1988年バブル破裂前夜のゼネコン業界に取引銀行から出向した山本を主人公に、ゼネコンのビジネスを描いている。ちょっと古くさい感じがするのは致し方ないか。東和建設は準ゼネコン、社長の和田征一郎はワンマン、山本は和田社長に気に入られ秘書的な役割を与えられ、ブレーンとして信頼を受ける。ゼネコンの問題は政界癒着、談合、裏世界との取引、山本は1年という短い出向期間に社長の側近としてこれらをかいま見る。バブル崩壊直前の危うい好況が崩壊を予想されるような記述が見受けられるが物語は山本の出向解除で終わり、バブル崩壊はその先の話である。出向解除の理由が、和田社長の息子の処遇に関する意見の違い。直言居士山本はできのよくない和田社長の息子の面倒をみるように頼まれるがいい返事をせず、社長の甥が新入社員として入ってこようとすると歓迎しようとして、和田社長から会社を追い出される形となる。物語のリズムやテンポがのんびりしていてはらはらどきどきしない。結論はわかっているようなそんなお話。 小説 ザ・ゼネコン (角川文庫) 読書日記 ブログランキングへ