高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

意外に解ける・R2司法試験の民法問9・占有・・・。

2021-06-17 05:11:07 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問9・占有・・・。

マイナーな問題ですし、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。しかし、過去では1問でたことはありますよ。
他の国家試験受験生では、きちんと押えておきましょう。

すでに物権的請求権を扱いましたが、その占有版です。前者は条文がないのになぜ認められているかというと、一つは物権として当然だから、もう一つはこの占有の訴え(条文あり)でも認められているから物権(本権)ならもっと認められるはず、だからなんです。

・・・・・
問9 占有の訴えに関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは自己の所有するコピー機をBに賃貸していたが,Bはコピー機の賃貸借契約が終了した後もコピー機を使用し続け,Aに返還しなかった。この場合,Aは,Bに対し,占有回収の訴えによりコピー機の返還を請求することができる。

イ.Aは,底面に「所有者A」と印字されたシールを貼ってある自己所有のパソコンをBに窃取された。その後,Bは,パソコンの外観に変更を加えることなく,パソコンを盗難の事情を知らないCに譲渡した。この場合,Aは,Cに対し,占有回収の訴えにより同パソコンの返還を請求することはできない。

ウ.Aは自己の所有する工作機械をBに賃貸していたが,Bは,工作機械の賃貸借契約継続中に工作機械をCに窃取された。この場合,Bは,Aから独立して,Cに対して占有回収の訴えを提起することができる。

エ.Aは,自己の所有する自転車をBに詐取された。この場合,Aは,Bに対し,占有回収の訴えにより自転車の返還を請求することができる。

オ.Aは,別荘地に土地を所有していた。その隣地の所有者であったBは,Aに無断で境界を越えてA所有の土地に塀を作り始め,2年後にその塀が完成した。Aは,この時点において,Bに対し,占有保持の訴えによりその塀の撤去を請求することはできない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
・・・・・

肢アですが、これは常識的いえば認めて良いと思いますので、難問でしょう。△でも。
結局、これは所有権によるか、賃貸借の契約内容からによるか、根拠づけるんでしょうね。

占有回収の訴えができる場合には、限定されていて(泥棒でも占有はあるからですね)、占有していた物が「侵奪」されたことが求められています。
本肢は、占有の移転が占有の委託による場合ですから、侵奪に当たらないので、だから占有回収の訴えができない、というものです。知らないと難しい。実は、肢エも同じ論点でした。もう覚えられます。

肢イですが、これも難しいでしょうが、○をうてそうです。
ここも、占有回収の訴えは、認められる要件が厳しいという流れの中での一つです。
ある物につき占有侵奪がなされ、それが第三者まで譲渡された場合、それは特定承継人ですが、その者が悪意者の場合でなければ、占有回収の訴えをおこなうことはできないとしています。

Cは盗難の事情を知らないと書いてくれていますから、パソコンの裏側の名前とかは無視していいのでしょうね。Cを保護するということで○とできます。

肢ウですが、Aから独立してという点がどういうことか難しそうですが、感覚的には○にできるでしょう。

占有回収の訴えが認められるためには、占有していたことが求められるだけですから、所有権者に限る必要はないでしょう。
そうすると、BはCに対して、Aとは関係なく、工作機械について占有回収の訴えを提起できるでしょう。そうしないとAから文句を言われそうです。

肢エですが、やはり今後は試験ではこれを最低でも×を付けられないといけません。
肢2か5が正解となりますね。アも×を付けられますから、肢2に決められますね。

占有回収の訴えは、占有がとにかく「侵奪」された場合に認められるのみです。
それは占有者の自由意思によらずに奪われた場合をいいますから、詐取は含まれないのです。あとは横領(肢ア)の場合でも該当しませんね。

肢オですが、難しいですが、△か○でいけますか。
占有保持の訴えができるんですが、「妨害の存在する間またはその消滅したあと1年以内に提起」しなければならないとしています。ただし、「工事により占有物に損害が生じた場合には、工事着手時から1年を経過しまたはその工事が完成したときは、占有保持の訴えを提起できない」となっています。

本肢では、Bの工事着手から1年以上経過していますし、またすでに完成しているため、AはBに対して占有保持の訴えを提起できないのです。まあ、早くやっておけということですかね。

こういうマイナーな問題も、最低1問は解いて、やった感をもっていないといけないのが、昨今の宅建試験における権利関係でした。穴をつくらない。

では、また。


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高橋克典
週刊住宅新聞社


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高橋克典
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