気になる数字
それは自死(自殺)者の増加だ。
昨年、コロナでの死者数は3466人、それに引き換え自死者数は2万222人。
前年比797人の増加である。
(厚生労働省『2020年人口動態統計(概数)』2021年6月発表)
特に若者の自死に注意したい。
10代(781人)、20代(2414人)、30代(2510人)の死因の一位は自死だ。
直接コロナとは関係がないように見えるが、鬱鬱とした時代の空気の中で生きていくことに希望を見いだせない若者が増加しているのではあるまいか?
自死の原因はにわかに論じがたいが、コロナが戦後日本が作り上げてきた社会システムの虚弱な部分をついているように思われる。
戦後日本は、産業と人口の大都市圏集中を実現し、産業力によって「豊かさ」をもたらしたが、一方では「過密の中の孤独」を深め、生存危機を意識せざるを得ない危機における心の耐久力を虚弱化させたのではないか?
心の耐久力、回復力が求められる時代である。
生き抜く心の耐久力にとって大切なのは、生身の人間社会とのつながりであり、人間はそこに希望を見出すのだ。
したがって、大人社会の責任は重い。
どんなに厳しい時代環境にあっても、そこの生きる大人たちが筋道の通った挑戦を続けている限り後進は希望を失わない。
時代が「虚偽・虚栄・偽善・欺瞞の空気」を漂わせている限り、不安と不条理に追いつめられるのだ。
(以上)