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ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

夏の椅子

2007-08-16 | 砂時計
今日は観測史上最高の40,9度が、岐阜県で観測されたらしい。
暑くて何もする気にならず、ぼんやりとソファーに腰掛ける。
だが。
ソファーがこれまた暑いのなんのって。
体温を吸収して、すぐに保温する。
それがいつまでも放出されず、身体にまとわりついてくる。
こんな時、籐の椅子があれば・・・と思ってしまう。

高校時代を過ごした祖父の家には、籐の家具3点セットがあった。
広い田舎の家で、その3点セットは離れの廊下に置かれていた。
私がその家で過ごした3年間、祖父母がその椅子に座るところは一度も見たことはない。
おじや叔母、私の両親が帰省してきても、その椅子にすわるものはいなかった。
祖父が何を思って、そのセットを買ったのかはわからない。
少し暮らしに余裕が出来たとき、都会の香り、あるいはブルジョワジーの象徴として買ったのかも知れない。
気分屋の私は、長い廊下の掃き出し窓を開け放し、部屋に風をよびこみ、籐の椅子に腰掛けた。
目をつぶれば、気分は避暑地の別荘で過ごすお嬢様。
そんな夏の時間が、けっこう好きだった。

物を捨てたがらない父ならば、今も残しているのだろうが、祖父はさっさと処分する質だったので、私が大人になって帰省したときには、その3点セットはなくなっていた。
映画「エマニュエル夫人」が座っていたような立派な籐の椅子ではなかったが、今も残っていたならば、迷わずもらい受けてきたことだろう。

お尻にあせもが出来そうな革のソファーに座りながら、そんなことを思い出していた。

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