車椅子父さん別館 ほのぼの子育て日記≪チームくまさん≫

車椅子父さん別館 くまさんチームのほのぼの子育て日記

緩和ケア(ホスピス)ボランティア

2019-05-18 05:53:13 | みんみん
一年前から総合病院の緩和ケア(ホスピス)でボランティアをしている。

末期がんの患者さんの為にピアノを弾いたり、歌を歌ってあげるボランティアだ。

きっかけは、近所の人がそのボランティアをしてくれる人を探していたところ、
私の家の窓から聞こえるピアノの音を思い出して声をかけてくれたこと。

高校生以来、本格的にピアノを習った事もなかった私は当初できる自信も全然無かったけれど、
自分にできることがあるのかもしれない、という思いでお引き受けさせていただいた。


見学すると平均一か月で天国へ旅立たれる方が20名程入所されている病棟で、
他の階と全く違った穏やかで安らかな雰囲気に満たされていた。


電子ピアノがあって、その前に4人掛けのテーブルが6台。
毎週一回、1時半から4時まで患者さん達がお茶を飲む時間に、私が患者さん達の為に音楽を演奏するということだった。

入所されている方は全員、自分の余命を告知されているという。
人生の最期をできるだけ穏やかに、幸せな思いで過ごしたいという思いに溢れた場所。

何の見返りも求めず、患者さん達が幸せな人生だったと思えるように尽くそう、そう心に決めた。


当初は穏やかな癒される曲を何曲か用意して行ったが、
何度か行くうちに、患者さん達に曲のリクエストもいただくようになった。
高齢な方が多いので、私の知らない演歌も沢山。。。

でも、人生の最期を迎えようとしている患者さんの願いは、何としても叶えてあげたい。
きっとお元気だった頃の思い出が詰まった大切な曲なんだろうと思った。

その場で自分のスマホでyou tubeで検索して聞くと、大抵の曲は伴奏つきですぐ弾くことができた。
曲を一回聞けば、だいたい伴奏つきで弾けるので、誰にも言った事のない自分のその変な能力を初めて本当にありがたいと思った。


そしてある日、ある患者さんに、「お姉さんに歌ってはもらえないだろうか・・・」と言われた。


その患者さんのリクエストされた曲は私の全然知らない曲で、ピアノで何とか弾くのがやっとだと思った。
でも、来週来た時には、その患者さんがいるとは限らない。

あの時は本当に神様がそばにいると思った。全然怖くなかった。
私は生まれて初めて人前で弾き語りをした。自分の知らない曲をぶっつけ本番で。

終わると患者さんはボロボロ涙をこぼしておられた。
「ありがとうね・・・やっぱり人間の声が一番心に響くよ。
綺麗な声とか、どうでもいいんだよ。
お姉さんの声が綺麗じゃないって言ってる訳じゃないんだよ。
お姉さんの心が私に響いたよ。本当にありがとうねえ」

その患者さんはそれから数週間後に天国へ旅立たれた。


それ以来、私は患者さんの歌のリクエストにも応えてあげることができるようになった。


それでも、リクエストいただいてもどうしても弾けない曲もある。
演歌で音の振れ幅が大きい歌は、何の音階で歌ってるのか分からない。
こぶしが効きすぎていると、元々の楽譜のリズムが分からない。

「ごめんなさい、来週には弾けるようにしておくので、来週まで楽しみに待っててくださってもいいですか?」

そして翌週行くと、その患者さんは既に旅立たれていた。
ごめんなさい、、、間に合わなくてごめんなさい、、、
天国で聞いてくれてるといいな、そう思いながら演奏させていただいた。
天国で聞いていてくれてるだろうか。。。


三日前はとても感動的な場面に立ち会わせていただいた。

いつもは車椅子の患者さんか、自力歩行できる患者さんしかいない空間に、
高齢のお爺ちゃんが、ベッドごといらっしゃっていた。
周りには、御家族と思われる大人が男女合わせて7名ほど。

お話しすると、今日がお爺ちゃんのお誕生日なのだという。

そこで、「おめでとうございます!今からハッピーバースデーの曲を弾くので、全員で歌ってくださいね!」と笑顔で言った。

前奏から弾き始めると、御家族の皆さんが声を揃えて歌ってくださった。
「ハッピバースデートゥーユー!
ハッピバースデートゥーーユー!
ハッピバースデーディアじいちゃん~!
ハッピバースデートゥーユー!」

みんな笑顔だった。笑っていた。
笑いながら泣いていた。
男の人も泣いていた。
泣きながら笑っていた。
お爺ちゃんも涙を流していらっしゃった。でも喜んでおられた。


お爺ちゃんは88歳とお聞きした。
今までの人生で色々な事があっただろう。
でも、こんなにたくさんの人が集まってくれて、お祝いしてくれて良かったと思った。
御家族の皆さんの愛情の深さに、私もその場に立ち会わせていただいて本当に感動した一日だった。

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