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お東さんと、お西さん。

2021年01月02日 | 自然観、宗教観
浄土真宗は浄土宗の法然を師と仰ぐ親鸞、その弟子の蓮如によって広まった仏教の宗派ですが、長い歴史と膨大な数の信徒を抱え、大きくは、本願寺派と大谷派に分かれてまいりました。ふるくは一向宗、門徒宗とも呼ばれており、一向一揆や秀吉による石山本願寺の討伐など、歴史にも大きな足跡を残しています。

仏教徒じゃない人から見ると二つの区分はなかなか大変。お東さん、お西さん、いったい何のこと?です。簡単にいうとお西さんは浄土真宗本願寺派のこと、お東さんは浄土真宗大谷派のこと。西本願寺は本願寺派、東本願寺は大谷派です。

西本願寺→お西さん→本願寺派
東本願寺→お東さん→大谷派

表にまとめると次の通り



さて、大阪御堂筋にそって中央通りの交差点の北側にあるのが北御堂(浄土真宗本願寺派(お西さん)本願寺津村別院)、





南側にあるのが南御堂(真宗大谷派(お東さん)難波別院)。




二つの御堂の間は直線距離で数百メートルしかありません。そういえば京都の東本願寺と西本願寺もほとんど横に並んでいます。

どちらも巨大な本堂を有しますが、特徴的なのは北御堂の本堂(二つ目の写真)。長大な階段の上に位置します。成人男性でも登りきるのにハアハア言うほどで、実際は階段の裏側が数階建てのビルになっており、上に上がるエレベーターもあります。なぜわざわざこんな構造にしたかというと、もともとは石山本願寺といって信長に滅ぼされ、跡地に豊臣秀吉が大阪城を建てたという歴史があります。つまり追い出されたわけで信徒としては本堂が大阪城天守閣より低いのは我慢ならん、たまたま立地が高台のため階段でかさ上げして天守閣と同じ高さにしたのだとか。

御堂筋という名前自体、この二つの御堂を結ぶ道であることから名づけられたもの、北御堂か南御堂、どちらかの入り口でしばらく観察しておりますと、多くの人が、ご老人も若い方も、立ち止まり合掌されるのに気づくことでしょう。大阪の人はなかなな信心深いです。

ここで一言注意。合掌するときに唱えるのは「念仏」、つまり「南無阿弥陀仏」であり、「お題目」、つまり「南無妙法蓮華経」ではありません。念仏は浄土真宗とか真言宗が唱え、お題目は日蓮宗とは法華宗が唱えます、お間違えないように。

(2016年に投稿した記事を大幅改定しました)