ハレの場

久々にパーティーがあった。
関連会社の社長就任お披露目パーティーである。
関連会社なので私と節子さんもスタッフとしての参加。
なので受付やら、お客様の案内やら裏方に徹しての参加であった。
この不況下でのパーティーで、規模も小さく削減予算での開催である。
資本参加している会社から下りてきた副社長が派手好きなひとで、予算がとれなくても企画してしまったのである。

さて、シティホテルを会場にした、一応まともなパーティーに参加するのは久々のことで、ちょっとワクワク。
だが招待客は取引先の役付ばかりなので、ほとんどが男性（それもくたびれたオジサンばかり）。
なのでファッションウォッチングを愉しめる女性客がいない。
仕方がないので会社の女の子たちのファッションをチェック！
いつもお洒落な子は、シンプルな濃紺のワンピースにラメのストール、白い網タイツにリボンパンプス。
私があと２０歳若ければしていたかもしれない、スタイルである。
その子と仲の良い、その会社では一番若い子が、黒いワンピースとベージュのジャケット。
今回はこの子のスタイルが一番気になった。
ワンピは、シフォンを細かにティアードのように重ねて、ヨーク部分は違う布で切り替えてある。
ベージュのジャケットは七分袖で、軽く絞ってあり、ヨーク部分に細い茶色のステッチ。しなやかな光沢のある麻である。
聞けば、ワンピースはシーバイクロエ、ジャケットはトゥモローランドらしい。
どちらも布に存在感たっぷりで、なんら派手さのないデザインながら、それでいてその素材のよさが際だっていた。
ああ、こんな洋服が縫えたなら・・と思わずまじまじ見つめてしまった。

さて、会場に入っておどろいた。
「コンパニオン」さんが３名ほど配置されている。
いかにも、な出で立ち。
胸元が開いて、脇に深いスリットのはいったベルベットのロングワンピースに、白いパンプス。
髪は大きくひさしを作った前髪にネットで覆ったシニヨンヘア。
ひぇ～～～、こんな時代錯誤なスタイルのコンパニオンさんがまだいるんだわ～、とびっくり。
胸元にはこのホテルのロゴが入ったきちっとしたネームホルダーをつけているから、普段から選任されているコンパニオンさんなのだろう。
それにしてもバブルまっただなかの時代にいたようなコンパニオンスタイルを強いられるこの人達もお気の毒に・・と思えてくる。
サービスの仕方も、お化粧も完璧なだけに余計に気の毒。
ホテルも、どうせなら時代にあった装いを考えてあげればいいのに、これってきっとオッサン目線で選んだコスチュームに違いない、と勝手に想像する。

しきり役を仰せつかった女部長がこぼしていた通り、限られた予算でコンパニオンまでつけて、プロのアナウンサーまで呼んで開いたパーティーのお料理は本当にお粗末。
これならホテルの上でやっているビアガーデンのお料理のほうがよっぽどマシだわね、と節子さんと文句たらたらで帰ってきた。

ああ、それにしてもあの子の着ていたワンピースとジャケット、可愛かったなぁ。
あんなのが縫えたらいいのにな・・