たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2016/1/10~11 2日連続の新機材実戦投入。

2016-01-24 | たまおの星便り

 年末年始は月が夜半過ぎに輝いていたこともあり、観測地に向かうこともなく新しい機材の調整や工作に時間を費やした。それに暖冬のせいか、夕方から夜になると曇りになることも多かった。
 中旬の連休の中日から冬型が強まり、房総は一気に晴れ渡った。久しぶりに2日連続の出航体制となり、フルサイズ一眼のEOS6Dと15センチF4反射のテスト撮影をしながら実戦投入することとなった。
 ニュートン反射の場合、F4ならば口径15センチであろうと1メートルであろうと35ミリフルサイズ最周縁で0.25ミリもの巨大コマ収差に見舞われる(吉田正太郎「新版反射望遠鏡光学入門」)。このことから今回は両日とも収差軽減と短焦点化を狙ってクローズアップレンズのNo5を接眼部に装着し、さらに口径絞りも変えて試してみることにした。すでに未明の東北の空に高く昇るようになったC/2013US10カタリナ彗星は翡翠色の大きな本体から太い尾が2本伸びていた。双眼鏡では尾ははっきり見えなかったがアンチテイルが幅広くなり淡くなってきたようだ。一日に約2.5度、北北西に向けておおぐま座を移動している(画像上、日本時間10日30秒露出、11日25秒露出)。
 薄明近くなってりゅう座が高くなったところでC/2014S2パンスターズ彗星を撮影した。彗星特有の青みはないが尾を引きながらとてもゆっくりと北に動いている(画像下左)。今回はピント合わせのためにバーティノフ・マスクを作って試してみた。ウエブに載っていたマスクの商品画像をダウンロードし、鏡筒径に合う大きさにコピーして厚紙に貼り、夜露防止と補強を兼ねて透明テープを裏表全面に貼ってからカッターとハサミで溝をくりぬいただけの超カンタン手作り品(画像下右)。いままでは明るい星を視野に入れてスパイダーの十字がはっきり見えるように何度もピントを前後していたが、このマスクの効果はびっくり、ほとんど一発でジャスピンまで持っていくことができた。

 10日は気温1度、11日はマイナス2度、いずれの日も薄明まで透明度はよく、焦点距離430㎜F2.9、約4.8×3.2度の写野には15等台の最微光星が捉えられていた。APS-Cサイズデジカメと200㎜望遠レンズでは14等星が限界だったのでこれまでよりは一等級以上まで暗い星が写るようになったが、設定や調整次第では16等級の星も狙えるはずと今後の期待が膨らむ。

コメント