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意思による楽観のための読書日記

マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの<すきま> コリン・ジョイス ***

ニューズウィーク記者で92年に来日、日本に20年在住していた筆者による文化比較エッセイ。イギリスに行ったことがあって、イギリス人と会話した経験がある方なら「そうそう」と思うことしばしば。タイトルは、ロンドンの地下鉄に乗るときに、日本人なら「なにこれ?」と気がつく注意書きで、英語なら「Watch your step」だろうと思うところ。出口だってexitではなくway out。そもそもsubwayではなくunderground。英語であってもアメリカとは違うと思うところ。旅行好きの日本人が初めてヨーロッパ旅行するなら、パリ、ローマ、マドリッド、ライン下り、地中海クルーズ、オーロラツアー、ロンドンはその次ぐらいの位置付けなのか、それを知っていてタイトルにしたのがこれ。

アメリカでもそうだが、100ドル以下の買い物で現金で支払うときには、20ドル札を出して、お釣りをもらう。ロンドンででも紙幣で払うことになるが、日本人なら、端数をコインで数えてお釣りを切りのいい数字にする。それが、引き算が苦手な英米人は困る。4ポンド9ペンスの支払いに5ポンド10ペンス出すと、日本人なら1ポンドと1ペンスお釣りにもらいたいところ。イギリス人は余分な10ペンスをまず返して、91ペンスを返してくる。

イギリスの自転車にはスタンドが付いていないので、置くときにはそのまま壁などに立て掛けて置く。日本で驚くのは、自転車を取り出すとき、後ろも確認せずに自転車を後ろに出して通路を塞ぐことに驚くという。日本の観光バスにカラオケ装置がついているのには感心するが、トイレがないのは「そんなに歌うことの優先度が高いのか」と思わせる。日本のオフィスで女性がひざ掛けを使っていることがあるが、イギリスにはそういうことがないので、ひざ掛けを指す英単語が思いつかないという。

日本人がよく口にするセリフで不思議なこと。「日本には四季がある」、それはどの国にもあるよ。四季を感じる季語もある、というのもイギリスにだって詩人はいるし季節の移ろいを詠嘆する詩だってある。梅雨も季節だというと、それは夏の一部だと。「日本は小さな国ですから」それはイギリスのこと。面積で言えばイギリスの二倍、人口密度で言えばオランダより低いし、田舎に行けば過疎の村はたくさんある。「日本には方言がある」ロンドンとスコットランド、アイルランドも相当違うし、中国に行けばそもそも言語が違うことだってあるし、方言も日本の比ではないほど違う。「日本の物価は高い」いやこれは違う、失われた三〇年でデフレが進み、電車賃、ホテル代、理髪店などどれをとってもロンドンのほうが高い。ビールだけは日本の方がイギリスより高いのは確か。バブル時代の日本の物価は高かった、というのが正解。

日本語の素敵で気の利いた言い回し。「別腹」これはいい、デザートは本当にそう。「鵜呑みにする」、鵜が魚を丸呑みにすること考えたこともなかった。「目に入れても痛くない」可愛い孫は食べたくなる、と言うなら少しはわかるが。「猫の額ほどの土地」英語なら切手ほどの土地、それを猫の額。同じようなものに「蚊が鳴くような小さい声」蚊が鳴くところを見てみたい。「猫舌」これは本当にそうなのだろうか、確かめたことがない。「パチパチ」オノマトペは日本語は最高。「都合により・・・」これは腹立たしい、どんな都合なのかを説明してほしい。「仕方がない」これも何か方策があるはずだから考えてほしいと思う。

多くのイギリス人の疑問。「白い手袋をはめて通勤客を満員電車に押し込む職業は何」JR職員なのだと答えると、それは客から希望されているのでしているのか、と聞かれる。なんとも答えようがない。「中国人と日本人の見分け方」、それはイギリス人とドイツ人ほど違うのだが、具体的には答えられない。「芸者や相撲取りは街にいるのか」祇園や両国に行けばね。「アニメキャラが西洋人ぽいのはなぜ」業界のスタイルだと答えることにしている。「日本文字はなぜくねくねしているのか」外国人が日本のことを勉強することを難しく感じさせるため、と答えることにしている。本気で日本に興味がある人ならそんなことでくじけたりはしない。「日本人の宗教は何」これはきわどく回答が難しい。結婚式や葬式を見ると実は無信心でもないし、あなただって日曜礼拝サボるでしょ、とも答えたいが、お盆やお彼岸の墓参りを見ると、先祖を敬う気持ちは深いんだし。「働きすぎて死ぬ、という単語があるって本当」日本人だって働きたいから働いているわけではないが、日本で労働は美徳、イギリスではできればサボりたい、そこが違いかな。

日本語の数の数え方、これは外国人には最難関だが、ちなみに、英語で複数の数え方があるのをご存知か。魚の群れはa school of fish、象やantelope(アンテロープ)、鹿、キリン、カバ、ムース、うに、クジラ、しまうまはherd、キリンは背が高いからかtowerも使う。ライオンやくじゃくはpride、イルカやクジラ、ペリカン、アザラシ、セイウチなどの海で暮らす動物はpod、カエルやアリはarmy、鳥類、ガチョウ、ヤギ、羊はflock、しかしカラスはmurder、犬や狼、コヨーテ、hound(猟犬)、イタチはpack、猫はclowderで子猫はkindleとなる。これも難しいので、group of XXといえば間違いない。

多くの違いと共通点から日本文化の特徴を語る。

 

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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