高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

意外に解ける・R2司法試験の民法問6・物権的請求権・・・。

2021-06-08 06:05:07 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法を分かりやすく分析“よーくわかる”問6・物権的請求権・・・。

ここからは物権編に突入します。
司法試験問題では、六法の範囲に並んでいるので、学習しやすいですね。

さて、この請求権のやっかいなところは、条文がないところですから、それこそ大胆に法律的なセンスから答えを導いてみましょう。それで、正解なら楽しいはずです。

あ、要は常識で解くということですね。

・・・・・・
問6 物権的請求権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aが地上権を有する甲土地に無断でBがその所有する自動車を放置した場合,Aは,Bに対し,地上権に基づく妨害排除請求権の行使として自動車を撤去するよう求めることはできない。

イ.Aが所有する鉄塔が自然災害により傾き,鉄塔に隣接するBの所有する甲建物を損傷させるおそれが生じた場合において,Bが所有権に基づく妨害予防請求権の行使として甲建物を損傷させないための措置を講ずるよう求めたときは,Aは,過去に実際に一度でも甲建物を損傷させたことがないことを理由としてBの請求を拒むことができる。

ウ.Aの所有する自動車がBの所有する山林に無断で放置され,20年が経過した場合において,BがAに対して所有権に基づく妨害排除請求権の行使として自動車の撤去を求めたときは,Aは,妨害排除請求権の消滅時効を援用してBの請求を拒むことができる。

エ.Aが,A所有の甲土地に洪水のため流されてきた自動車の所有者であるBに対し,所有権に基づく妨害排除請求権の行使として自動車を撤去するよう求めた場合,Bは,所有権侵害について故意過失がないことを主張立証しても,Aの請求を拒むことはできない。

オ.Aの所有する甲土地に無断でBがその所有する自転車を放置した場合において,AがBに対して所有権に基づく妨害排除請求権の行使として自転車を撤去するよう求めたときは,Bは,自己が未成年者であることを理由としてAの請求を拒むことはできない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
・・・・・・

肢アですが、×とできそうでしょう。
地上権は、物権です。
そうであれば、土地の占有を内容としますから、3つの「妨害排除、妨害予防、返還請求」の物権的請求権を行使することができるはずです。
自転車を排除できないと、Aは困るし・・・。

肢イも、×とできるでしょう。
所有権という物権による妨害予防請求ができるかどうかですね。
ある程度、所有権を客観的に違法に侵害される恐れがあって危険があれば、過去一度も建物を侵害した事情がないということは不要と思いませんか。
×とした自分なりの理由を言ってみましょう。

肢ウですが、これは難しいかもしれません。結果は、×となります。
なぜかというと違法な状態はいつまでもあるし、一方20年間も権利を行使していないのは怠慢といえなくもないからです。
判例は、物権的請求権が認められるのは、これにより当該物権を保護するための手段みたいなものだから、本体である物権が存続する以上、物権的請求権は独立して消滅時効にかかるのはおかしいといっています。
確かに、所有権は消滅時効にかかりませんでした。

判例がそういっているからしょうがないですが、論文で書くなら、それに反対でも別におかしくはないでしょう。これを押えていた人は×と付けられるし、知らなかった人は、△ですね。

肢エですが、これは肢ウよりはやや○と付けられるでしょう。他の肢と比較して解くのは、実力がついてきた証拠なのです。
どのような権利を主張しているかは常に、考えないといけません。
この場合、元通りにしたいということと、それとは別に損害賠償が考えられるでしょう。

そして、物権的請求権では、客観的に違法な侵害状態についできることになっていますし、当該物権の救済のために発動するものであって、相手方の行為によったのか、または故意・過失によったのかは関係ありませんね。

一方、不法行為法における損害賠償責任なら、請求の相手方の故意・過失はないとダメなのですね。
ここでの分析は、覚えておいて、どこかで使えるようにしておきましょう。
ここで、肢5が正解ですね。

肢オですが、なんとなく○とできるでしょう。
理由をきちんといえるようにしておきましょう。
物権的請求権とは、当該物権において元通りにする内容です。
その原因とか相手方の主観的な事情を考えないということですね。
なおすものは直すということでしょうか。
それにこれを認めても、未成年者にとって不利ともいえませんね。どうでしょうか。

常識的に見ても、解けるんですが、その中でも何を押えておかないかわかりましたか。
こういう問題は、真の実力を問えますから、宅建でも出てもおかしくありません。

では、また。


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高橋克典
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