たまおの星便り-星海原の航海日誌 N O W !!  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2022/6/25~7/2 異常に早い梅雨明けと戻り梅雨に翻弄されて。

2022-07-16 | たまおの星便り

 今年は例年どおり6月初めに梅雨入りし来月下旬までは星は見えないだろうと思っていたら20日過ぎから南風が吹いて晴天が続き始めた。25日は新月4日前の月が東の空にあったが、梅雨明け直後の抜けるような空に惹かれて海岸に向かった。夜半過ぎに着くと強い南風を車で遮るようにして駐車場に機材をセットした。気温は26℃もあったが強風のおかげで蚊も虫も寄ってこない。月が昇ってくる前に、南西の空、へびつかい座で9等台と明るくなっているC/2017K2パンスターズ彗星と南東の低空、くじら座にある22Pコプフ彗星を撮影する。1時30分過ぎになって東北東の木陰から月が顔を出した。透明度がいい夜だけに刻々と眩さが増していく。露出時間を抑え月明りを避けるようにして東の星座群に筒先を向けていった。夏至が過ぎたばかりとあって薄明が進んだ3時過ぎには海岸を後にした。
 その後27日まで快晴夜が続き、遅れて気象庁は異常に早い梅雨明けを宣言した。それに誘われるように連夜、九十九里海岸に向かった。27日の3時前には大気差で歪んだ極細の月が地球照とともに薄明の始まった北東の超低空に昇った(画像上右)。南天から東天へと続く土星、木星、火星、金星の連なりともあわせて宇宙の広がりを感じさせる夜明けだった。
 「梅雨明け三日」と言われるように、それからはまた、曇りと雨の日々となってしまった。7月1日未明は気象衛星の赤外画像では雲が見えなかったが「ひまわり霧画像」では九十九里の海岸付近に濃い霧が押し寄せていた(画像下)。星空航海は断念した。

 7月2日未明は雲も霧も消えて夏夜空に戻った。夜半過ぎに海岸に到着するといつも機材をセットする小高い丘の近くに珍しく人影があり、星景写真を撮りに来ているようだった。こちらのライトの光が漏れないように気を遣いながらいくつかの彗星を撮影した。
 その後は戻り梅雨の毎日となった。いくつかの気象衛星画像と気象予報を見比べながら時間が過ぎていった。7月11日未明、高層雲に強い気象衛星の赤外画像では目立った雲は見えなかった。霧や低層雲に特化した「ひまわり霧画像」でも観測地付近には何の兆候も見えなかった。GPVの最新版「SCW気象予報」だけ巨大な雲海が房総全域を覆う予報を出していた(画像下)。

 予報は所詮、予報。二つの衛星実画像を信じて観測地に車を走らせた。次第に霧が濃くなり海岸に着いてみると視界は約100メートル、空は薄い雲に覆われて星影はほとんど見えなかった。予報よりも実際の気象衛星の画像に裏切られた、稀有な一夜だった。

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・2022/5/25~6/3 梅雨間近のわずかな晴れ間を襲ったゲリラ雹(ひょう)。

2022-06-11 | たまおの星便り

 5月25日未明の低空には下弦を3日過ぎた月が昇り始めていた。本来は月明りのある時は海岸には行かないが悪天候の狭間のわずかな星空を逃したくなかった。機材をセットするとすぐに南天高くへびつかい座の天の川にあるC2017K2パンスターズ彗星を撮影した(画像上左)。以前より明るくなり短い尾が見えていた。時間が経つにつれ月が高く輝き、空が明るくなっていく。カブリを抑えるために露出を短く切り詰めながら撮影を続くていく。南天から土星、月、火星、木星、東天水平線上に金星と太陽系の仲間たちが出揃ったところで薄明を迎えた。
 6月3日は新月を過ぎてようやく晴れ間の見える夜空となった。気温19℃と昼間の蒸し暑さが残り蚊が飛び始めていた。未明に見える彗星をいくつか捉えようとしたが、導入の精度が不十分だったり低空の微かな雲に阻まれたりして、ひとつも撮影できなかった。この時期は一年で最も日の出が早くなる。午前3時前には始まる薄明を気にしながら、
あらかじめ用意した撮影スケジュールにしたがって南天から北東天の夜空に筒先を向けていく。それから間もなく西から薄い雲の帯が伸び始め星の輝きが鈍くなってきた。あたりが明るくなる頃には北から北東の空に黒い雲が居すわってしまった。梅雨目前のひと時の晴れ間だった。
 その日の昼間は大気が一層不安定になり各地で雷雲が発生した。自宅マンションのある船橋は午後4時頃から雷鳴がとどろき始めた。やがて、すさまじい雷雨とともに2~3㎝大の雹が猛烈な風にのってあたりに激しく大量に降り注いだ。雹の嵐で視界が曇り、あちらこちらに見る見る「雹だまり」が出来ていた(画像上右)。20分ほどで激烈な降雹は収まったが、自分の車も含めて駐車場の車のほとんどに無数の雹エクボ(凹み)が残ってしまった。
ガラスの破損こそなかったものの、初めて経験する雹の被害だった。
 下の画像は5月28日午前の太陽プロミネンス。地球の気象がどうであれ、太陽は変わらず激しく燃えている

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・2022/4/25~5/4 雨と霧と夜露にけぶるゴールデンウイーク。

2022-05-19 | たまおの星便り

 例年のゴールデンウイークは4月早々から始まる「関東雨季」が中休みとなって晴れることが多い。だが今年は休みなく延々と雨と曇りの日々が続いた。
 4月25日は雲まじりの怪しい晴れ間がのぞいた。用があって実家のある茨城県坂東市に深夜に行き、町はずれの畑作農地に観測機材を設置した。空から雲は消えていたが辺り一面濃霧に閉ざされている。都心から50キロ離れた田舎町でも関東中央に位置するためにそれなりに光害がひどい。まして霧のために視界が100メートルもない中で、それでも天頂付近にはベガが瞬き、かろうじて北極星もどうにか視認できる。
 しばらくすると霧が少し晴れてきた。南東のC/2017K2パンスターズ彗星と北斗のひしゃく近くを移動するC/2020V2(ZDF)彗星を短い露出で撮影した(画像上左)。ほぼこれだけが霧にむせぶ夜の釣果だった。
 5月4日未明は連休中で唯一の晴天夜だった。九十九里海岸には
遥か東方沖の低気圧の荒波が音を立てて打ち寄せていた。海をわたる南風がいつになく湿っぽい。夏の天の川が天頂から南の水平線にかけて音もなく流れ落ちている。
 本州のほぼ東端にある海岸は午前3時前にはもう薄明が始まる。時間に背を押されるようにまず前回と同じ南東と北の空にある二つの彗星から撮影を始める。特にC/2020V2(ZDF)彗星は13等と暗く小さく、その姿を捉える限界に近かった(画像上右)。さらにスケジュールに従って東天の空域を撮影してしばらく経ったところで急に星の写りが悪くなった。あたりに淡い靄が出ているが空に雲はない。もしやと思って15㎝反射望遠鏡の筒の底をライト照らしてみると主鏡全面が白く結露していた。筒先にある斜鏡も結露している。潮まじりの生暖かい波風を受けて金属やレンズ、カメラなどの冷えた部分には隙間なく結露している。霜取りヒーターの準備をする間もなく薄明が迫ってきた。
貴重な晴れ間を夜露の急襲に奪われた一夜だった。
 5月3日、よく晴れた昼間の太陽に巨大なプロミネンスが二つも立ち上がっていた(下画像)。
太陽がいよいよ第25活動周期の渦中に
入ろうとしていることが実感できる。


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・2022/3/31~4/10 菜種梅雨と花曇りのわずかな晴れ間。

2022-04-15 | たまおの星便り

 房総に菜の花と桜の季節が来ると新月期の夜は時間を持て余すことが多くなる。3月の後半から10月頃まで続く長い「雨季」 が始まった気分になる。それでも昼間は黄砂まじりの晴れ間がのぞく。3月25日には太陽に大きな黒点群と迫力のあるプロミネンスが見えていた(画像上右)。
 3月31日は前線が北上して強い南風が雲を吹き飛ばしてくれ た。南洋から雲の襲来も予想されたが貴重な晴れ間なので迷わず午前2時過ぎには海岸に到着した。いつも機材を設置する海辺近くの小高い砂丘は強風に晒されていた。すぐに海岸から一番離れた駐車場の隅に移動し、車を南西側に置いて風よけにした。午前4時過ぎには早くも薄明が始まる。急いで機材をセットして東天のわし座にあるC/2017K2パンスターズ彗星を撮影した(画像上左)。気温13℃、湿り気のある空は5等星が何とか見える透明度ながらクリアーな一夜だった。
 その後は花曇りの夜が続いた。8日未明は気象衛星画像では一見、雲が切れていたが「ひまわり霧画像」では動きの遅い低層雲が局地的に厚くたなびいていた。未明の晴れ間を期待して海岸で待機していたものの雲は一向に動かず午前3時に諦めて帰路についた。
 月没が次第に遅くなり暗夜がわずか2時間余りとなった4月10日の日曜未明は全国的に晴れ渡った。午前2時にいつもの海岸に着くと浜辺が異常に明るい。今年2月、厳寒の深夜に照明を煌々と灯して大音響で楽器を奏でていたのと同じイベントのようだった。すぐさま車で3分ほど離れた近くの海岸に退避した。風が弱く霧が出ていた。近くの交差点の街路灯が濃霧に反射してカブる可能性があったのでいつもより露出を抑え気味にしていくつかの彗星を撮影した。薄明が近づくにつれて霧は薄くなり透明度が増してきた。夏の天の川が天頂から南の水平線に音もなく流れ落ちてまもなく空が白んできた。

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・2022/3/1~3/12 房総前線、異常あり。曇り夜の九十九里海岸。

2022-03-18 | たまおの星便り

 3月に入ると氷点下で朝を迎えることはなくなった。そのかわり昼間は晴れていても夜になると房総沖から伊豆半島にかけて怪しい雲が沸き上がる日が多くなった。南関東を囲むように北からの風と西からの風が相模湾付近でぶつかると大気が渦を巻いてミニ低気圧ができる。偏西風の影響を受ける秋から春にかけて、この「房総前線」がたびたび空を曇らせてしまう。
 1日は夜半過ぎまで衛星画像では雲の片鱗もなかったが午前4時過ぎに沖合から雲が突如流れてきて薄明開始時には東から南の空がすっかり曇ってしまった。
 しばらく新月を挟んで夜になると曇りがちとなり、6日未明には雨後の快晴夜になると信じて海岸に向かった。午前2時過ぎに到着すると予想に反して雲が抜け切っていない。しかも雲の動きが遅く、さらに強い北西風が吹き始めた。機材はセットしたものの、東天の天の川にひっそり輝くパンスターズ彗星C/2017K2を雲間から撮って待機した(画像上左)。だが結局、空が白むまで星はほとんど見えなかった。
 それからは衛星画像で「房総前線」の動きを絶えず注視して移動した。10日は気温が1℃まで下がりクリヤーな冬空となった。機材の運び出しをしていると車が一台入ってきた。釣り人にしては早すぎると思って挨拶をすると写真を撮りに来た成田のKさんという初対面の方だった。暗い中、三脚や機材をもって海岸まで降りていったので星景写真やマジックアワーの撮影に来たのかもしれない。お互い海岸では離れて別々の星撮りを満喫した一夜だった。
 最近、晴れた日の大気の安定した昼間には自宅のベランダからHαの光で太陽の姿も撮影している。40年前のフローライト70㎜屈折望遠鏡にアメリカDayStar社製のプロミネンス・アダプターを取り付け天体用CMOSカメラで太陽の動画を撮影し、静止画に合成処理をする。下左が地球10個分もあろうかという3月6日の巨大プロミネンス、下右が3月14日の巨大黒点群12965と表面のフィラメント構造。太陽の表面も刻々と姿が変わり興味が尽きない。

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・2022/2/1~2/13 10年ぶりのマイナス8度、凍れる天の川の輝き。

2022-02-18 | たまおの星便り

 2月になると九十九里海岸でも氷点下の夜が続いた。先月に続いて雪の降る日もあった。道路の凍結が心配なので海岸に抜ける山道を避けて山間の平坦な道を通って観測地まで往復することが多くなった。いつもより片道3キロほど多く走り5分ほど余計に時間がかかるが安全に越したことはない。
 2月6日の未明は日曜とあって海岸の駐車場は
釣り人でそこそこ混んでいるだろうと予想していたが着いてみると一台しか先客はいなかった。車の外に出るといつもと違って肌を刺すように空気が冷たい。すでにマイナス3度、風もなく波音も小さく、星々が空に凍り付いたように輝いている。
 海岸沿いの小高い丘に機材をセットしているうちに気温がどんどん下がっていくのが感じられる。体は重装備の防寒着と防寒靴に守られているが穴の開いた手袋から出ている指先は寒さにしびれる。
 光度の落ちてきた67Pチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(画像上左)や南から東の空にある暗く小さな彗星たちを撮影しているうちに手もとの気温計はマイナス8度を表示した。ここ数年は暖冬傾向だったのでこうした低温を記録するのはほぼ10年ぶりのことだった。すでに望遠鏡やカメラ、車体には霜が
白く凍り付いていた。いつにも増して星空は冴えわたっていたが久しぶりの極寒の一夜だった。
 12日未明は
前日に降った雪が途中の
道路わきに残っていたが海岸沿いはほとんど溶けていた。2時頃に到着するとワゴン車が何台も停まっていて南東の空が妙に明るい。大きな漁船の漁火かと思って浜辺に出てみると巨大な集光灯が二つ空を煌々と照らしていた。時々太鼓を打つような大音響が鳴り大きな電飾幕が風に揺れている。三連休の中日ということで何やらパフォーマンス系のイベントが行われているようだった。氷点下の真夜中にどうしてといぶかったが、今はネット配信のライブイベントなどもあり得る。機材をすぐに撤収して車で5分ほどの別の海岸に移動した。
 思わぬ事態に30分以上の時間を費やした。薄明開始まで約1時間30分となり急いで機材をセットする。100メートル先の北西側に交差点があり道路灯と信号があたりを照らしているが東から南側は海なので直接の光害はない。気温はマイナス3度、無風。さそり座からはくちょう座にかけての天の川が東の低空に横たわっている。わずか25秒の露出でも澄みわたった天の川に点在する赤い星雲が姿を現す(画像上右 M8とM20)。氷点下の明け方の空はもう夏模様になろうとしている。

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・2022/1/2~1/15 静かなしぶんぎ座流星群と未明の彗星たち。

2022-01-20 | たまおの星便り

 2022年は年初から新月期に入った。大晦日から元旦にかけても快晴夜となったが自宅で過ごした。例年、九十九里の海岸は初日の出を見に来る人の波で朝まで車の明かりが絶えず、到底落ち着いて星を見ることはできないからだ。
 それもあって初星見は1/2の未明になった。強い冬型の気圧配置のために黒い雪雲が時折通り過ぎていった。海岸では珍しくマイナス4℃まで気温が下がった。初日の出の見物人は2組くらいしかいなかった。
 1月初めは一年のうちで日の出が最も遅く、午前5時20分くらいにやっと薄明が始まる。1/4の未明は絶好の条件のしぶんぎ座流星群を見るために午前2時前から早くもスタンバイした。ポータブル赤道儀のSkymemo-sに14㎜F2.8超広角レンズ付の一眼デジカメを載せて放射点のあるうしかい座の北側に狙いを定めた。空が明るくなるまでの3時間半以上、放射点を追いながら自動で露出をするようにセットした(上左画像 しぶんぎ座群の流星を合成)。
 その傍らではいつも通り15㎝の反射望遠鏡をセットしてほうき星を追っていた。時々、空を見上げチェックしたが明確に群流星と見えたのは3~4個くらいだった。12月のふたご座流星群の時とは比べ物にならないくらい静かな一夜だった。
 その後数日は冬に特有の富士山南面から駿河湾沖で発生する雲が房総を覆ってしまったが、12日からまた晴夜が戻ってきた。見事な尾をたなびかせたC/2020A1レナード彗星が夕方の空に移った後、未明の空には67Pチュリュモフ-ゲラシメンコ彗星(上右画像)をはじめ、控えな彗星がいくつか点在している。ひっそり輝くほうき星たちを追って、暗夜がわずか40分しかない月が満ちる間際の15日未明まで海岸に通った。

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・2021/12/2~12/16 暁に尾を引くレナード彗星と飛びかうふたご座流星群。

2021-12-26 | たまおの星便り


 12月に入ると冬型の気圧配置となって安定した晴天が続いた。それでも暖冬傾向で海岸は氷点下になることはほとんどなかった。
 11日未明は東天低空にレナード彗星(C/2021A1)を見ることができる最後のチャンスだった。これ以降、彗星は夕方の空に回り来年1月2日に太陽に最も近づいてやがて太陽系の彼方に飛び去ってしまう。「星空カメラマン」さんも海岸にやってきてソニーの超高感度ミラーレスで早めのふたご座流星群を動画に収めていた。午前5時過ぎ、真東の高度10度の空にレナード彗星が昇った。眼視でははっきりわからないが写真では約5等の青いコマと長い尾がはっきりと写った(画像上左)。ISO14万相当の超高感度動画には尾をたなびかせるほうき星と夜空をよぎる流星たちのツーショットがいくつも映し出されていた。たぬぱんさんのTwitter動画
 14日、ふたご座流星群極大の明け方は、14mmF2.8広角レンズを付けたキヤノンEOSX3をポータブル赤道儀SkyMemo-Sに載せて午前2時過ぎから撮影を開始した。ふたご座のα星カストルの近くにある放射点を写野に入れて空の赤らむ5時過ぎまで3時間半、10秒露出を約800回繰りすタイムラプス撮影をした。目では火球を含めて20個くらいのふたご群流星を見ることができたが、写真に写ったのは暗いものも含めて19個だった。なかには放射点が判別できる明るい流星もいくつか写った(画像上右)。夜空にふと訪れる彗星と流星の共演を楽しむことができた冬の夜だった。

 

 

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・2021/11/3~15、19 明るくなった彗星たちと皆既もどきの部分月食。

2021-11-20 | たまおの星便り

 11月に入ると2~3日おきに晴天の夜がやってくるようになった。但し、不安定な大気に悩まされることも多かった。
 3日祝日は月が未明の空に残っていた上に薄明が近づくと雲が湧き出てきた。6日土曜未明は最初よく晴れていたが雲が去来し薄明が近づくと快晴夜となった。潮の加減がいいのか、海岸は未明から釣り客の車が何台も駐車場に入ってきた。11日は晴れていたものの遠く太平洋東方沖では絶えず雷光が空を照らし、13日は午前4時過ぎまで雲が空を覆っていた。月が下弦を過ぎた15日になってようやく夜明けまでクリヤーな空となった。
 雲の合間からも夜半過ぎに見えるいくつかの彗星を撮影した。特にふたご座ポッルクス付近にある67Pチュリュモフ-ゲラシメンコ彗星と東天のC/2121A1レオナルド彗星が9等台まで明るくなり、ほうき星らしい尾をたなびかせるようになった(画像上左右)。
 洋上5度くらいまで絶えず雲があったものの、晴れれば水平線まで見渡せる地の利を生かして東天低空域の新天体パトロール撮影を行った。半分ほど昇りかけたおとめ座付近では黄道光が赤く灯りわずか25秒露出でも視野全体が赤くカブッてしまった。

 月が日の出まで残るようになって海岸行きは終了して19日に満月となった。家から5キロほど離れた市川塩浜埠頭まで「ほとんど皆既だけど部分月食」の観望、撮影に行った。広角24mmレンズで東京湾岸の工場群を前に月と星景写真、70mmF8屈折直焦点で月食アップ写真を狙った。だが月食の進行過程ほとんどが薄い雲に阻まれた。18時過ぎにわずかな時間だけ雲が切れて「皆既もどきの月」を見ることができた。

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・2021/10/2~18 断続的快晴夜に突然のSDメモリカード破損。

2021-10-23 | たまおの星便り

 10月の天候はめまぐるしく変わった。30℃近い夏日もあれば冬めいた日もあり台風の余波による雨模様の日もあった。だがおおむね何日かおきに秋晴れの夜もやってきた。
 九十九里通いは下弦過ぎの月が東の空にまだ残る2日未明から始まった。月明りは夜半過ぎから夜空を照らしていたが野分の風が雲を払って快晴となった。急に増光したという情報を受けて29Pシュヴァスマン-ヴァハマン第1彗星を撮影した。丸く光がにじんだ恒星のような11等台の姿を捉えた。この後、日ごとに形状が変わっていき2週間後には扇を広げたような姿になっていった(上画像 2、5、11、15日の変化)。
 台風が南方沖を過ぎた後の9日は夕方から良く晴れていた。だが午前2時に海岸に着くと空のほとんどが雲に覆われていた。雲が取れることを願って機材をセットしていると超高感度ソニーミラーレスで天体動画を撮っている「星空カメラマンさん」が到着した。未明に空を過るスターリンク衛星や太平洋から昇る日の出直後のマジックアワー風景が撮影目標のようだ。
 午前3時が近くなると夜空の星の数が急に多くなってきた。雲を避けながら天頂から東天にあるいくつかの彗星を狙う。40分間ほど順調に撮影メニューをこなしていると突然デジタルカメラEOS6Dの警告ランプが点いてシャッターが動かなくなった。SDメモリカードの異常を知らせるメッセージが出ていたのでスロットからSDカードを抜き挿ししたが全く動作しない。やむなく別のカメラにあったSDカードを挿して撮影を続行した。この対応におわれて薄明開始前の約15分を無駄にしてしまった。
 後になって、撮影した彗星画像などをクラッシュしたSDメモリカードからなんとか読み込もうとしたができなかった。カード自体が何らかの原因で破損してしまったようでPCでも他のカメラでも初期化さえできない状態だった。デジカメで星を撮って10年以上になるが初めての経験だった

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・2021/9/20 中秋の名月前夜、月明下の3彗星。

2021-10-01 | たまおの星便り

 9月に入って雨模様の毎日が続いた。統計的には毎年この時期は梅雨時より雨量が多い。だがそれは台風の影響が大きいからだろう。直撃の台風はなくても新月期に合わせたかのように秋雨前線が停滞して連日、雲が空を覆った。
 あまりに晴れないのでわずかな時間でも星が見えるなら海岸に向かおうと臨戦態勢でいると「今年の中秋の名月は8年ぶりの満月」などとニュースに流れ始めた。一晩中、月明かりに空が照らされる時期が来てもう臨戦態勢を解こうとした満月一日前に急に夜空が晴れ渡った。
 薄明開始が午前4時前、月没が午前4時10分。暗夜はほぼない。それを承知で午前2時前に海岸に到着した。太った月が西の空低くまばゆく輝いている。月光を避けるように砂の丘の影に機材をセットする。
 未明には11等台の彗星がいくつか東天に見えている。今回はCometBP(コメット・バンドパス)フイルタを使って撮影を試みた。彗星の青い尾や赤いガス星雲の光だけを透過させる光害カットフイルタが月明りの影響を減らす効果があるかも確かめてみたかった。
 南東の空高い67Pチュリュモフ-ゲラシメンコ彗星(画像上左)を皮切りに15Pフィンレー彗星、4Pフェイ彗星(上中)、北東の空のC/2019 L3アトラス彗星 (上右)と写野に収めていく。月が大きく西に傾き光は弱まったもののそれぞれ画像のカブリが強く写った星の数は暗夜の半分以下だった。暗夜であれば容易に写る13等台の15Pフィンレー彗星ははっきりと確認できなかった。
 それでも11等台の3彗星の青いコマや微かな尾は強烈な月明りの中でも明確だった。満月期は避けるにしても半月よりも細い月明りのある快晴夜でフイルタの効果を試してみたいと思った。

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・2021/8/10~13,19,20 茨城から北軽井沢、九十九里へ夏の観測地めぐり。

2021-09-01 | たまおの星便り

 近年では最高に条件のいいペルセウス座流星群を見るために北軽井沢にある友人の別荘観測所に向かった。コロナ禍の中ではあるがワクチン接種を終えたのでようやく3年ぶりに再訪することとなった。
 まず8月10日の深夜に実家のある茨城県坂東市に立ち寄った。先月下旬から秋雨のような天候が続く中、雲が多いながらも星が見えていたので実家近くのネギ畑の農道で東天の彗星をいくつか撮影した。都心から50キロ以上ある田舎といっても関東平野のど真ん中とあって光害はひどく撮影に光害カットフイルターは欠かせない。
 翌日11日は昼前から関東平野を北西に縦断して夕方には浅間山ふもとの北軽井沢に到着した。今回は別荘観測所の高速ネット環境を使ってペルセウス座流星群のyoutubeライブ配信が予定されていた。すでにカメラマンさんも到着して別荘住人の友人と準備に取りかかっていた。天気予報は芳しくなかったが晴れ間は見えているし久々の高原の夕焼けが美しい。
 夜になると雲間からは透明感のある星空が見え始めた。キヤノンME20F-SHとソニーα7SⅢの2台の超高感度カメラ、それにF0.95の驚異的に明るいレンズが流星群を待ち受ける。ライブ配信が始まった。
https://www.youtube.com/watch?v=KA7gqCakQy4
 しかし予報通り、夜22時を過ぎた頃から雲が空を覆い小雨がぱらついてきた。時折わずかな晴れ間を見せることはあったが雲の下で朝を迎えた(画像上左)。翌日は昼過ぎから雨が降り始め、流星群極大の13日未明を過ぎてさらに翌日まで雨は続いた。
 その後1週間近く悪天候が続いたが19日には前線が北上して熱風が吹いた。南風に乗って海岸に沿うように低い雲が流れていたものの久しぶりに九十九里に星空が戻ってきた(画像上右)。
 翌日20日はさらに好天となり薄明まで快晴夜が続いた。美しい星空を残す町のニュース映像で2020年度日本映画テレビ技術協会『映像技術賞』を受賞したカメラマンさんが愛用のソニーα7SⅢで太平洋に昇るオリオンの勇姿と全天一のシリウスの輝きを画像に収めていた。

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・2021/7/17~7/21 梅雨明け直後、破竹の6連続快晴夜と新彗星。

2021-08-05 | たまおの星便り

 1か月以上も各地で豪雨を降らせた梅雨が明け、関東では7月16日を境に高く青く抜けた夏空が広がった。17日土曜日の未明は海岸で気温が22度、南の風弱く快晴。少し汗ばむくらいなのに一か月ぶりに見る星空はすっかり秋景色になっていた。南天高くペガスス座の胴体にあたる秋の四辺形から南に東に北に古代エチオピア王国にまつわる星座が連なって輝く。明るい星は少ないが南の空には木星、土星も見えている。
 この空には”P”の符号に若い番号が付いた旧知の周期彗星がいくつか11等から13等級でひっそりと輝いていた。南天低い洋上の7Pポンス-ヴィネッケ彗星や東天のおうし座付近にある4Pフェイ彗星、10Pテンペル彗星、15Pフィンレー彗星 などを次々と視野に入れていく。夏至からまだ一か月も経っていないので薄明開始は午前3時前、よく晴れていても暗夜は短く、慌ただしく時が過ぎてすぐに空が明るくなってしまう。
 こうした梅雨明け後の快晴は例年だと二~三日程度しか続かない。だが今夏は違っていた。日本の遥か東方沖から巨大な高気圧が張り出して房総半島を覆っていた。梅雨明けからほぼ一週間以上、快晴夜が続いた。そのため満月近くまで5日間連続で九十九里海岸を往復することとなった。海岸に星を見に行くようになって15年以上も経つが真夏としては前例のない晴れの5連荘だった。
 7月22日未明は相変わらずの晴天だった。だが午前2時過ぎまで月明かりがあり午前2時50分前にはもう薄明が始まる。わずか40分間の暗夜のために往復3時間をかけて海岸に行くか迷ったが結局行かなかった。そしてこの日の未明に静岡の西村英夫さんが200㎜レンズを付けたデジカメで北東超低空のぎょしゃ座に彗星を発見した。
 数日後に新彗星発見の知らせを受けて調べてみると19日と20日にぎょしゃ座付近を撮った自分の画像に発見前の彗星が写っていることがわかった。街明かりのある陸地側を光害カットフイルタを使って撮影していたが、淡い画像のコントラストを強調するとC/2021O1西村彗星の10等級の青いコマが浮かび上がってきた(画像上左19日、右20日、いずれも15㎝反射にキヤノンEOS6D、40秒露出)。
 例年、春から夏にかけては天候も透明度も悪く日本国内でこの時期に彗星が発見されたことはここ20年間で一度もなかった。「梅雨明け6日」の破竹の晴天続きが招いた新彗星だったともいえる。

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・2021/6/10,11 梅雨晴れの夜空に微かな彗星と天の川。

2021-06-27 | たまおの星便り

 梅雨のような空模様がひと月近く続いて6月の新月期を迎えた。その2日間だけ突然の晴れ間となった。
 10日未明は全国的には曇りがちだったが衛星画像ひまわり霧情報では房総一帯は晴れ間が広がりそうだった。ただ最近、気象庁の衛星画像ウエブページが大幅に改訂されたためか、2分30秒ごと更新の高品位画像がとても重くなってしまった。さらに例えば房総半島のみを超拡大するとページ内のテキスト表示も同時に超拡大されて肝心の画像がテキストに埋もれて見えなくなってしまう。それもあって九十九里海岸付近の雲の動きがよくわからなくなっていた。
 ともかくも未明の1時過ぎには海岸近くの高台に機材をセットした。夜空の半分以上が雲に覆われていたが夏至が近く、あと1時間半で薄明が始まる。雲の切れ間を確かめながら北西と南東にある微光の彗星二つを撮影する(画像上)。雲がゆっくり流れながらも時折晴れ間も広がってこの時期にしてはまずまずの一夜だった。
 翌日は天気予報が急に全国的な晴天を告げ始めた。ただし房総半島だけは夜半過ぎに濃霧予報だった。いつもより早い22時頃に海岸に着くと快晴夜、しかも南風が強い。風があれば霧は出ない。これは朝までもつと確信した。北東からの南の空にかけて巨大な光るアーチのように夏の天の川が見えていた。
 しばらくすると時々星の撮影に来るカメラマンさんとスタッフの人が到着した。これから天の川を見ながら実際の空で夏の星座解説をするというYouTube番組の撮影をすることになっていた。全天隈なく晴れていて透明度も高く何より天の川がよく見える。すぐに撮影が始まった。日周運動で夜空を移動する天の川や星座を追いながら場所やアングルを変えていく(画像下youtube番組より)。風が吹いて肌寒くなり夜半過ぎには通り雲がかかったが霧は全く出なかった。そうこうして撮影が終了したのは日にちを跨いですでに薄明開始の時間となっていた。
【4K】もうすぐ七夕!本物の星空で天の川のほとりにある星座を解説 ~リアルプラネタリウム~
https://www.youtube.com/watch?v=VGQ5vqND-xo

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・2020/5/10、5/26 雲と雨まみれの5月の空。

2021-05-30 | たまおの星便り

 天候はゴールデンウィークが明けた頃から怪しくなってそのまま新月期へと突入した。5月10日未明はSCW気象予報では曇りがち、気象衛星画像では房総は雲の領域から外れていた。だが、海岸に着くと空の半分以上が雲に覆われていた。少し離れた防潮堤の上ではすでにデジカメで星の固定撮影をしている人もいたので、まず挨拶をして機材をいつもの観測場所にセットした。
 午前3時になっても北天の一部を除いて雲は切れ目がない。雲の流れる中、C/2020T2パロマー彗星をどうにか撮影した(画像左)。
 以前、ボリソフ彗星の取材で一緒になったカメラマンさんがわずかな晴れ間を見つけて新しい機材のテスト撮影をしていた。明るいレンズを付けたビデオのタブレット型画面には雲間からも天の川の暗黒帯まで写し出されていて驚いてしまった。だが薄明開始までもう1時間もない。カメラマンさんは晴れ間を求めて茨城方面にひとり移動した。この日は完全な曇り空で薄明を迎えた。
 5月26日の皆既月食は市川の塩浜埠頭から迎え打つ予定だった。月食開始まもなく海を挟んで幕張メッセの上空に朧げな月影が浮かんだ(画像右)。だがその後は次々とやってくる見物客をよそに、月は厚い雲に遮られて顔を見せることはなかった。
 「五月晴れ」の夜が一日もない5月は、15年近い「たまおの星便り」の航海日誌でも記録されたことがない。南国では前例のない早い梅雨入りとなったという。天候ひとつとっても地球のシステムが少しずつ変わり始めている気がする。

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