「メジャーの打法」~ブログ編

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トップハンドの使い方(6)

2011年04月09日 | 打法

 打ち型について。

 (1)で、

 しかし、初期Ⅰ型のTH動作はホーンスビーのⅣ型を踏襲している。バイオメカニクス的には打ち型で、肩内転→肘伸展→手首掌屈と、時系列的に起こる。現在のⅡA型と同じだ。

と書いた。しかし、これはウィリアムスあるいはアーロン以外の打者についても言えることなのか?

 案の定、初期Ⅰ型の有名どころを見ると、ウィリアムスのような打ち型は見当たらない。例えばこのJ・ディマジオヨギ・ベラS・ミュージアルは日本人と同じ突き型で打っている。危うく落とし穴にハマるところだった。「安易な日米比較は疑え」は鉄則のようだ。当然、自分自身にも向けなければならない。

ヒッチの大きい大下はもしや?と思ったが、やはり突いている。日本人で打ち型はまだ見ない。
すべてのタイプを見ても、打ち型はイチローだけだ。だから、彼のスイングを理解できる人間はいない。


 そもそも、Ⅰ型の前身である、Ⅳ型はどうなのか?ホーンスビーのような打ち型だったのか?

 ここに興味深い動画がある。ブラックソックス事件で球界を追放されたシューレス・ジョー・ジャクソンだ。まさか彼のスイングが見られるとは・・・。彼も当時のルースもⅣ型打っていた。しかし、ルースはやがてⅠ型で打つようになる。ルースがジャクソンを真似たという話は前から聞いていたが、受けついたのは、Ⅳ型の動作原理ではなく、THの使い方だったのだ。そして同じことがホーンスビーとウィリアムスの関係についても言える(ウィリアムスがホーンスビーの教えを乞うたのは有名)。つまり、ルースはジャクソンの、ウィリアムスはホーンスビーのTHの使い方を継承しつつ、Ⅳ型からⅠ型へ移行したわけだ。


 初期Ⅰ型の打者あるいはそのコーチはⅣ型の指導を受けただろう。そのとき、ルース、ウィリアムスと同じように、THの使い方を継承したと考えるのが自然だ。そしてそこから、「初期Ⅰ型の状況からすれば、Ⅳ型もTHは突き型が多数派であった」を導いたとしても、強引の誹りを受けることはあるまい。

toredo1492さんのツイートからすると()、中西太もプロに入ったときにⅣ型からⅠ型に変えたようだ。彼のコーチも、中西同様、突き型で打っていたはずだ。


 つまり、「Ⅳ型からⅠ型、Ⅲ型を経てⅡ型に至るまで、THの使い方は突き型が多数派である」ということだ。確かに、マウンドからホームプレートに向かってくる球を打ち返す動作としては自然だし簡単だ。だから、アメリカ球界はB型を公認した。しかし、ホーンスビー、ウィリアムス、アーロン、さらにはソーサ、グリフィー、ボンズと見てくると、打法として遜色ないどころか、むしろ優れているとさえ思える。これを排除するなどという愚かなことを平気でやるのがアメリカなのだ。


 さて、その打ち型THについて、これまで書かないで気になっていたことがひとつある。Ⅰ型トルク打法およびⅢ型はこれを使うことができるのか? シュミットは肘を高く上げるのでそうかと思ったが、違った。THを前方に突き出す打法とは、所詮、水と油なのか・・・と諦めかけていたところ、それらしき打者をひとり見つけた。NYYの捕手で、現役中に事故死したサーマン・マンソンだ。この動画(16:00頃)にあるが、さて・・・?

  (この項終わり)

 



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