《4/30読了 双葉社 2008年刊 【日本の小説】 みなと・かなえ(1973~)》
たしかに読み始めたらやめられない。
こんなに先が気になったのは戸川昌子の「大いなる幻影」以来かも、
寝る前に読み始めなくてよかった~。
というわけで、評判通りの「おもしろさ」でした。
でも、
これは関口苑生氏が言う「感心するけど感動しない」典型みたいな作品です。
一連の事件を、何人もの「告白」で描いているのですが、
ほとんどの人物がまことに見事に自分や他者の心理をきっちり分析し告白しているんです。
人間は、「心」に対して、ここまで自覚的でしょうか。
なんでこんなことをしたり考えたりするのか、自分でもわからないことがけっこうあるのが普通の人間だと思うんだけど。
そして、誰にも(自分にも)覗けない、分析もできない部分が、ずっと奥の方に必ずある。
だからこそ読者は、登場人物の心の中に潜り込んで探りたいんです。
この作品にそんな隙間は全くありません。
余白がない作品なんです。
まるで、問題の次の行に答えと解説が書いてある参考書みたい。
それでも本当に舌を巻くほど巧みに作られた小説なので、
「頭」はとっても興奮します。
ページを繰る手が止まりません。
だけど「心」は動きません。
これは、文学とは似て非なるもの。
残念だけど「消費される読み物」に過ぎない、とわたしは思いました。
たしかに読み始めたらやめられない。
こんなに先が気になったのは戸川昌子の「大いなる幻影」以来かも、
寝る前に読み始めなくてよかった~。
というわけで、評判通りの「おもしろさ」でした。
でも、
これは関口苑生氏が言う「感心するけど感動しない」典型みたいな作品です。
一連の事件を、何人もの「告白」で描いているのですが、
ほとんどの人物がまことに見事に自分や他者の心理をきっちり分析し告白しているんです。
人間は、「心」に対して、ここまで自覚的でしょうか。
なんでこんなことをしたり考えたりするのか、自分でもわからないことがけっこうあるのが普通の人間だと思うんだけど。
そして、誰にも(自分にも)覗けない、分析もできない部分が、ずっと奥の方に必ずある。
だからこそ読者は、登場人物の心の中に潜り込んで探りたいんです。
この作品にそんな隙間は全くありません。
余白がない作品なんです。
まるで、問題の次の行に答えと解説が書いてある参考書みたい。
それでも本当に舌を巻くほど巧みに作られた小説なので、
「頭」はとっても興奮します。
ページを繰る手が止まりません。
だけど「心」は動きません。
これは、文学とは似て非なるもの。
残念だけど「消費される読み物」に過ぎない、とわたしは思いました。