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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

昔の留袖

2010-01-06 19:47:57 | 着物・古布
まだ松の内ですので、お福ちゃんにもお正月の晴れ着を…。
お引きで着ていたころの「両褄柄」の留袖です。
襲の白い着物が、そのまま綴じ付けてあります。
全体はこちら。


                   


鶴の羽とか菊の花びらなどに刺繍があります。
もちろん「手刺繍」ですね。


       


下前の菊には刺繍がありませんが、色鮮やかです。


       


きれいなんですが、ダメージがあちこちにあります。
たとえば「鶴さん」の白いところにうっすらとシミ…。


       



そのほか背縫いのあたりだけヤケていたり、刺繍の金糸が緩んでいたり…。
この留袖、紋のところに和紙が縫い付けてありまして、
大切にされていたもののようなのですが、
長い年月、同じ思いで大切にはされてこなかったらしく、
お尻のあたりに大きなシミがあったりで、とても残念な着物です。

もし、状態がよかったとしても、イマドキこういう留袖をほしがる人は、
「着る」ためより「加工」のための方が多いでしょうね。
ヤフオクでも、ショップでも、前柄の華やかなものほど売れています。
まだ使える部分だけでも使っていただくのは、
着物にとってもシアワセなことだとは思いますが、
状態よかったら「留袖」として着られたらいいですねぇ。

これはすぐにヤケがきますので、記念写真?のあとは、普段着に…。
以前も着てもらったものですが、矢絣のお召しです。


       


このレース編みみたいな柄のところが気に入ってます。


                


これはギリギリ着られると思いますが、やや重いです。お召しですからねぇ。
せめていつもはいい加減な「帯」だけは、ちゃんとかわいく結びました。


        


「留袖」といえば…いつなんだーと思っていた「甥っ子」が、
昨年の暮に結婚しました。そのときがきたら「色留袖」を考えていたのですが、
ちょうど母も息子も…の時期で京都まではちと遠い…。
向こうも「大丈夫だから」と言ってくれたので、実家も我が家もパスしました。
こじんまりのパーティーだったそうです。

彼は、いつも京都でお世話になるイトコの息子です。
ここに越してきてまもなくに、親子三人(母親、彼と妹)でやってきました。
イトコは離婚して女手ひとつで彼らを育てていました。
妹のほうはいわゆる明朗快活、当時16歳くらいでしたか…。
彼は「寡黙なオトコ」でした。当時高校3年生くらいだったと思います。
しゃべらないといっても、ふてくされているわけではなく、
聞いた事にはちゃんと答えるし、出したお茶を行儀よくすすっていました。
そのとき息子がいましたので、私は話をしながら息子にジュースを飲ませたり、
途中で「ごめんねー」と、衝立の影でオムツ交換したり、やっていました。
イトコが「子とんぼちゃんいるし、おばさんたいへんやから…」と、
彼らをつれて小一時間で、実家のほうへ移動していきました。
それから何ヶ月かたって…イトコから電話があり、
「息子が進路決めたって言うて…」と。
彼は「障害のある人の役に立ちたい」と、福祉の道をめざして
進学することにしたというのです。なんでも上の学校に行くのに迷っていたそうで。
「モノ言わん子やから、突然でびっくりしたけど、
とんぼちゃん親子見てて、感じるところがあったらしいんや」とのことでした。
彼はその後、夢をかなえて無事福祉の仕事に就いたのですが、
何かと不穏な時代に入っていまして、せっかく勤めてもリストラされたり、
思うところにいかれなかったり…。
それでも働かなければならなくて、まったく別の仕事でしのいだり…。
大変だったようです。今でも福祉関係の仕事についているようですが、
実際「薄給」なんですよね。
息子の施設でも、独身者は「結婚なんてできませーん」と言うし、
所帯持ちは「カミさんにアタマが上がらないんですよ、
向こうのほうが稼ぎがいいんだから」と笑いながら言ってます。
施設の職員の出入りも多いし、ほんとになんとかならないかと思います。


そんな状態でも、一緒に苦労してくれるというお嫁さんがみつかって、
ほんとに私は嬉しかったです。写真を見ましたら、とても美人さんでした。
新しい年、若い二人に幸多かれと祈りつつ、留袖の着付けをした午後でした。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2010-01-06 20:47:18
セピアじゃなくて・・・一昔前の何とも
言えない色、好きです。
大正から昭和にかけての花嫁さんのよう。
たしかお友達も黒留袖の衣装だったと思います。
返信する
いいですねえ~ (おつう)
2010-01-06 23:54:55
遅ればせながら、明けましておめでとうございます!
鶴の柄の留袖、いつかは出会いたいと思っています。
(着る機会があるのかは置いといて;;)

古典的な、地味カワイイ~のが欲しいのですが、新品ではなかなか無いのですよね~
かといってアンティークではサイズがあれだし・・・。
難しいものです。

今年もたくさん眼福させて頂きます^^
よろしくお願い致します
返信する
Unknown (りのりの)
2010-01-07 01:40:02
時代を経て少し色が褪めた感じがきれいですね。落ち着いていて渋いのにとても豪華です。

左右対称に柄があるものを両褄柄って言うのですか?
昔の留袖は左右対称に柄があるんだよね、って呉服屋の若い店員さんに言ったら「そーなんですか?」って言ってました・・・(笑)
返信する
着たいです~!! (りら)
2010-01-07 02:13:26
たとえ世間様は許さなかろうとも・・・
留袖、良い色柄に良い配置、一時期こういうのは古臭いと言われましたけど、誰がなんと言おうと良い物は良い!ですよね。
大柄なのに品が良くて、本当に素敵だと思います。
青の矢羽お召しも・・・
どうも私はこういうアンティークな色柄が似合わないんじゃなかろうか?と最近気が付き始めてるんですけども。
着てみたいですわぁ。

大変で大事なお仕事をしている人が報われないというの、本当に悔しい気がします。
そういう部分にこそ税金を使って欲しいですのにねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2010-01-07 11:43:22
陽花様
こういう染めは、ほんとになくなりましたね。
色使いが独特で、ただ「派手」なわけじゃ
ないんですよね。私も大好きです。
この留袖も、もしかしたら元は振袖で、
お嫁入りのあと、袖を切ったのかもしれません。
返信する
あけましておめでとうございます。 (とんぼ)
2010-01-07 11:47:41
おつう様
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

鶴さんですしねぇ、ぴったりですね。
今の留袖の柄は、まさしく「留袖柄」というような
なんとなく大きいかハデか…で、
ジミかわいい、は、なかなかありませんね。
いいのとであいますように。
おつう様も、まだ先だけどいずれは「必要」!
なものですものね。
ですもんね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-01-07 12:00:21
りのりの様
今はない染め、染料も違うのだと思います。
なんともいえないやわらかさと華やかさですね。
「両褄」は、昔おはしょりをあとからする着方のもの。
家の中では、着物を長めにして、
お引きずり(芸者さんほどではありませんが)で
歩いていたころは、外に出るときたくし上げてしごきで縛っていました。
これがおはしょりの始まりです。
家の中で着物を下げると、歩くときも座るときも
前は左右に分かれますから、両方とも
同じ柄をつけたわけです。
今はおくみから前身ごろにかけて
柄が大きくなり、脇からうしろへ、だんだんと
柄が小さくなって右身頃にかけてすぼまっていく…
ですが、このころはおくみが一番柄が高いんです。
それから前身ごろから脇につながり、
背縫いを境に左右対称になるわけです。
だからこうして着ると、前は柄ばっかり、
になるわけです。ギリギリ戦前くらいまでは
残っていたと思いますが…。
今の呉服屋さんの若い店員さんでは、
知らないでしょうねぇ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-01-07 12:03:35
りら様
私も、もし着る機会と、着られる状態のものが
ここにあったら、絶対着ます。
今のハデさ華やかさとは、まったく違いますよね。
りら様、アンティークもの、着こなしは抜群です。
自信もってお召し下さい。
よろしければこの矢絣も・・・ヒヒヒ。
いや、これ着られるのギリギリです。

特老などでもそうですが、あんなに重労働なのに
と、いつも思っています。
財務大臣が変わるし…ほんとになんとかキチンと
してほしいものだと思います。
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