十勝の活性化を考える会

     
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アイヌ神謡集:沼貝が自ら歌った謡

2021-12-27 05:00:00 | 投稿

沼貝が自ら歌った謡「トヌペカランラン」

Pipa yaieyukar, “Tonupeka ranran"

トヌペカランラン
強烈な日光にて私の居る所も
乾いてしまって今にも私は死にそうです.
「誰か,水を飲ませて下すって
助けて下されぱいい.水よ水よ」と私たちが泣き叫んで
いますと,ず~っと浜の方から一人の女が
籠を背負って来ています.
私たちは泣いていますと,私たちの傍を通り
私たちを見ると,
「おかしな沼貝,悪い沼貝,何を泣いて
うるさい事さわいでいるのだろう.」と言って
私たちを踏みつけ,足先にかけ飛ばし,貝殼と共に
  つぶして
ず~っと山へ行ってしまいました.


「おお痛,苦しい,水よ水よ.」
  と泣き叫んで
いると,ずっと浜の方からまた一人の女が
籠を背負って来ています.私たちは
「誰か私たちに水を飲ませて助けて下さるといい,
おお痛,おお苦しい,水よ水よ.」と叫び泣きました
すると,娘さんは,神の様な美しい気高い様子で
私の側へ来て私たちを見ると,
「まあかわいそうに,大へん暑くて沼貝たちの
寝床も乾いてしまって水を欲しがって
いるのだね,どうしたのでしょう
何だか踏みつけられでもした様だが……」と言いつつ
私たちみんなを拾い集めて蕗の葉に
入れて,きれいな湖に入れてくれました.

清い冷水でスッカリ元気を恢復し
大へん丈夫になりました.そこで始めて
かの女たちの気性を探って
見ると,先に来て,私を踏みっぶした
にくらしい女,わるい女はサマユンクルの
妹で,私たちを憐み
助けて下さった若い娘さん淑やかな方
は,オキキリムイの妹なのでありました.
サマユンタルの妹は憎らしいので

その粟畑を枯らしてしまい,オキキリムイの
妹のその粟畑をばよく実らせました.
その年に,オキキリムイの妹は大そう多く収穫を
  しました.
私の故為でそうなった事を知って
沼貝の殼で粟の穂を摘みました.
それから,毎年,人間の女たちは
粟の穂を摘む時は沼貝の殼を使う様になったのです.
  と,一つの沼貝が物語りました.

Orowano keshpaanko ainu menokutar
amapush tuye ko pipakap eiwanke ruwe ne.
  ari shine pipa yaieyukar.

 

「十勝の活性化を考える会」会員 K

写真提供:「十勝の活性化を考える会」会員 S

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