプロがほとんど。これでお金がかかってしまうのですね。

また話が散漫になりそうなので、順序だててお話ししましょう。
まず、着物、特に正絹モノは、着るたびに洗うことはありません。
その人の着る頻度にもよりますが、だいたいスーツなどと同じで、
毎日同じ絹物を着倒すことは、そうそう無いわけで、たいがいは着まわします。
絹でも木綿でも、脱いだらハンガーにかけて「さぼし(風にあてて湿気をとること)」て、
その日につけたシミなどがないかどうか確認。ほこりも払いますよ。
下げっぱなしもいけません。重めちりめんなどは重さで縫い目が狂ったりします。

これでしまえばいいわけで、何回か着たらまず「生洗い」、
これは水ではなく着物用の溶剤、ついでにこのときシミなどもチェックしてもらいますが、
生洗いだけでは落ちないシミもあります。そういう時は悉皆をお願いします。
ついでに古着、譲られ物などで、出自がはっきりしないものは、
布力があるかどうかもみてもらうといいです。布の寿命の鑑定ですね。
次の段階が洗い張りですが、これは水で洗います。
ものによってはここで繰り回しを考えければならないこともでてきます。
つまり「解いて洗ってみたら、弱っているところがある」など。
そして、仕立て直しをしていただくわけです。

今、洋装の暮らしをしていると、たとえばよく着るブラウスとかスカート、
パンツ、ジーパン、いろいろありますが、たいがいは家で洗ってますよね。
最近はスーツまで洗える…。
でも、それってやっぱり「リーズナブル」な価格で手に入れたもので、
高級なフォーマルとか、スーツ、コートなどはプロに頼みますね。
この感覚で着物を見ると、なぜか着物はポリ以外全部「高級品の扱い」に入ってしまう。
でも、着物だってまったく何もできないわけじゃありません。

まず、振袖や訪問着は、洋服でも「クリーニング」にだすものと同じ扱いで。
そして普段着るものは、ものによって自分でできるお手入れがいろいろあるわけです。
そのとき「洋服のように着るたびには洗わない」のが着物というものなわけです。
昔の和裁関係の本や付録を見ると、裁縫道具の紹介や地のしの方法などとともに、
「普段のお手入れ方法」が載っていることが多々あります。
ベンジンやアンモニアなどを使って「外出から帰ってきたらこうやって」とか
「シミになったら」とか「脇汗の落とし方」とか、いろいろ書いてあります。
子供のころにも、いつも棚の決まった場所にベンジンがおいてありましし、
母はいつも固く絞った手ぬぐいとか、小さい歯ブラシとか横において、
あれこれ手入れをしていました。

でも「固く絞ったタオルでどうのこうの…」とあっても、つい心配になるものですが、
万が一失敗してさらにシミになったら、そのときはプロに頼む!
とりあえず、普段に着ているものは、少しでも洗濯のかわりになることを
こまめにやってみることです。

そのためにはまず「素材」を知らねばなりません。
ちりめん系、お召し系は縮みの心配があります。訪問着などのものはともかく、
小紋などの袖口程度なら、あとで引っ張りながら湯気を当てたり、
アイロンなどの方法もあります。まずは、もう着倒しているものとか、
そろそろ洗い張りかなとか、そういうもので実際試してみるといいです。
「強い撚り糸(強撚糸)」をつかっていなければ、そんなに激しく縮むことはありません。
モスリンや木綿は、元々縮む性質がありますが「防縮加工」のしてあるものもあります。
会津木綿とか片貝木綿とかは、縫う前に湯通しをして、縮むだけ縮ませてしまう。
そのあとは縮んでも「ミゴトに10センチ」なんてことはありえません。
多少縮むことがある、ということだけは、認識しておいてください。

こんなふうにこまごま書くと「ほらぁ、だからめんどくさいのよ」と思う…んですよ。
ただねぇ、いつも着物を見ると思うのです、手間を惜しむということは結局損なんだと。
着物はなぜミシンで縫わないか(縫っているものもありますが)。
元々が何度も解いて縫い直すことが前提のものだからです。
ミシン縫いは、解くのに何倍もの時間がかかるのと、二本糸で両方から縫いますから
糸穴が大きくなり、縫い跡がはっきり残ります。ちょっと広げたいときも、
縫い跡が目立って表に出せません。
手縫いの縫い跡でさえ、何回も何年もやっていると「ヒケ」という弱りの穴になります。
ミシンはたった一度で、縫い跡の始末ができなくなるのです。
手でちくちくと縫うから、何度でも解いて洗えるわけです。
また、手縫いによって生じる縫い目の遊びが着物を守っています。
それが着物の特徴ならば、それを大事にすることが、結局はお得なんですね。
その延長として、自分でできることを少しでもやれたら、その分着物を経済的に
長持ちさせることにつながると思うのです。
紬の単や木綿などは、丁寧にやれば家で洗っても大丈夫です。



すみません、ちょっと予定外の来客がありまして時間がなくなりました。
中途半端ですが、今日はこれまでということで…。
この続きとして、またあれこれ書いていく予定です。

見送りに出たら、えっらいさぶくて…。今夜はお鍋ですー。

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14 コメント

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どーしてそんなに (蒔 糊美)
2010-02-06 16:54:43
 とんぼさん、イジケちゃったのか?と気になりました(笑)。

 私は特別、正絹信者ではなかったのですが・・・
絹は 涼しく暖かく、抗菌防臭。 着るだけなら一番だと思います。
 化繊は暑いし寒いしクサくなるし(私のせい?)。

 しかし京洗い・洗張り・シミ抜きくらいまではガマンできますが仕立が高すぎです。
ネットで安いところは海外のようですしね。
長襦袢&単くらいは縫えるようになりたい。お教室に行こうか・・・。
「運針」で挫折しそうです。   (恥)
返信する
たしかに...。 (akkomam)
2010-02-06 18:04:57
 着物の手入れの難しさはどんなに気をつかって
 手入れしていたと思っても、仕舞っておくと、なにやら
 あやしい影が出るときがあるのです。

 先日も式服を出してみましたら...で、慌てて
 呉服屋さんに持っていきました。
 きれいになって帰ってきましたが、要注意!!です。
 
 手入れ代もかなりかかりますので、和装、洋装を
 おりおりの楽しみにあわせて着る生活は楽しいけど、
 メンテにかかりますのが...です。

 <ひっぱり>温かいでしょうね。祖母が受験のときに
 作って送ってくれました。懐かしいです。

 <ふきのとう>おいしく初物いただきました。
 天ぷらやさんでいただいたときのように
 ちょっと蕾を広げて揚げました。
 ほろ苦さがくちいっぱいに広がり美味しく味わいました。

 とんぼさん、写真のは食べごろ!!ですって言ったら
 叱られるかもしれませんね。
返信する
Unknown (陽花)
2010-02-06 19:04:53
以前淡い色の縮緬小紋の衿が汚れて
クリーニング代の節約とばかり掛け衿を
外して家で洗いましたが、縮むし全体の
色が薄くなって凝りました。
とんぼ様のように伸子張りが出来れば
いいんですけど・・・

返信する
ふきのとう、おさきにいただきました~ (えみこ)
2010-02-06 19:39:24
去年から狙っていた日当たりのいい所、
ボールいっぱい摘んで夕方には
年に一度の天ぷらです。
一足お先の春の味覚でした。
とんぼさんとこも、もうすぐですね。
返信する
何でも洗いたい病 (こいけ)
2010-02-06 22:05:19
とんぼさま、読解力のない私のため(?)の補足、ありがとうございます。

普段の外出着ぐらいは自分で洗う洋装の生活をしていると、大して汚れていなくても何でも頻繁に洗いたい病にかかりますね。

母がクリーニングに出していたウールを自分で洗うようになり、さらに調子に乗って正絹の襦袢や単衣も洗って、案の定縮ませました。母は板張りや洗い張りして、仕立て直ししていましたのに。
返信する
手縫いとミシン縫い (裄雅)
2010-02-07 11:53:58
 着物のみならず、平安装束(狩衣・直衣等)にも、興味があり、こちらはどうしても既製品が少ないため生地から仕立てるのですが、手縫いとミシン縫いで値段に差が出るので、不思議に思っていたら解く事を考えて作られている訳ですか。(正絹の着物もそうですが、装束となると中の一部に紙を使っている部分もあるために、ポリであっても洗う事が出来ませんので。)

勉強になります。

良い物を買うのは、最終的に大事にするので長く持つような気が最近してきました。
返信する
着物のケアー (0tyukun)
2010-02-07 18:01:05
着物のケアーについてはとんぼさんのブログに詳しいので本職から申し上げる事も殆どありません。
ただ、絹糸は揉まれる事、摩擦に弱い事だけは知っていて欲しいと思います。
汚れが付いて驚きのあまりこすって汚れを落とそうとしますが、こするのは最悪。
こすれば糸がささくれだって修理不可能に。
汚れは本職に任せるべきですが、単なる「水型」なら素人でも修復可能です。
綺麗な端切れに綺麗な水をひたしてきつく絞り、上から叩いて外に広げます。
叩く事には絹糸は強めです。
裏からドライヤーで乾かせば大抵水型は消えます。

着物の素材としての生糸は輸入解禁以来価格は下落して高品質なウールの方が高くなっています。
最近は返って、絹糸にウールを混紡することでしわになり難い生地も開発されています。
正絹の生地より高価です。

ポリは先年の原油の高騰以来価格が大幅に上がっています。
中が空洞の最高級の東レシルックもしかり。
しかし、正絹は中国産の生地に押されて、丹後の機屋さんが手張りの生地を安く放出するので価格が下がり気味です。
不安定な時代はまだ続く様です。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-02-07 20:19:23
蒔 糊美様
あはは、そう、いじいじ…ふきのとう数えてます。

化繊って、モノによって妙ににおう場合が
ありますね。あれ、なんなでしょ。
安いものほどって気もしますが。

自分でで縫えるにこしたことはありません。
単まででも縫えると違いますよ。
仕立て代は、ほんとに上下の差が大きいです。
個人のところをさがすと、割とやすいところが
あります。
それにしても高いですが、時給○○円で、
着物一枚縫うのに何時間…と考えると、
仕方ないのかなぁともおもいますけどねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2010-02-07 20:27:21
akkomam様
そうですね。たんすに入れておくだけで
「置きジミ」というのが出ます。
こまめに風をとおすことと、
着なくても広げて少しだしておくといいですよ。
それと「防虫剤」も必要ですが、
例えきりのたんすでも、特に湿気の多い
梅雨から夏場は「除湿剤」をいれてください。

メンテについては、また書いていこうと
思っています。

ふきのとう、あの写真の、食べごろですよねぇ
1個だけー!
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-02-07 20:52:36
陽花様
色落ちは、洗ってみないとわかりませんねぇ。
なんとか自分でできること、
今はほんとに難しいですね。
張り板は、板さえあれば、ですよ!
返信する

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