たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2023/10/11~26 「秋の夏日」の夜空に青い彗星、カノープス。

2023-11-05 | たまおの星便り

 今年は台風が少なく秋の長雨もほぼなかった。代わりによく晴れて10月の夏日が続いた。新月前後から連日続く夜の秋晴れに誘われて断続的に6回、星海原に出帆することとなった。
 日中は暑くても海岸の未明は10℃近くまで下がり肌寒い。こういう条件では普段は海霧が濃く立ちこめる。だが空気が乾燥して陸風がたえず吹いているので透明度も悪くない。遥か犬吠埼へと続く風力発電の標識灯や南東50キロあまりの大東崎灯台の灯がよく見える。
 未明の空には青いイオンの光をほのかに放つほうき星がいくつかうごめいている(画像上、いずれも15㎝反射F2.5+EOS6D 20秒X2露出)。周期3.3年で公転している2Pエンケ彗星は今年は条件がよく、鮮やかなコバルトブルーの丸いコマから北西にスーっと細い尾が伸びている。公転周期が短いだけにこれまで何度かエンケ彗星を見てきたが、こんなに美しく凛々しい姿に出会うのは初めてのような気がする。
 22日日曜の未明は、夜半まで空を覆っていた雨雲が一気に東の洋上に去り、雨後の澄み渡った夜空となった。折しもオリオン座流星群の極大日と重なっていた。いつもの海岸には流星見物客がいるかと思いきや、星空動画を何年も撮っているプロのカメラマンさんだけだった。会うのはほぼ一年ぶり、最近はNHKのコズミックフロントでも活躍しているようだ。ソニーの超高感度カメラ+超広角レンズの4K動画では目に見えない微光の流れ星がいくつも見えているらしい。
 こちらも水平線が見える防波堤に14mm広角レンズのカメラを設置してタイムラプス撮影を開始した。あわよくば「南中するカノープスとオリオン座流星群の大火球」を期待して、オリオン座の下半身からおおいぬ座のシリウスを経て水平線に浮かぶ漁火までをアングルに収めた。
 10秒おきに撮影を重ねること三時間、空が白む薄明までに散在流星が一個、オリオン群が一個写っていたのみ、肉眼で見たオリオン群の流星もわずか2個だった。だが午前2時過ぎ、沖合低空の雲間から全天第二の輝星、カノープスの姿をとらえることができた。

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