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番外編:国民負担率の迷妄を打破する


今年度の「国民負担率」47.5% 所得の半分近く占める 財務省
国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合を示す「国民負担率」について、財務省は今年度(2022年度)は47.5%となる見込みだと発表しました。過去最大だった昨年度をやや下回ったものの、国民所得の半分近くを占めています。
「国民負担率」は、個人や企業の所得などを合わせた国民全体の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合で、公的負担の重さを国際的に比較する指標の一つです。
財務省は21日、今年度の「国民負担率」は47.5%となる見込みだと発表しました。
高齢化に伴って社会保険料の負担が増えた一方、企業の業績が回復したことや雇用者報酬が伸びたことから、過去最大だった昨年度より0.6ポイント下がりました。
ただ、過去3番目の水準となっていて、国民所得の半分近くを占めています。

 国民負担率というのは、財務省が勝手に作り出した概念である。
 税+社会負担を国民所得で割ったものだそうだが、筆者が計算すると財務省発表の数字にならない。どこかで魔法を使っているのだろう。
 ともかくも「これでは五公五民だ」とか「生活していけない」などと煽っている人々が、例によって、現れている。財務省の回し者かッ!

筆者が計算してみた

 2021年国民経済計算より 表記は兆単位としたが計算は10億単位で行っている。なので端数は合わない。

税と社会負担⇒分子
税:                     62兆
社会負担:           85兆          計148兆

国民所得⇒分母
賃金:                  245兆円
営業利益:            77兆円             計322兆円

 148÷322=45.9% ←上記記事では47.5+0.6=48.1のはず。この魔法についてはおいておく。

第一の迷妄
 社会負担の内訳は、雇主の負担45兆+家計の負担41兆となっている。雇主の社会負担は企業にとって費用だから上記営業利益には含まれていない。もちろん賃金から引かれてはいない。さらに家計の負担41兆円の全部を賃金が負担しているわけではない。もちろん税金も同じである。

第二の迷妄
 負担があれば給付がある。2021年度の社会給付(現金)は84兆円となっている。

第三の迷妄
 社会給付以外に現物社会移転がある。現物社会移転は医療・公教育が大きい。健康保険だけで50兆円に上る。税収を原資とした現物社会移転は73兆円である。

迷妄を打破するには・・・

 あるWEBニュースで見つけたが
「国民負担率」は国際的に比較する指標の一つで、「47.5%」とは所得の半分近くが公的負担を占めているということ。大雑把に言えば、稼いだ収入の半分程度が公的負担となる。
 とか言うのは無知のなせる業である。迷妄を打破するには自分の給与明細を眺めるだけいい。それがあなたの国民負担率である。

軽いほどいいのか・・・

 軽ければ軽いほどいい、というなら医療も公教育も老後の生活資金も全部自己負担にすればよい。それでは今よりもっと生活に窮する人々がでてくるだろうが。

 国民負担率は

「政府は小さければ小さいほどいい」と考える人々
全部自己負担で構わない人々、自分の金は全部自分で使いたいと考える人々
社会保障なんて無駄

と考える人々が作りだした概念である。負担を下げれば社会全体の厚生は下がる。しかし一切社会保障を当てにしないで生活できる人々も存在する。文字通りの富裕層だ。そういう人々にとっては生活困窮者が増えれば、安くそれこそ奴隷のように使えるから願ったりかなったりである。

 筆者は「国民負担率」はもっと大きくするべきだと考えているが、その財源については前項で書いたとおりであり、社会保障は国民の尊厳を守るために存在するのだということを忘れてはならない。
 
 財務省に煽られる、騙されるのは無知のせいである。無知は本当に怖い。自らの首を自分で締めあげて、さらにそれに気づけない。

*一般政府(2021)の支出を見れば
最終消費 45.787兆円
社会移転 73.1799兆円
となっており最終消費が「国民負担」としたらGDPの一割に届かない。小さな政府論者はこの社会移転を目の仇にしており、それは「自分のカネを人のために使ってほしくない」という富裕層の論理なのだ。しかもこういう人はカネを持っているから人が集まる。チヤホヤしてくれる。そのうち厚生年金なんて負け組が貰うもの、とか言い出すんじゃないか??

 この種の議論は、集められた社会的費用は使われれば誰かの所得になるという初歩的なことを忘れている。
日本経済の将来を展望する? 99%の悲観論に抗して ⑥ 高齢化は経済にとって悪い事なのか?




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