快読日記

日々の読書記録

「世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析」斎藤環

2015年01月24日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《☆☆☆ 2014/9/18読了 角川書店 2012年刊 【社会 ヤンキー 日本人論】 さいとう・たまき(1961~)》

帯の「たくさんの人が腑に落ちています」には笑ってしまったけど、決して誇大広告ではない。
だって本当に腑に落ちまくりだった。
結局、これは“現代日本人論”なんだけど、そこに「ヤンキー」というキーワードを嵌めるだけでこんなに明快になるなんて。
“あー!そうか!”の連発。
自分でもヤンキー分析をしたくなってきます。
例えば、犯罪者だったら(っていうくくりもどうかと思うけど)畠山鈴香、上田美由紀、角田美代子はヤンキーで、木島佳苗は非ヤンキー、とか。
Jポップと言われる楽曲の歌詞の多くがあまりに稚拙でやせ細っているのは、ヤンキーの語彙のなさと言葉を軽視する傾向からかも、とか。

教育の質が低下し、“面倒なことでもじっくり考える”ということがどんどん苦手になった日本人に、島田紳助が仕掛けた“おバカブーム”(書いてて気持ち悪い)などが拍車をかけ、ますます“考えたってしょうがない”風潮が蔓延する。
そして彼らの大好きな“絆”“つながってる”といった言葉がいい湯加減でしみこんで、思考停止で団結だ。
…これって、次の戦争に向けて、いい兵隊をつくろう!っていう陰謀かもね。

/「世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析」斎藤環