
一昨日、地元の稲城市iプラザで及川浩治氏のピアノ・リサイタルを聴きました。リストの生誕200年を記念し、「《リストの手紙》 ~フランツ・リストへのオマージュ~」と題された「オール・リスト」のプログラムでした。「『愛』を表現した曲を中心に選曲した」(及川氏)という演目は次の通りです:
◇婚礼 ~巡礼の年第2年《イタリア》より
◇ラ・カンパネラ
◇3つの《ペトラルカのソネット》
~巡礼の年 第2年《イタリア》より
・ペトラルカのソネット 第47番
・ペトラルカのソネット 第104番
・ペトラルカのソネット 第123番
◇愛の夢 第3番
◇献呈(シューマン/リスト編)
◇メフィストワルツ 第1番
◇イゾルデの愛の死
~《トリスタンとイゾルデ》より(ワーグナー/リスト編)
◇ピアノ・ソナタ ロ短調
☆アンコール: ラフマニノフの幻想的小品集より「メロディー」
ショパンの前奏曲「雨だれ」
曲の合間に及川氏の朗読的語りによるリストについての解説がありました。
リストは交響詩の創始者であり、リサイタルという演奏形式の創始者でもあったこと...
優れた演奏家や作曲家であったと同時に、優れた指導者でもあり、無償で多くの若いピアニストを育てたこと...
とかく演奏の超絶技巧(ヴィルトゥオーソ)が注目されがちだが、男女の愛、人間愛など、愛にあふれた「心」を表現する曲を多く作ったこと...
その「心」は次第に宗教的要素を帯びていったこと...
編曲や演奏を通じ、他の作曲家の曲を紹介したこと...
ショパンの繊細な演奏に衝撃を受け、また賞賛したこと...
ワーグナーと親交が深く、娘コジマを嫁がせたこと...
ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」がリストが最後に見た公演で、その後に亡くなったこと......など。
及川氏は、リストが愛にあふれた「心」を表現する作曲家だったことを伝えたいという思いで、これらの曲を選び、演奏したようです。
氏の演奏を聴くのは二度目(初回の様子はこちらをどうぞ)ですが、やはりとても熱かったです。リストの情熱的な曲と及川氏の情熱的な演奏...ピッタリの組み合わせなのかもしれませんね。表情豊かで体の動きも大きく、音だけでなくて映像を見ていただきたい、そんな演奏です。前回同様席が右寄りだったので、氏の手許が見えなかったのがとても残念でした。
独特の息づかいが氏の特徴の一つだと思いますが、今回も「献呈」辺りから息づかいが荒くなり、まさに熱い演奏でした。前半最終曲の「メフィストワルツ 第1番」では、最後の音を叩くと同時に飛び上がるようにして立って終わるというパフォーマンスで、観客をどよめかせました。それとは対照的に、後半の最終曲の「ピアノ・ソナタ ロ短調」では、激しい演奏の後消え入るような余韻を残し、静かに静かに終わりました。
緩急のメリハリはあるのですが、全体的に丁寧で、魂を込めるかのような粘りのある演奏といいますか、粘っこく、ためを作る演奏だと私は思います。「ラ・カンパネラ」・「愛の夢」・アンコール曲の「雨だれ」しか他の演奏者との比較が私にはできませんが、どれも“及川氏オリジナル”、私が聴く初めての演奏法でした。その意味では、同じ情熱的な演奏でも、近年のマルタ・アルゲリッチとは対照的だと感じます。
リストの唯一のピアノソナタである「ピアノ・ソナタ ロ短調」は、当時物議を醸したようですが、通常のソナタ形式ではなく、楽章が分かれておらず、連続して演奏されます。ソナタを1曲しか書いていないことも意外ですが、この形式も新鮮でした。
演奏後のサイン会での氏の様子です(望遠で撮ったのでぶれてしまいました)。
演奏中とは打って変わって、柔和で穏やかな雰囲気でした。
及川さん、今回も熱い演奏をありがとうございました。こちらも熱くなりました。こんな田舎ですが、またいらしてくださいね(#^.^#)
及川浩治さんを聴きに行かれたのですね。
私も横山幸雄さんとともに好きな及川浩冶さんです。
情熱的なあのピアノ演奏にははまりますよね。
考えると、このところ、
オーケストラ演奏ばかりで
ソロ演奏をあまり聞いていない私です。
takuさんは演奏後はいつもサインをいただくのですね。感心しています。
やはり及川さんがお好きですか? 女性ファンが多いのではないでしょうか?(#^.^#)
サインはCDを買わないともらえないでしょう? 毎回なんて買えないので、サインはそんなにもらってないですよ。アンドレ・ワッツさんと小山実稚恵さんだけかな? あぁ、宮本文昭さんにはレクチャーを2回聴いたときにいただきましたね、そういえば。
写真も撮れないことが多く、及川さんは撮れてラッキーでした(*^▽^*)v