邦楽部の部屋414号室

東北大学学友会邦楽部のブログです。イベントや日々思うことが綴られています。ぜひ私たちのことを知ってください!

騒音おばさん、第二審で自らの半生を語る

2009年04月16日 14時03分05秒 | Weblog
どうも、邦楽部ブログの離れ小島、なおじのブログだが。

さて早速だが、可能な限り自省しよう。今回も前回のクサすぎる文章形態(場合によってはドリアンよりもカンガルーの腹袋よりもクサい)を続けることにし、それによって新入生や部活生に何らかの良からぬ影響を与えることになるかもしれないからだ。これが要らぬ危惧で終わることを切に願っている。今回も幾つか日常に降りかかった「散文的なありふれた経験」(このブログでは多くのパクリ…ならぬ引用というと大げさ…参考作業が行われる。ご了承を。)を書いていこう。どうか、この投稿が短文で終わることを読者の皆様はそれぞれ「あなたの神に」祈ってほしい。


◆けんじくん、世界を揺らす

 筆者(以下「男」)は、デンリョクビルという架空の建物で飲食店のアルバイトをしている。
 昼4時からシフトに入り、夜9時にすべての仕事を終える。労働時間の中に休憩が挟まれないことも一因なのだが、この仕事、割と疲れる。(他のバイトの忙しさを知らないため対比的には語れないが。)
 その日の作業も山を越え、ようやく息をつける夜8時を迎えたあたりで、その事件は起きた。

 男は、いつも通り疲れきった体を無理やり鼓舞し、デンリョクビルの警備室へ向かった。なぜ警備室かと言うと、デンリョクビルに配置された飲食店はすべて、営業で出た可燃ゴミを捨てる時に、外にあるゴミ収集所まで運ばなければいけない。その際、警備室に立ち寄って、ゴミ収集所に備え付けられた鉄の扉を開くための「鍵」を借りていかねばならないのだ。
 男は、ゴミを積んだ荷台を押しながら、警備員室の前まで辿り着いた。
 「お疲れ様です、ゴミなので鍵貸してください」
 「はい、お疲れ様。収集室の鍵ね。どうぞ」
やさしい面持ちの初老の警備員さんが受付の小窓から鍵を手渡してくれる。普段ならそんな簡単なルーティンが繰り返されるだけなのだが、今回は違った。
 「ありがとうございます」
 「あっ、ちょっと待ってね。」
そう言って警備員さんは振り返り、警備員室の奥の方へ向かってこう叫んだのである。

 「けんじくん、シンカン!!」

男は身構えた。シンカン?どういう意味だ。
 「はい!今行きます」
それに応えるように奥の方から若い男の声が飛んできた。どうやら「けんじくん」とは警備員の名前のようだ。若い警備員が部屋の奥の方からこちらへ向かって駆けてくる。
 男は考えた。これから何が起こるんだ?シンカンとは何だ?この時期だから、新入社員に対して何らかの手厚い歓迎を施してくれる「新歓」なのか。いや、でもこんなところでクラッカーの一発でも鳴らしてシャンパンをぶちまけるわけがない。じゃあそのけんじくんが感動に身を震わせて揺れ動く「震撼」なのか。(意味が分からないが可能性が無いわけではない。)はたまた男を一種の病人と判断した初老の警備員さんが医者を装って「新患」と叫んだのだろうか。(あくまで可能性の話だ)
 果たしてシンカンが意味するところは何なのか?男はどうなってしまうのか?結末は後半で。(お決まりのパターン。)


◆ちょっとした解離

 さて、皆さんには今から「ちょっとした解離」を体験してもらう。
 いや、そう気負わなくてもいい。ほんとに「ちょっとした」ものだ。しかしおそらくここらへんで「解離」って何だよという質問が飛んできそうだが、敢えて今は答えないことにする。

 それでは先ず、自分が雨の日の夜に自転車に乗っているところを想像してほしい。例え今現在、空は快晴で自分も家の中でゆっくりコーヒーを啜っているとしてもだ。
 ―周りは激しい雨で、雷もちらほら鳴っている。
  自分は今部活からの帰り道で、かろうじて傘を差して濡れないように自転車をこいでいる。
  これ以上天候が悪くならないうちになんとしても家にたどり着きたい。
  車が水をはねる音が耳に響く。
  強い雨のせいか、視界がなんだかぼやける。
  夜も深まり、辺りは暗い。
  履きなれたスニーカーも今は滑りやすくて自転車がこぎにくい。
  かごの中に入れたショルダーバッグが雨でびしょ濡れだ。
 ―ああ、こんな雨早くやめばいいのに。
  なんだかイライラしてきた。
  幅の狭い路側帯で避けるのも面倒くさく、対面した歩行者の横スレスレを通り抜ける。
  きゃっという子どもの声が後方でしたが気にしてる暇も無い。
 ―ああ、雨が強くなってきた。
  早く帰りたい。
  目の前には信号だ。
  青色が点滅している。
  絶対間に合わせるぞ。
  スピードを上げて雨が顔にざっとかかる。
  よし、あと少し。
  間に合え

 そこに後方から左折する車が飛び出してきた。

 はっ


…どう感じただろうか。もしこれを読んだ読者の方々も同時に はっ となっていただけたなら幸いだ。
 さてここらへんで「解離」の意味を説明しておこう。「解離」というのは、心理学用語で「人格の変化」を意味する。詳しく言うと、多重人格症の患者が、もう一人の人格に入れ替わる際の人格変化を指す言葉だ。最大限の意味を汲み取って言い換えるなら、それは「新たな人格、視点の獲得」と表現できるだろう。
 ではなおじは一体何が言いたいのか。それは、人間が持つ視野の広さは思っている以上に広げることができるということだ。多くの人はたった今この雨の中の主人公の感情にシンクロできただけでなく、この後に待つ結果も容易に推測することができたはずである。
 陳腐な言い回しになるが、「人はなろうと思えば何にでもなれる」のである。(あくまでメタフォリカルな次元で)

 さて、そんな哲学的な話はやめてくれ、もう二度とブログに投稿するな、という声が聞こえてきそうなので、結論を急がせてもらう。それは、「人は多くの視点を操ることができる」というキーワードを、上の「シンカン」の話に応用してもらいたいのだ。(ライアン師匠の批評のもとに二つの章をリンクさせてみたがやはり上手くいかない…。)どう応用するかは、もう1エピソード語った後で。


◆講義室内における魔法の呪文

 たまに大学の講義を受けながら、教授の言ってることが理解できないなあ・とかつまらない授業だなあ、でも自分以外の大抵の人は面白いと思って聞いてるんだろうなあ・とネガティブな思考に走ってしまった時、いつも自分はこんな言葉を思い出す。というか自然にこの言葉が頭に浮かぶようになってしまった。

 「自分が喜んで話すことが他人を退屈させる時、人は専門家になったことに気付く」(byロラン=ドルジュレス)

この言葉を思い出しながら、楽しそうに話し続ける教授を見るとなんだか笑えてくる。大学の授業というのは面白い部分とそうでない部分、それが両方あって然りだと思う。だから後者の時は爆睡してようが読書してようが何ら問題はないと思う。(前者の場合はそうもいかないが。)皆さんも目の前でしゃべり続ける教授に憤りを感じたらこの言葉を思い出してみてもいいかもしれない。新しい世界が開けるはずである。(ただ使い過ぎには注意してほしい。二度と戻ってこれなくなる)


◆けんじくん、シンカン -Truth Mix-

 さて、種明かしだ。
 男はけんじくんという名の警備員が部屋から出てくる前に、ふとくるりと周りを見渡してみた。今まで気づかなかったが、デンリョクビルは、二つの建物に分かれていて二つは渡り廊下でつながっている。きっとそれぞれに名前が付いているはずである。そしてどうやら二つの建物には若干の様式の差が見て取れる。ひとつは明らかに新しく、もうひとつは割と旧式だ。新、旧、しん、きゅう、シン、キュウ…男はそこで閃いた。
 「お待たせしました、今からシンカン開けますね」
けんじくんは男に向かってそう言って、新しい方の建物に向かって歩き出した。

 そう、「シンカン」の正体は「新館」のことだったのだ。

 中には納得のいかない人もいるかもしれない。何故「新館」を開ける必要があるのか。それは、ゴミ収集室は渡り廊下を通って突き当たりにいけばあるのだが、土日祝日の場合その渡り廊下の先にある新館の鍵が閉まっている。それを開けないことにはゴミ収集室まで辿り着くことすらできないのだ。つまり男は今まで「新館」を「新館」として理解しないまま何気なくそこを通過していたことになる。
 男はそっと胸を撫で下ろすと同時に気恥ずかしさを感じながら、けんじという名の若い警備員さんの後に付いていき、新館の鍵を無事開けてもらった。

 「疲れてるみたいだね。お疲れ様。」

 そう言って彼は笑い、警備員室に帰って行った。彼が去った後も男は夜空の下、しばらく感慨深そうにその二つの建物を眺めて立っていたのだった。



 [追記] この文章量は謝罪に値すると思う。もう一度自省しますm(_ _)m次にまたブログを書くときは(その機会すらもう与えられないかもしれないけど…汗)、最後まで読んでくれる人の数を増やす努力をしたいですっ(切実)
 
 ちなみにネクストバッターはタッツー、君に決めた!



  [リレー小説]


 太司はドアノブを握ってそれをゆっくりと回した。扉が鈍い音を立てて内側に開いた。貴子は瞬間的に目をつむっていたことに気付いた。きっとその扉を開けばとんでもない地獄絵図が展開されるのだろうという恐怖があったからだ。
 「ここが目指していた部室さ」
 太司の、沼の底から這い出たような声がして貴子は恐る恐る目を開けた。
 しかしその部屋には何も無かった。見る限り何の家具も備品もない、ただ空っぽの部屋だった。貴子はじっとその部屋の中を見つめた後、不思議そうに太司の顔を眺めた。
 「だまして悪かったね。究極美食研究会なんてサークルは東北大に存在しないことは分かってたんだよ」
 いつもとは違う真剣な顔つきで太司が言った。
 「俺、新しいサークルを作ろうと思うんだ。とびきり面白いサークルをね」
 貴子はそんな太司の表情を眺めながら、無意識的に呟いた。
 「私も、同じこと考えてた」


 (続くのか続かないのか)