ようやく脱出したエピメテウスたちは、それぞれ倒れこむように路上に崩れ落ちた。
特に、連続して禁呪を使ったシルフィの顔色は悪く、浅い呼吸を繰り返している。
「状況は?」
駆けつけた天使にシルフィを預け、エピメテウスが聞いた。
「各地で、地獄の獣が暴れています。その数は五十を優に越え、被害も甚大です。現在は、事態も収束に向かっており、駆逐されるのも時間の問題かと」
「ここだけじゃなかったのか……」
エピメテウスの視線は、自然と館に向いた。
禁呪の影響は凄まじく、館と共に覆っていた地獄の根も、あらかた消え去っていた。
割られたガラスや、壊れた扉、崩れた壁がその威力を物語っている。
よく、無事だったものだ……腕の中で眠る女神の無垢な寝顔を眺めながら、エピメテウスは大きなため息をついた。
「シルフィードの禁呪で大方は仕留めたみたいだが、この近辺は一度浄化すべきだな」
「時間がかかるわぁ。死者とけが人、かなり出たみたいだしぃ」
黒羽と白羽は同時にため息をついた。パンドラの護衛の名目で駆けつけた彼らは、初日からとんでもないことにまきこまれたのだ、仕方がないことだろう。
「兄さん! 無事ですか?」
羽音と共にエアリーズが舞い降りた。彼女自身も戦ったのであろう、衣服はボロボロで、剥き出しの手や顔には細かい裂傷が走っている。
「なんとかな」
ひらひらと手を振るエピメテウスに、エアリーズは安堵のため息をついた。腕に抱かれて眠るパンドラの頬を撫でると、エアリーズはきつく瞳を閉じて膝を付いた。
「おい、大丈夫か?」
「少し、無理しました。シルフィードは誓名を使いましたね?」
「……二回、助けられた。歳はとりたくないものだな」
エアリーズは苦笑すると、黒羽たちの下へと駆け出して行った。礼でも言っているのか、ペコペコと頭を下げている。
やがて、二人を連れてきたエアリーズは、静かに呟いた。
「兄さん……いえ、エピメテウス。あなたを反逆者とみなし、捕縛します」
特に、連続して禁呪を使ったシルフィの顔色は悪く、浅い呼吸を繰り返している。
「状況は?」
駆けつけた天使にシルフィを預け、エピメテウスが聞いた。
「各地で、地獄の獣が暴れています。その数は五十を優に越え、被害も甚大です。現在は、事態も収束に向かっており、駆逐されるのも時間の問題かと」
「ここだけじゃなかったのか……」
エピメテウスの視線は、自然と館に向いた。
禁呪の影響は凄まじく、館と共に覆っていた地獄の根も、あらかた消え去っていた。
割られたガラスや、壊れた扉、崩れた壁がその威力を物語っている。
よく、無事だったものだ……腕の中で眠る女神の無垢な寝顔を眺めながら、エピメテウスは大きなため息をついた。
「シルフィードの禁呪で大方は仕留めたみたいだが、この近辺は一度浄化すべきだな」
「時間がかかるわぁ。死者とけが人、かなり出たみたいだしぃ」
黒羽と白羽は同時にため息をついた。パンドラの護衛の名目で駆けつけた彼らは、初日からとんでもないことにまきこまれたのだ、仕方がないことだろう。
「兄さん! 無事ですか?」
羽音と共にエアリーズが舞い降りた。彼女自身も戦ったのであろう、衣服はボロボロで、剥き出しの手や顔には細かい裂傷が走っている。
「なんとかな」
ひらひらと手を振るエピメテウスに、エアリーズは安堵のため息をついた。腕に抱かれて眠るパンドラの頬を撫でると、エアリーズはきつく瞳を閉じて膝を付いた。
「おい、大丈夫か?」
「少し、無理しました。シルフィードは誓名を使いましたね?」
「……二回、助けられた。歳はとりたくないものだな」
エアリーズは苦笑すると、黒羽たちの下へと駆け出して行った。礼でも言っているのか、ペコペコと頭を下げている。
やがて、二人を連れてきたエアリーズは、静かに呟いた。
「兄さん……いえ、エピメテウス。あなたを反逆者とみなし、捕縛します」