あちこちで桜色の蕾がふくらみ始め、だんだんと春の色に染まりつつある仙台。
耳を澄ませば街はいろいろな音で溢れています。
新居を探す親子の声、見慣れないスーパーで買い物するお客さん、新入部員に期待する部員たち、……。
気が付けばもう新しい生活が始まる季節ですね。そんなわけで私たちも学年がひとつ上がるわけでして、1年生ブログリレーもそろそろゴールしなければならないのです。
こんにちは。パスワードを何度入力してもログインできないうちに2年次オリエンテーションを受け、もう1年ではなくなってしまった私、先日イギリスから戻ってまいりました。
国が違えば街で聞こえてくる音も違うわけで、向こうに滞在中は様々な音色に出会いました。
その中でも一番印象深かったのはスコットランドでした。
スコットランド。
皆さんはどれくらい知っているでしょうか。ついこの前最終回を迎えた連続テレビ小説「マッサン」でその地名を耳にするようになった方も多いのではと思います。
マッサンの影響もあってかスコットランドといわれて連想するものといえばやはりスコッチウイスキーでしょうか。今や世界5大ウイスキーのひとつとなったジャパニーズウイスキーがモデルとしたスモーキーフレーバー強めのウイスキーですね。
そんなウイスキーばかり注目されるこの国ですが、他にもたくさん有名なものがあるのです。
マフラーなどでもお馴染みタータンチェック、ゴルフにカーリング、コナン・ドイルにグレアム・ベルだってこの国生まれです。
そんなスコットランドを代表するもののなかでバクパイプと呼ばれる伝統楽器があります。
写真やテレビなどで目にした方も多いのではないでしょうか。
バグパイプは空気をためる袋(bag)に数本のリード付音管(pipe)が取り付けられている、簡単に言ってしまえば一種の笛です。
この笛、私が普段練習している尺八とはまるっきり違って、一度演奏し始めると強弱の調整もタンギングもお休みもできません。そのため、いくつもの装飾音を用いてあの独特なメロディーをつくりだしています。
実際に私が行ったのは首都エディンバラだったのですが、驚いたことに街なかどこに行ってもウイスキーの仄かな香りとともにこの笛の音色が聞こえてくるのです。
あちこちにタータンチェックのスカートを身にまとったバグパイプ奏者を目にすることができます。
この楽器がいかにこの地の人たちの日常の一部となっているかがわかりました。
どうやらこれが、「バグパイプ=スコットランド」となっている訳のようです。
というのもこの楽器、発祥はペルシャで、似たような楽器はケルト民族の住んでいたエジプトやアイルランド、フランス、スペインにもあるようなのですが今では演奏されることはほとんどなくなったためにこれらの国を代表する文化とはいえなくなり、現在でも毎日演奏されているスコットランドのものが生き残ったというわけです。
こういう話を聞くと少しどきっとしますね。
日本で暮らしている私たちは普段街なかで和楽器の音色を耳にしているでしょうか。
むしろ、老舗旅館を訪れた時やお正月に聞こえてくるお琴や三味線、尺八の旋律を非日常への扉を開けるおまじないかなにかのように「あっ、なんだか和って感じだね~」なんて捉えていませんか。
一年前、この邦楽部で和楽器を始めるまでは私もそうでした。
自分が奏者の立場になってみるとだんだん、意外にも和楽器の音は日常にまぎれているんだなと気が付きました。
お店でかかっている音楽、ドラマの主題歌、……。
でも、まだまだちゃんとした純邦楽を聞ける機会は少ないし、あえて聞きに行こうとする方も少ないように思います。
スコットランドのバグパイプのように日本でも和楽器が末永く人々の日常の一部となるように、また海外から和楽器の音色を聞きに多くの方たちが訪れてくれるように、一端の和楽器奏者として魅力を広く伝えていけたらと思います。
いつか皆で、スポンサーを募って色々な国や地域を演奏してまわりたいなとか夢みています。
賛同してくださる企業の方や部員がいれば是非。
最後に、この春仙台で大学生となる新入生のみなさん、私たちと一緒に和楽器を楽しみながら魅力を伝えていきませんか。
邦楽部での大学生活はきっと充実した素晴らしいものとなるはずです。
部員一同お待ちしております。