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十勝の活性化を考える会

     
 勉強会や講演会を開催し十勝の歴史及び現状などを学ぶことを通じて十勝の課題とその解決策を議論しましょう

日本という国

2023-01-01 05:00:00 | 投稿

スウェーデンの若者に、「あなたの国の誇りは何ですか」と尋ねると、約6割の人が「福祉」と答えるそうである。一方、日本の若者は約1割弱であるそうだ。それは、日本が高福祉国家でない証左であろう。

資本主義は、需要と供給により価格が決定され、資源の有効活用により最適配分が図られ、貧乏や病気、長時間労働から解放され豊かな社会を作ることが目的であった。

しかし、競争社会はやがて生活・教育・医療も、効率性優先の歯車に巻き込まれるようになる。競争は人間を利己的にし、一方が利己的になれば、自分も利己的にならざるを得ないから、自分を守るためにカネを中心にして回ることになる。

そんな社会では、人間の能力が経済価値を増やすか否かだけで判定されるようになる。だから、私が通っている介護施設スタッフのように、福祉のために献身的に働く人たちであっても、経済価値に貢献しない人は認められず給料が低いのである。

資本主義は、少数者の手に独占された利潤が人間を搾取して獲得されたものであり、そのために労働者は困窮したのだということを、マルクス経済学では説明している。このような人間の搾取は、道徳的に批判されるだけでなく、資本主義の内部からも問題を複雑化している。

それに加えて日本は、新型コロナ禍により貧富が拡大している。戦後の高度経済成長期のような利潤至上主義や効率万能主義では、経済成長できなくなってきたのである。これは日本特有の現象ではなく、資本主義国の現象だと思っている。一方、共産主義国にも人間が最も大切にすべき自由というものがない。

ガルブレイスとメンシコフ共著“資本主義.共産主義、そして共存”の本を読むと、世界には、アメリカに象徴される資本主義やロシアや中国に象徴される共産主義があるが、100年も経つとお互いが良いところを取り入れているらしい。現に、資本主義国では福祉に、共産主義国では市場経済に力を注いでいる。そのため、その中間である北欧三国に代表される社会主義国家では、付加価値税を導入して福祉が充実している。

ところで、日本はいつから人との絆を失い、安心して子供を産むこともできない無機質な国になってしまったのだろうか。その解決は難しい問題と思われるが、この国に失望はしていない。日本は必ず変わることが出来ると思っている。

人と人とのつながりを豊かさにして、自然との関わりを豊かさにするためには、どのような地域社会を作っていけば良いのだろうかと考えている。なぜなら、それらを作っていくことが、地球温暖化を乗り越えて、人類が生き延びていける必要条件だと思うからである。

「十勝の活性化を考える会」会員