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教育基本条例下の辻谷処分を撤回させるネットワーク

憲法に反する「君が代」条例ならびに公教育の理念に反する大阪の新自由主義的教育諸条例の廃止を求めます。

2012年「君が代」不起立戒告処分人事委最終反論書21

2014-10-20 19:58:14 | 人事委員会審理
(5)「君が代」を巡る裁判所の判断

 ア ピアノ伴奏についての最高裁判決(2007年2月27日最高裁判所第三小法廷)
卒業式における音楽科教員への「君が代」斉唱時のピアノ伴奏の強制が教員の思想・良心の自由を侵害するか争われた事件において,最高裁は「君が代」が過去のアジア侵略と結びついており,これを公然と歌ったり,伴奏することは出来ないという教員の考えを歴史観ないし世界観と結びついた信念であること,つまり思想・良心の自由に含まれることを認めた。
ただし,この判決では,ピアノ伴奏という外形的行為は外部からはその信条の吐露を強制しているとはみなされないという理由で合憲の判断を下した。
この最高裁判決は,藤田宙靖裁判官の反対意見が付されているが,以下の理由から強い批判が値する。
そもそも問題とされるべき思想及び良心の内容は,「君が代」の実質的意味のみならず,それを入学式等の学校行事に持ち込むことについての評価も含むのである。「君が代」を起立・斉唱すること,ピアノ伴奏をすることといった一連の行動を強制するということの意味,つまり「君が代」を受け入れていると外部に表明するかのような行動が強制されているという重大性をこの最高裁判決は見誤っているといえる。

 イ 起立斉唱についての最高裁判決(2011年5月30日第二小法廷判決などなど)
次に,一般の教員に,卒業式での「君が代」の起立斉唱を義務づける職務命令が思想・良心の自由を侵害するか争われた事件において最高裁は,「君が代」を卒業式に組み入れて強制することは,教員としての良心が許さないという考えが,教員の歴史観ないし世界観から生ずる社会生活上ないし教育上の信念等であるとして,それが教員個人の思想・良心に含まれることを認めた。
にも拘らず「君が代」の起立斉唱行為が,一般的客観的に見て,これらの式典における慣例上の儀礼的な所作としての性質を有するものであり,かつ,そのような所作として外部からも認識されるものであるなどとして,「君が代」の起立斉唱を義務づける職務命令は,教員個人の思想および良心を間接的に制約するにすぎないとした。
この最高裁判決は,宮川光治裁判官の反対意見が述べるように,そもそも職務命令によって,一定の歴史観や世界観を持つ教員をあぶり出し,それに対して不利益処分を課そうというものである。そもそも思想・良心の侵害を認める以上,その侵害について,態様が間接的か直接的かを云々するまでもなく許されないというべきが,通説的見解に則った憲法19条についての理解と言える。

 ウ 小括
いずれにせよ最高裁判所は,「君が代」の起立斉唱の強制が,教員の思想・良心の自由を侵害する問題を含むことを認めている。

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