ソクオケ～advanced～

「オレたちの仕事はさぁ、『準備』に尽きるからね。
当日オンエアとかイベントが始まるところまでなんだよ。イベント始まったら、あとは表舞台の人たちに任せるだけだよ。」

局に勤めてたとき、よくディレクター達が言っていた。

その言葉は、表舞台のアナウンサーに対するプレッシャーでもあるのだけれど（！）その「裏の仕事」って本当に大変なんだろうなぁ、とは思って、すごく感謝はしていた。

裏の仕事を、今回のソクオケでは、かなり本気でやることになった。

私は、クラシック鑑賞は好きだし、フルートも吹くけれど、オーケストラにきちんと入ったことはない。
ソクオケの運営には、オケでの演奏経験が長い人、運営にも携わったことのある人が何人もいて、その皆さんにいままでおんぶにだっこだった。

ただ、今回は私も本格的に関わることに。
そういう意味では、まさに私にとってadvancedな経験だった。

「風のホール」をとったのが去年１１月。
それから準備期間がおよそ一年。

もちろん、毎日何時間も準備をやっていたわけではない。
しかし、その時期時期で、曲の決定、編成、募集要項作り、ゲストのお願い、
参加者集め・・・・様々やることはある。

大変なこともたくさんあった。

予算組みがうまく行かず、もしかして自腹か・・・と腹をくくったこともあったし、弦楽器、特にヴィオラがどうしても集まらず、方々にお願いして回りもした。

（全く事情のわかってない夫さえ、私の連日の騒ぎように「ヴィオラ、今日は応募来た？」と気にしていた・・・）

でも、大変だったのは私だけじゃない。

次々来る応募や問い合わせに丁寧に応対をし続けたメンバー。
チラシ刷りや名札作成を寝不足になりながら行ったメンバー。
それ以外にも、舞台上の構成や、入金の確認やホールやレンタル楽器の対応や
もう、それはたくさんの仕事を運営メンバー一人ひとりが
全くのボランティアでやってくれていた。

そして、その運営との連携を超多忙なプロの皆さんが心を砕いてやってくださった。
指揮をするだけでも大変なのに、茂木さんは、それはもう音楽総監督といった様子で、イベントが成功するように、細かく様々なことを気にしてくださった。

シロウト運営がする質問にもいちいち答え、私たちだけでは絶対気づかないプロのアドバイスをそれはもう、たくさん下さった。

それも、N響の舞台に乗り、全国ののだめツアーをやり、そのほかのたくさんの指揮の仕事、本も何冊も仕上げながらである。

コンミス今井さん然り。

ゲストの手配を行い、私たちの動きがミニマムですむような的確な指示さえもしてくださった。

全てはそのイベントのために・・・・。

そして、迎えた当日。


副指揮の小平さんが、冒頭から出す、美しい音。

指揮者が茂木さんに代わり、音はますます、力強く、情感に満ち溢れ、
風のホールによく響く。

総勢１３人のゲストの皆さんに下支えされた音の中で、一日限りのオケの集中力はものすごく、完成度も非常に高かった。

最後の通しをゆったり椅子に座って聞きながら、
私は、冒頭のディレクターの言葉が、身にしみてわかった。

「ああ、ウラカタにとって当日って、準備の結果が出る幸せをかみしめる時間なんだな」

打ち上げには、大勢の参加者の方が喜んで参加してくださった。
そこでみる笑顔がイベントの成功を感じる一番の時間。

やってよかったな、と思う。

そして、ディレクターが表舞台の人にもたくさん感謝を感じていたことが、
今になってよくわかった。

参加者の皆さん、ほんとうに、よい会にしてくださってありがとうございました。

茂木さん、小平さん、今井さんを始めゲストの皆さん、本当にありがとうございまいした。

一緒に働いてくれた運営メンバー、本当にありがとうございました。

次回のことはこれからだけど、「やってよかった」とまた思えたら、本当にうれしい。