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雑感録

福岡なるほどフシギ発見~番外編~ 国宝級? 元岡古墳群の紀年銘入象嵌太刀

 
暦刻んだ大刀出土 福岡市西区・元岡古墳 「庚寅」の文字、570年製造か (2012年9月21日 西日本新聞夕刊)
 福岡市教委は21日、西区の元岡・桑原遺跡群の元岡古墳群(7世紀中ごろ)で西暦570年に製造したことを示すとみられる「庚寅(こういん)」など19文字の銘文が象眼という技法で刻まれた鉄製の大刀が出土したと発表した。暦使用の日本最古の実例とされ、6世紀半ばに朝鮮半島から暦が伝来したとする「日本書紀」の記述を裏付ける貴重な発見とみられる。
(中略)
 市教委は23日午前10時-午後1時に西区元岡の発掘現場で現地説明会を開く。現地事務所=092(806)2393。

という訳で、現地説明会に行ってきた。
元岡古墳群といえば、去年装飾付圭頭大刀」が見つかったG1号墳のあるところ。
今回の太刀が見つかったのは7世紀中頃(古墳時代末期)に造られたと推定されるG6号墳で、G1号墳(7世紀初め頃)より少し後の時代のものらしい。

石室がしっかり残っているG6号墳。石室の奥にある札が太刀のあったところ。墳丘は造成されて残ってなかったそうだけど、直径18m程度で、形は多角形の可能性もあるとのこと。

で、出土した太刀のどこが凄いかというと、太刀の背(峰)の部分に日付入りの銘文が記されていたこと。
「大歳庚寅正月六日庚寅日時作刀凡十二果〓」(〓は解読不能)の19文字で、庚寅(西暦570年)1月6日に造られたということらしい。
日本書紀によると暦は百済から554年に伝わったとされていて、この太刀はその16年後の日付が入った、暦の最古の使用例ということだそうな。
古墳時代の銘文をもつ刀剣は全国で8例目、そのうち紀年銘が入ったものは5例目で、ほとんどが国宝または重要文化財に指定されてるので、この太刀も国宝になる可能性大なのかも。

錆と土でガビガビの太刀。後でクリーニングされるのだろう。銘文の存在はX線写真で分かったとのこと。タガネのようなもので文字を刻んで、そこを金や銀で埋める「象嵌」という手法で記されていたため、X線写真にくっきり出たんだそうな。



副葬品で直径12cmの日本最大級の銅鈴も出土していて、古墳はこの地方の有力豪族の墓と考えられるとか。
7世紀中頃といえば、日本が白村江で大敗して朝鮮半島から撤退したのが661年だから、日本軍が駐屯していた糸島半島にとって微妙な時期。
いったいどんな豪族さんが眠っていたのでしょう?
もしかしたら中央から派遣された人かもね。

けっこう大きな銅鈴。見た目には分かりにくいが、断面は八角形。中には小さな鉄の玉が入って、馬具として使われていたそう

ほかにも須恵器や装飾品が出土している。


※今回の出土品は、9月28日~10月9日の期間、福岡市埋蔵文化財センターでも速報展示されます。

2013.1.23追記
その後の調査で、銘文の象眼に金が使われていたことが判明したそうです。
暦刻んだ大刀 金文字 福岡・元岡古墳 全国3例目 (2013年1月23日 西日本新聞朝刊)
福岡市は22日、同市西区の元岡古墳群から出土した鉄製大刀(たち)に西暦570年を指すとみられる「庚寅(こういん)」などの漢字が刻まれた銘文の成分が金であることが判明したと発表した。古墳から出土した刀剣で、表面を彫って金を埋め込む金象眼が見つかったのは全国3例目。
市埋蔵文化財調査課によると、大刀は2011年9月に出土。「庚寅」の干支(かんし)と「正月六日」の日付など19字の漢字が刻まれており、国内で暦が使われた最古の例として注目された。
昨年12月から大刀の表面のさびを削り取った結果、銘文の一部が現れ、埋め込まれた2ミリ四方の成分を分析したところ、金であることが分かったという。
市は今後、象眼の全体像解明に取り組み、類例との比較などを通して、所有者や製作地の特定を進める方針。西谷正・九州歴史資料館館長(東アジア考古学)は「金で文字を刻んだ大刀は当時の最高級品で、所有者は重要人物といえる。大和政権から与えられたとすれば、大陸との窓口だったこの地域の重要性を示すものだ」と話している。


2014.1.24追記
その後のクリーニングで金文字が露出したそうです。
1400年前の輝き、再び 金象眼の文字「作刀」露出成功 (2014年01月24日 西日本新聞朝刊)
福岡市は22日、同市西区の元岡古墳群から出土した鉄製大刀(たち)に西暦570年を指すとみられる「庚寅(こういん)」などの漢字が刻まれた銘文の成分が金であることが判明したと発表した。古墳から出土した刀剣福岡市は23日、西区の元岡古墳群で出土した西暦570年を意味する干支(かんし)「庚寅(こういん)」などが刻まれた鉄製大刀(たち)=長さ75センチ=からさびを取り除き、金象眼が施された「作刀」の2文字の露出に成功したと発表した。これまでエックス線やCTスキャナーによる検査で、刀の背に漢字19文字が刻まれていることは分かっていたが、肉眼で確認できるようになったのは初めて。1400年ぶりに輝きを取り戻した。
 昨年11月から、文字を覆うさびを電動工具で本格的に落とす作業を始めた。「作」は6ミリ四方、「刀」は縦4ミリ、横4・5ミリ。年内に残る17文字の露出を目指す。同日、考古学の専門家らでつくる調査指導委員会で報告。委員からはこれまでの出土例と比べて流麗さを評価する意見などが出た。坂上康俊九州大学教授(日本古代史)は「美しい書体であることは誰もが認めると思う。ぜひ残る漢字も出してもらいたい」と話した。
 大刀は2011年9月に出土。「庚寅(こういん)」が刻まれ、国内で暦が使われた最古の例として注目されている。また、古墳から出土した大刀で金象眼が確認された全国3例目。大刀は25日~2月16日(月曜休館)、市埋蔵文化財センター(博多区井相田)で公開される。


2014.1.24追記
で、現れた金象嵌を見てきました。
上は複製品、下が太刀の実物。
なかなか美しい文字で「作刀」と書いてある。大きさは「作」で6mm四方程度。

「作刀」の二文字が鮮やかな金色で浮かび上がっています。
さすが埋文、写真撮影もOK。
今回は2文字出たところで一旦展示したけど、今年中には残りの文字もクリーニングするそうです。


2015.2.18追記
で、すべて現れた金象嵌を見てきました。
全体的に泥が落とされて、太刀の形がハッキリしていました。鍔のあたりの銅のようなものはハバキ?。
峰に刻まれた金象嵌。「寅の年、寅の月、寅の日と、寅が3つ重なる縁起の良い日に作りました」ってことが書いてあるらしい。

これまでに見つかっている銘文刀剣の文字が金釘流(!)だったのに比べると、流麗で格段に美しい書体らしい。


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