のくたーんの駄文の綴り

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眠り姫は夢の中 7章-12

2010-04-28 23:06:58 | 眠り姫は夢の中
「ねえ、リヴァ。
わたしの子供を殺した魔女は、元気かしら――?」
「――アリオーシュ!」
 いきり立ったリヴァの横を聖花はすり抜けた。
「アリオーシュ……無事でよかった」
 抱きつかれる格好となったアリオーシュは、一瞬きょとんとした表情を浮かべ、微笑みながら聖花の髪を撫でた。
「ごめんなさい。――あら……」
 傷だらけの手を取ると、「聖花、あなた……」
 苦笑。「エレメンタラー」アリオーシュの周りを舞っていた炎の残滓が、水滴へと姿を変えた。
「わたしを助けようしてくれたのね……」
 水滴が傷を潤すたびに、痛みが遠のいていく。「すごい……」
 ものの数秒で、聖花の手の傷は、すべて消えていた。
「さあ、行きましょう」
 聖花の手を取って歩き始めたアリオーシュ。困惑する
「行っちゃだめだ!」
 空いた手をリヴァが引いた。
 思いがけない強い力に聖花はよろめき、転びそうになった。
 文句を言おうと口を開きかけた聖花は、リヴァの、今まで見たことのない表情に思わず息を飲んだ。
「……あなたじゃ無理よ」
 アリオーシュの静かな声。「あなたじゃ、その子は救えない。自分でもわかっているんじゃなくて?」
 嘲笑するでもなく、あくまでも真剣な表情のアリオーシュ。リヴァの表情が険しくなった。
「ぼくが――あの頃のままだと思うなよ、アリオーシュ」