高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

R2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問4・賃貸借・・・。

2021-04-20 06:54:43 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
この問4ですが、久しぶりにオーソドックスな問題でした。ここで完全に波に乗りましょう。

こういう問題で、落とさず得点を稼げたかどうかですね。
やる気が出てきたかです。

・・・・・・
問4 建物の賃貸借契約が期間満了により終了した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、賃貸借契約は、令和2年7月1日付けで締結され、原状回復義務について特段の合意はないものとする。

1 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、通常の使用及び収益によって生じた損耗も含めてその損傷を原状に復する義務を負う。

2 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、賃借人の帰責事由の有無にかかわらず、その損傷を原状に復する義務を負う。

3 賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは、これを拒むことができる。

4 賃借人は、未払賃料債務がある場合、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することができる。
・・・・・・

肢1ですが、×ですね。
賃借人は、賃借物を受け取った後に、これに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負うのが原則です。
しかし、その損傷が、①通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗か、②賃借物の経年変化であれば、賃借人は悪くないのですから、その損傷を原状に復する義務を負うわけではありません。
まずは正確な知識を押さえましょう。

さらにこの肢では、「・・含めて」という文言を分析できたかどうかですね。

肢2も×ですね。
肢1の続きで、例外の③として、賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷について、その損傷が「賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるとき」には、その損傷を原状に復する義務を負わないのです。

この肢では、「賃借人の帰責事由の有無にかかわらず」という文言を分析できたかですね。
それほどやっかいではありませんが。

肢3は○で、正解でした。
敷金返還請求権は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに発生します。
返還するのが先履行です。返還後チェックしてから、敷金の額が決まるからですね。

そこで、賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは敷金の返還を拒むことができます。同時履行の抗弁権はないのですね。

肢4ですが、×ですね。
敷金は賃貸人の担保としての意味がありますから、未払い賃料に充てるか否かは、賃貸人の自由です。
賃料を払ってない賃借人の方から、賃貸人に対し、敷金を未払賃料債務の弁済に充てることを請求することはできません。

民法の中でも、なんかほっとする問題ではないでしょうか。
しかし、民法では他の科目と異なって、こういう易しい目な問題が少なくなりました。

では、また。


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高橋克典
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