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ここはフォーゴトンレルム。剣と盾による法はもちろん、祈りに応えてくれる神様が実在し、魔術は日常、死も日常のいわゆるファンタジーの舞台となるに相応しい時と空間に浮かぶ世界さ。
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今、この世界のネヴァーウインターナイツと呼ばれる街は死に瀕している。原因は謎の疫病だ・・
高位の司祭達による呪文も、錬金術師が調合する薬も効かないこの疫病のせいで、遠くない未来、街は「かつてネヴァーウインターナイツと呼ばれた場所」・・として後の冒険者たちの飯のタネになるのは避けようがないと思われている。
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そんな街でボクは今冒険者として「アカデミー」での基礎教育を終えたばかりだ。これからさし当たってはこの街を蝕む疫病を払いのける手段を探す役目につく事になるはずだ。
そうそう、ところでボクは・・
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「ヒューマン」の男で、ご覧の通りの洒落た私服センスの持ち主、チャームポイントは頭に生えた二本の角だ。
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職業は冒険者・・ということになるのかな? ただし、クラスは「パラディン」、神様に仕えて正義を体現する戦士と言うわけさ。剣の力で悪を叩きのめし、神のご加護で人を守る、まさに聖職! 正確には「返り血で血まみれの」聖職者というところかも知れないが・・。
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このアカデミーでは有望と思われる若者を選別し教育し、直面した災厄に対するエージェントを育成している。ボクはそこに招かれて・・ま、それだけ有望だったということだけど・・訓練を受け、今、まさに旅立つ支度を終えようとしている。
ボクを見込んでくれたのは、「レディ・アリベス・ド・ティルマランド」、通称レディとか、親しい者からはアリベスと呼ばれている半ば伝説的な女性パラディンだ。
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彼女はただでさえ危険なこの世界を探求し、街をおぞましい疫病から救うために献身的な活動を続けている。奇しくも同じパラディンと言うクラス同士、ボクは彼女に対して憧れとも嫉妬ともつかない感情を(性差を超えて)持っている。
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さて、ベッドの中で自分のクラスと世界の様子、冒険の目的、ついでに名前を思い出したところでとっとと起きあがるとしよう。今日は大事な卒業式だ、教官からのシゴキの記憶も生々しいこのアカデミーとも今日でお別れとなるとさすがに感慨深いものがある、記念に隅々まで記憶にとどめておくとしよう。
とりあえずの計画を立てて自室から出てきたボクを待っていたのは同期の訓練生・・え~と何て言ったかな・・大したヤツじゃあなかったので名前も覚えていない。ボクが普通の訓練生と違ってアカデミーからの言わば「お願い」によって招かれた特待生であることにちょっとした嫉妬を感じている様子だ。ま、才能ってのは人それぞれ・・所詮、配られたカードで勝負するしかないのさ(スヌーピーの名言)・・。
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ウロウロしていてアカデミー内の売店のオヤジに出くわす。売店と言ってもこんなご時勢のこんな施設内でのこと、カロリーメイトなんてものは売られてはいない。同じ口にするものでも「ヒールポーション」なんて言う得体の知れない緑色のドロドロドリンクが関の山だ。後は、不吉な(だけどなんとも心強い)黒光りする武器の数々・・。
オヤジの言によれば、アカデミー特典で高性能の武器も割引をしてくれるという・・けど、とても手が出ない・・確かにマジックアイテムなんかも揃っていて魅力的だけど・・お世話になるのはまだまだ先のことだろう・・。
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つい昨日までのシゴきの舞台、訓練場。まだアカデミーを卒業できないグズ達が引き続き訓練を行っている。ここで教官から「最終テスト」なるものを強要される。まさか教官の命を奪うことでようやく卒業が認められるのか・・? 南斗鳳凰拳じゃあるまいし・・と思っていたら、「訓練用デク人形を破壊」するか「教官を一発殴る」のがテスト内容。なあんだ・・もちろん教官を殴って即合格。
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パラディンのボクは神への祈りと武器を使った訓練ばかりだったので知らなかったのだが、魔術師養成コースではこのようなテキストを使って訓練が行われているようだ。算数の時間の巨大ソロバンじゃあるまいし・・まったく魔術師というのはどういう神経をしているのか分からない・・。
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ただし、魔術師の訓練は見た目にもハデでちょっと羨ましい。冒険で出会う魔術師の連中は軟弱な見た目やエフェクトの華やかさとは裏腹に容易に死をもたらす恐るべき相手だということを忘れないようにしなければ・・抵抗するための訓練はもちろん積んでいるがね。
魔術師コースだけで良いと思ったが、この際だ他のコースも見学してから式典会場へと出向くとしよう。
つづく・・・
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