たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2023/1/21~1/30 厳寒の北天をめぐる青いほうき星を追って。

2023-02-09 | たまおの星便り

 新月期を迎える1月下旬頃から寒波が房総にも押し寄せてきた。温暖なイメージのある房総半島だが、実は内陸の佐倉市や八街(やちまた)市では冬になるとマイナス5度程度を記録するのも珍しくない。
 1月26日の未明、海岸に向かう道半ばの八街市郊外で車の外気温計が一時マイナス9度を表示していた。数日前に降った雨で山道はアイスバーンになっていたのでいつもより遠回りの市街地を速度を落として慎重に走った。
 観測地は
ほぼ無風でマイナス5度、南東の空にはさそり座の頭が昇りかけていた。久しぶりの肉眼彗星として話題のZTF彗星C/2022E3が北極星にほど近い「りゅう座」で北天を一晩中沈まずに回っている。光度は約5等、小型双眼鏡ではぼんやりとした小さい光芒が見えるが肉眼でははっきりしない。それでも15㎝反射望遠鏡+デジカメのわずか20秒露出で撮影すると翡翠色に輝くコマから赤い尾をたなびかせた「ほうき星」の姿がビューファインダー越しに浮かび上がってくる。
 午前3時を過ぎた頃には手もとの温度計がマイナス8度を指していた。鏡筒や三脚、カメラもすでに白く凍り始めていた。そんな中でZTF彗星だけでなく夜空をひっそりとうごめく他の暗い彗星も写野に収めていく。
 極寒のこの日を含めて前後4日にわたってZTF彗星の変化を追ってみた(上画像、すべて
)。北天を移動するにつれて尾の姿かたちや流れる方位が日々変わっていくユニークな彗星だった。

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