光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

横浜から  「魅惑のニッポン木版画」展

2014年04月06日 | アート 浮世絵・版画

横浜美術館の「魅惑のニッポン木版画」展が素晴らしい!

リーフレットも美しいですよね。 裏は

リーフレットの表、裏の作品を少し拡大。(作品名も併せて)

 

 

 

それでは、リーフレットの作品とダブルものもありますが、良かった作品を紹介します。(図録集から)

  

このシーン、落書きを塗り込んで消そうとしている職人の、クソッという表情、落書きの絵の活き活きとした描写が素晴らしい。

恋人同士の名を、相合傘の下に書くのは江戸時代からあったんだ。  右下に国周の落書き風の署名。

 

大正期の創作版画で、文芸雑誌「水甕」の表紙を飾った、長谷川潔の木版画。

 

ブログでも紹介した、「絶対のメチエー名作の条件」展では、銅版画の傑作を見ましたが、木版画でも素晴らしいセンスを示しています。

長谷川潔(1891~1980)は、1918年に渡仏し、以後、日本には戻らなかった。  上と次の木版画は渡仏前の作品。

 

長谷川潔 『函館港』 1917(大正6) 多色木版 35.3×42.4cm

 

 

 

恩地孝四郎(1891~1955)  『ダイビング』 1936(昭和11)多色木版 47.0×29.2cm 

 

 女性ダイバーのダイナミックな肉感、素晴らしい構図と色彩。   

 

ポール・ジャクレー(1896-1960)  『オロール島の少年、東カロリン諸島』 1940(昭和15)多色木版 47.0×29.2cm 

 ポール・ジャクレーは初めてだったのですが、ユニークですね。

子供の頃、日本に来て浮世絵など日本の文化を学び、ソルボンヌ大学を出てまた日本にもどり、日本各地はもとより、この絵のような南洋の島々

北東アジアも旅行し、そこの人々の絵を描いています。

この絵は、ユニセックス的な少年の描き方、色の大胆さなど、強く印象に残りました。

 

 

 

 

一方で、新版画の流れをくむ、伊東深水(1898-1972)の作品も情緒があります。

『髪』 1953(昭和28) 多色木版 49.3×34.9cm

 

 

 

1950年代から木版画も国際的な舞台に進出し始め、多彩な作品が生まれだした。 

恩地孝四郎の抽象的な作品による装丁。  『ダイビング』と同じ作家です。

 

 

 

水船六州も初めてでしたが、抽象画と木版画ならではのマチエールが美しい。

 

 

 

北岡文雄(1918-2007)

『黒人の女』 1967(昭和42) 多色木版 49.3×34.9cm

睨まれるような異様な迫力を感じたましたが、TVか映画で、昔見たような顔だち。

 

 

 

 

田嶋宏行(1911-1997)

『大道芸人』 1981(昭和56) 多色木版 57.8×45.5cm 

この作品も、赤一色の中の微妙なマチエールが魅力でした。

 

 

 

風間サチコ(1972年生まれ)

『噫!怒涛の閉塞艦』 2012(平成24) 木版画(パネル、和紙、墨) 181×418cm

この作品は、2012年12月、風間サチコの個展でみて驚き、実写版を紹介しました。 写真はその時のものです。

その後、東京都現代美術館が購入したのですね。  今回は、風間の他の作品も10点ほど見れました。 

社会批判や皮肉った内容で、彼女の姿勢は一貫しています。

 

 

吉田亜世美(1958年生まれ)

『YEDOENSIS-divine』 2014(平成26) 水性木版画、椿紙、カッティングシート、ジャングルジム、コンクリートブロック、砂、ビデオ
(横浜美術館 企画展示室ホワイエのインスタレーション)

 

ビデオで紫色の桜の蕾が、ひらり、ひらりと散っていき、砂場やジャングルジムには散った蕾が積み重なっています。

解説には、500年後の桜というテーマが紹介されています。

詳細を説明するよりも、この空間にいるときのふわっとした寂寥感、龍安寺の石庭の四季を、4Kビデオでみた東京国立博物館の京都展(平成25)でも感じました。 

コメント
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