わたしの本当を知っている人がいる
ひとりじゃない
わたしはひとりじゃない
.
すっかり自信をなくし
自分をなくし
倒れたままキミと話した
キミはすぐに電話をくれた
お風呂に入って
新しい服を着せてもらって
髪を櫛で梳いてもらい
生まれ変わったみたいに
目が見える
音が聞こえる
甘えたい
チャットで伝えた
一月ぶりに通話して
ぼーっと
ぼーっとして
キミのことを考える
わたしとどういう関係でいたいかと聞くと
なんにも足さない
なんにも引かない
と
即答した。
わたしが傍にいることで
自立できなくなるといった
話せた時間に浮かれるでもない
悲しいでもない
すこし
淋しい
ただ
離れていても確かにキミがいることが
胸のどこかに灯を灯すんだ
.
彼はわたしを避けるともなく
距離を取る
それは昔から。
苦しい
苦い恋愛
もう
終わりにしたはずなのに
テレビで言ってた
｢物を捨てられないのは
過去に執着しているから。｣
私のことだ。
写真を一枚削除してみた
身の焼ける思いで
キミが同じものを持っているかも知れない
どこかにバックアップされているかも知れない
苦しいのは嫌
全ての写真を削除して
思い出のものを処分したら
処分したら
わたしは
形がなくなってしまいそう
わたしはひとりが淋しい
けど
ふたりでいて
あなたが端末の数字とだけ話している時
ひとりより
もっと
もっと
孤独だった
忘れてはならない
.
キミは
余計なことなんか何んも言わない
遠く離れたまま
私たちは昔みたいに
アバターで会った
懐かしい
仮想現実の街を歩いた
会社は利益を追求する場所だと言った
そう
ここは砂漠なんだ。
.