R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問11・先取特権・・・。
これもマイナーな問題ですし、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。
他の国家試験受験生では、やはりしっかり押えておきましょう。出てもおかしくありません。
先取特権とは、たくさんの債権者がいる、その中でもかわいそうな債権者がいたら、その人に先に取れる特権を与えたものですね。
特徴は、留置権と同じ法定担保物権、抵当権と同じ非占有型の担保、もちろん性質として、付従性・随伴性・不可分性・物上代位はもちろんあります。
こういう基本的なところから知識総動員して解きましたか。
あと、債務者の財産に応じて、一般先取特権、動産先取特権、不動産先取特権があります。
・・・・・
問10 先取特権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.法人に対して電気料金債権を有する者は,供給した電気がその代表者及びその家族の生活に使用されていた場合,法人の財産について一般の先取特権を有する。
イ.旅館に宿泊客が持ち込んだ手荷物がその宿泊客の所有物でなく他人の所有物であった場合,旅館主は,その手荷物がその宿泊客の所有物であると過失なく信じたときであっても,その手荷物について旅館の宿泊の先取特権を行使することはできない。
ウ.動産の売主は,買主がその動産の転売によって得た売買代金債権につき,買主の一般債権者が当該売買代金債権を差し押さえた後は,動産の売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することはできない。
エ.不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには,工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。
オ.建物賃貸借において,賃借権が適法に譲渡され,譲受人が建物に動産を備え付けた場合,賃貸借関係から生じた賃貸人の債権が譲渡前に発生していたものであっても,不動産の賃貸の先取特権はその動産に及ぶ。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
・・・・・
肢アですが、×です。昨年の予想問で出しましたが、司法試験ででたのがびっくりです。参考にしてるのかな。
一般(債務者のどの財産でもok)先取特権ですね。
「日用品を供給した債権者の先取特権」ですが、その相手方が限定されるかです。
これは生存権的なものですから、法人は含まれず、債務者(個人)又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人と、判例は限定しているのです。
生きるために必要な場合の問題ですから、日常生活において必要不可欠な飲食品・薪炭油の入手を可能にし、その生活を保護するものとしているからですね。
肢イですが、×になります。
動産先取特権ですね。
まず、旅館宿泊の先取特権の対象は、「旅館に在るその宿泊客の手荷物(動産)」とされています。
万が一のことを考えて、バックを持ってこない人は、泊めてはいけないということですね。
また、この先取特権の対象に関して、動産ですから、民法192条の規定が準用されていますので、宿泊客の手荷物が他人の物であっても、旅館主がそれを宿泊客のものであることにつき192条所定の要件を満たすならば、その手荷物について、旅館宿泊の先取特権の効力が及ぶことになっているのです。なるほど納得です。
肢ウですが、これをもし間違えても、きちんと修正して、×にできるように理解しておいてください。
動産売買先取特権の物上代位ですね。抵当権の所でしっかり覚えていると思いますので、応用できたかです。
物上代位できる場合には、当該売買目的物の「①売却、②賃貸、③滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物」ですが、「払渡し又は引渡し前に差押え」ることが必要でした。
つまり、お金が債務者の懐に入ってからではもう遅いということですね。
ここでは、売買目的物が買主の一般債権者により差し押えられたことがこの[払渡し又は引渡し]に当たるかですね。
ここでは、転売した第三債務者が不測の損害が生じないようにすればいいと思いますので、一般債権者の差押えと競合していただけなら、なお先取特権者の物上代位は可能であるといえそうです。
肢エは、宅建でも出そうな所ですから、○とできるようにしてほしいです。
不動産先取特権です。3つあって、保存、工事、売買で、本肢は工事です。
不動産工事の先取特権は、その効力を保存するためには、「工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない」としています。緊急性はないですからね。
なお、不動産保存の先取特権の効力の保存のために、「保存行為が完了したのちに直ちに登記をしなければならない」とされていますので、異なっていますから、注意しておきましょう。保存は緊急性がありますからね。
肢オですが、○と一応いえますか。宅建試験でも出ます。
まず、不動産賃貸の先取特権(これは動産先取特権ですね)については、賃借人がその建物に備え付けた動産にも及ぶとしています。
さらに、「賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ」としています。
譲渡・転貸されたら、先取特権の効力が否定されてはマズいからでしょう。
覚えるところはうまくやり、そうなら意外とこの問題簡単でしょう。
正解は、肢5となります。この問題で先取特権をだいたいすべてチェックできませんか。
では、また。
にほんブログ村
にほんブログ村
資格(行政書士) ブログランキングへ
資格(宅地建物取引主任者) ブログランキングへ
これもマイナーな問題ですし、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。
他の国家試験受験生では、やはりしっかり押えておきましょう。出てもおかしくありません。
先取特権とは、たくさんの債権者がいる、その中でもかわいそうな債権者がいたら、その人に先に取れる特権を与えたものですね。
特徴は、留置権と同じ法定担保物権、抵当権と同じ非占有型の担保、もちろん性質として、付従性・随伴性・不可分性・物上代位はもちろんあります。
こういう基本的なところから知識総動員して解きましたか。
あと、債務者の財産に応じて、一般先取特権、動産先取特権、不動産先取特権があります。
・・・・・
問10 先取特権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.法人に対して電気料金債権を有する者は,供給した電気がその代表者及びその家族の生活に使用されていた場合,法人の財産について一般の先取特権を有する。
イ.旅館に宿泊客が持ち込んだ手荷物がその宿泊客の所有物でなく他人の所有物であった場合,旅館主は,その手荷物がその宿泊客の所有物であると過失なく信じたときであっても,その手荷物について旅館の宿泊の先取特権を行使することはできない。
ウ.動産の売主は,買主がその動産の転売によって得た売買代金債権につき,買主の一般債権者が当該売買代金債権を差し押さえた後は,動産の売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することはできない。
エ.不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには,工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。
オ.建物賃貸借において,賃借権が適法に譲渡され,譲受人が建物に動産を備え付けた場合,賃貸借関係から生じた賃貸人の債権が譲渡前に発生していたものであっても,不動産の賃貸の先取特権はその動産に及ぶ。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
・・・・・
肢アですが、×です。昨年の予想問で出しましたが、司法試験ででたのがびっくりです。参考にしてるのかな。
一般(債務者のどの財産でもok)先取特権ですね。
「日用品を供給した債権者の先取特権」ですが、その相手方が限定されるかです。
これは生存権的なものですから、法人は含まれず、債務者(個人)又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人と、判例は限定しているのです。
生きるために必要な場合の問題ですから、日常生活において必要不可欠な飲食品・薪炭油の入手を可能にし、その生活を保護するものとしているからですね。
肢イですが、×になります。
動産先取特権ですね。
まず、旅館宿泊の先取特権の対象は、「旅館に在るその宿泊客の手荷物(動産)」とされています。
万が一のことを考えて、バックを持ってこない人は、泊めてはいけないということですね。
また、この先取特権の対象に関して、動産ですから、民法192条の規定が準用されていますので、宿泊客の手荷物が他人の物であっても、旅館主がそれを宿泊客のものであることにつき192条所定の要件を満たすならば、その手荷物について、旅館宿泊の先取特権の効力が及ぶことになっているのです。なるほど納得です。
肢ウですが、これをもし間違えても、きちんと修正して、×にできるように理解しておいてください。
動産売買先取特権の物上代位ですね。抵当権の所でしっかり覚えていると思いますので、応用できたかです。
物上代位できる場合には、当該売買目的物の「①売却、②賃貸、③滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物」ですが、「払渡し又は引渡し前に差押え」ることが必要でした。
つまり、お金が債務者の懐に入ってからではもう遅いということですね。
ここでは、売買目的物が買主の一般債権者により差し押えられたことがこの[払渡し又は引渡し]に当たるかですね。
ここでは、転売した第三債務者が不測の損害が生じないようにすればいいと思いますので、一般債権者の差押えと競合していただけなら、なお先取特権者の物上代位は可能であるといえそうです。
肢エは、宅建でも出そうな所ですから、○とできるようにしてほしいです。
不動産先取特権です。3つあって、保存、工事、売買で、本肢は工事です。
不動産工事の先取特権は、その効力を保存するためには、「工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない」としています。緊急性はないですからね。
なお、不動産保存の先取特権の効力の保存のために、「保存行為が完了したのちに直ちに登記をしなければならない」とされていますので、異なっていますから、注意しておきましょう。保存は緊急性がありますからね。
肢オですが、○と一応いえますか。宅建試験でも出ます。
まず、不動産賃貸の先取特権(これは動産先取特権ですね)については、賃借人がその建物に備え付けた動産にも及ぶとしています。
さらに、「賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ」としています。
譲渡・転貸されたら、先取特権の効力が否定されてはマズいからでしょう。
覚えるところはうまくやり、そうなら意外とこの問題簡単でしょう。
正解は、肢5となります。この問題で先取特権をだいたいすべてチェックできませんか。
では、また。
うかるぞ宅建士 最短25時間~最後の切り札~ (うかるぞ宅建士シリーズ) | |
高橋克典 | |
週刊住宅新聞社 |
試験にうかる!!法律のカンタン思考術―宅建受験生必携 | |
高橋克典 | |
住宅新報社 |
にほんブログ村
にほんブログ村
資格(行政書士) ブログランキングへ
資格(宅地建物取引主任者) ブログランキングへ