ラジオ深夜便の心に花を咲かせてで歌人で古典文学研究者の入谷泉さんの話が興味深かったのでメモしてみた。昔詠まれた和歌には掛詞(かけことば)が多く使われその有名なのは太田道灌が雨に遭いとある小屋に雨具を借りたいと寄った処、出てきた若い女は 七重八重花は咲けどもヤマブキの実のひとつだになきぞ悲しきとの掛詞で、ヤマブキの花を差し出したが道灌はその意味が分からず、和歌の勉強をしてみてみの(簔)と実の掛詞を知りそれから和歌の道に精進したという逸話はあまりにも有名。
梅と鶯、ほととぎすと花橘、萩と鹿などは歌語(歌ことば)で梅と言えばウグイスがくる、しかし実際はウグイスでなくてメジロなのだがどうしてかメジロをウグイスと誤って薄黄緑色をウグイス色などと言っている。実際のうぐいすは茶色っぽい。掛詞で多いのは待つと植物の松や、あやめ草でこれは道理を指す。郭公(ほととぎす)啼くや五月のあやめ草あやめもしらめ恋もするかな 詠み人知らず 古今和歌集
時刻を指す言葉に黄昏時(たそがれどき)という夕方をさす言い方があるが対になる言葉に”かわだれどき”がありこれは(彼は誰れ時)で朝方の事。平安時代の貴族達は男は朝は、女のもとを分かれて自分の家に戻ることから後朝(きぬぎぬ)の別れと言い、朝方は別れのさみしい時なのだ。そうした社会のしきたりから生まれた言葉の一つ。
梅は中国から渡来したもので当時は珍重され梅見の宴が盛んにおこなわれた。梅は音読みで訓読みはない。中国語では「ばい」「めい」と発音される。和歌は音読み言葉を使うことから梅を詠った歌はない。
心に花を咲かせての 花が持つ意味の現代版カーネーションはありがとう バラは愛してる、前者は母の日に贈る後者は言わずとも愛する人に贈るもの。
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