心は流動的
ほんとうにそう
わたしの心は
一日の中でも
山の天気のように変わる
身体だって
どんどん変わっている
心も体も
流動的
それでも
パンが嫌いになるかと言ったら
一生好きであるように
ごはんにもお味噌汁にも飽きないように
キミを嫌いになんて
なれないや
なれないよ
.
きのうは消えてなくなりたかった
雷に打たれたかった
それは仕事で酷い目にあいすぎたから
それを我慢しすぎたから
わたしはそれを放った
降ります
と言った
初めて仕事を投げた
そして
久しぶりの眠りを手に入れた
今日は
かわいい動物の動画をみて微笑んだ
一緒に暮らす
白い小鳥と遊んだ
一日中
遊んだ
わたしは
わたしの心を
回復させることができるようになった
このままでも大丈夫
この小さくて
日当たりがよく
眺めのいい部屋住むことは
不幸ではないと知った
.
どんなにかなしい歌をきいても
わたしは泣かなくなった
ねえ
知ってる
ひとは少し安心した時に泣くの
ほんとうにひとりになったら
ないてるよゆうなんて
ないのよ
この部屋に雷が落ちて
一瞬で終わればいいのに
神様におねがいはしたくないけど
ありがとうといっしょに
このおねがいをします
けどかみさま
ことりはまもってください
わたしだけ
終わりたいのです
だれにも迷惑をかけず
ごめんなさい
私が握りしめていたものは
決して放さず
縋り付いていたものは
幸せの定義
それは
恋人との時間を持つ
家族との時間を持つ
それを持たないと
不幸になってしまう
そんな
幻の決め事に縛られて
それを失うことに
怯えていたんだ
それがないと
幸せになれないと
決めつけていた
けどそれが
握りしめた決め事が
キミを窮屈にしていた
それは多分
キミを臆病にした
独りでも幸せになれる私を
どうか
遠くから
見ていてください
.
振り返ってはいけない
振り返っても
懐かしんでも
時間は前にしか進まない
わたしはひとりで生きられる
小鳥と遊んで
音楽を聴いて
お散歩をして
お料理をして
紅茶を淹れる
過去を美しくし過ぎてはダメ
て
…ね。
頭では分かってる
わたしはできる
できる
大丈夫
そう
言い聞かせて
ひとりで生きていくんだ
下唇を噛んで
.
主治医に相談したことがる
彼のことが忘れられない
苦しいと
大丈夫、すぐ忘れちゃうよ
先生はそう言ったけど
先生
ちっとも
ちっとも
忘れられないじゃないか
そんなふうに
誰かのせいにして
駄々こねてたい
寝転んで足をバタバタさせたい
知っているけど
私が 今 死んでも
何も
戻ってこないと
知っているけど
.