たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2023/9/14~9/19 秋の熱帯夜、未明の4彗星。

2023-10-01 | たまおの星便り

 例年ならば「秋の長雨」が降りしきる9月半ばに今年は猛暑日が続いた。強い南風にのって暖気が太平洋から吹き寄せ未明になっても海岸はじっとりと蒸し暑い。いつもは海が見渡せる小高い砂丘に陣取るが、風を避けて海岸から少し離れた草地に機材を設置した。南側に車を寄せて風除けにするとほぼ無風になるが、それだけに蒸し暑さは募り、蚊がしきりに寄ってくる。当然、それを見越して長袖、長ズボン、手袋に加え、防虫ネットを頭からかぶって観測体制に入る。熱帯夜の星空航海は暑さと蚊との闘いでもある。
 西村彗星C/2023P1が明け方の空を駆け抜けて去り、いつもの予測通りに未明の空をうごめく彗星たちに狙いを定める。南の洋上30度にはC/2020V2(
ZTF)彗星がくじら座を動いている。空高くペルセウス座には103Pハートレー彗星、東の空のふたご座β星、カストルの近くには2Pエンケ彗星、そして南東の低空、冬の銀河の中にC/2017K2パンスターズ彗星が姿を現し始めている(画像上)。
 秋分の日も近く、薄明開始は午前4時前だが、そのかなり前から東の空には赤いほのかな光が立ち昇っている。
明け方の黄道光がこうしてはっきり見えるのも風が強くて透明度が高いおかげだが、一方で、星の画像がその淡い光で赤くカブってしまう。さらに金星のマイナス4等の強烈な輝きがカブりに追い打ちをかける。
 明けの明星と薄明の空と黄昏時の蚊の猛攻にせかされるように、熱暑の海岸を後にした。

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