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並べてみると 輪郭がつかめるかもしれない

宮崎駿の「おはようまだやろう」

2010-05-22 22:26:25 | 映画






ゆらゆら帝国解散から53日目


なぜポニョに惹かれるのか?
ひょっとしたら宮崎作品でいま一番好きなほどに。

それはこの作品が宮崎駿版
「おはようまだやろう」
だからだ。

言い換えるなら、宮崎駿版
「でもやるんだよ」(by根本敬)
だからだ。

しかも、とんでもなくエネルギーに満ちてる感じの。



宮崎駿はきっと心の底では一度いろんなものに対して
諦めを経験してるはずだ。

息子、吾郎の「ゲド戦記」を見て、
「映画は、『世界を変えてやる』と思ってつくらなきゃダメだ…」
(DVD『ポニョはこうして生まれた』)
とつぶやいたように、
そういう覚悟と欲望を持って作品をつくってるはずだ。

でも、
『ああ、エコロジーの宮崎さんですね』てなってしまうのは嫌なんですよ(笑)
『風邪の帰る場所』P279


といってナウシカ2を断りラピュタを作ったが、
相変わらず消えないエコロジスト、ヒューマニスト
というレッテル。
そしてあのラピュタとトトロが興行的には大失敗だったこと。

今でこそ大作家としてもてはやされてるが
ホントにおまえらわかってんのかよ!?
と思っただろう。いまもきっと思ってるだろう。

そして、
人間なんてね、ぜんぶ流されちゃえばいいんだよ!
(ジブリ汗まみれ 庵野秀明の回)


とかつて語ったように、人がレッテルを貼ってるような
ヌルい意味じゃなく、もっと突き抜けた意味で
地球を、そして小金井の色のない殺伐とした町並み
(DVD『ポニョはこうして生まれた』)
を嘆いている。

それでも、
アニメーションの表現の幅というのは、そんなに広くないと思いますよ。
 …自分たちの表現力の底の薄さはわかってますから
『風邪の帰る場所』P20


と「アニメを創る」ってことで起こせる事に対する限界
も痛いほど、こちらの想像をはるかに超えて感じてるだろう。


それでも作る。創る。いや創りたい。
ハウルを完成させて自律神経失調になって
治るのに数ヶ月かかるくらいボロボロになったとしても
まだ。


いろんな限界と諦めと、
それでもまだ残ってる欲望と執念と怒りと。
それに加えて老境も入ってきてる。
これらがゴチャゴチャに混ざさって出てきた
得体の知れないエネルギーが、
蓄積された経験ともともと持ってる一流の技術に
下支えされることによってできたものが
ポニョなんだ、きっと。

生命力が強い人間がやると
「おはようまだやろう」
はこうなるんだな。


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