武子太郎の武子の一文

役者、タケシタロウの気ままな日記でございます!

「ヴォイツェク」注釈

2013-09-04 00:29:10 | 日記
冨士山アネット「Woyzeck/W」を観よう、気になっている!という方々のために、注釈を載せようと思います。

これを載せるのは迷いました。

作品見りゃいいじゃん!と。

しかし、元々の作品の性格上、そして今回のお芝居での表現において、ある程度筋書きや時代背景を知ってる方がより楽しめる方もいるかと思い、書くことにしました。

以下、全く予備知識なく観たいかたなど、ネタバレ注意であります。

また、実際頂いた資料やWEBを参考にしていますが、まとめたのはぼくなので、あくまで参考にしてください!





【まず作品当時の時代背景について】

作者ゲオルク•ビュヒナーは、1813~1837年。24歳の若さでチフスで死去。


同時期にはゲーテ、ヴェルディ、ワーグナーなどがいた。
ヨーロッパ内ではのちにフランス革命などが起こり、ドイツはまだフランスに追いつけ追い越せの状態。フランスから多大な影響を受けていた。


【ビュヒナー作「ヴォイツェク」について】

既存する完成稿はない。
一つの作品として残ってはおらず、書き途中の原稿や、走り書き、メモなどの草稿から、大きくわけて四種類の上演台本が形成されている。

また、台本そのものもバラバラで見つかったため、シーンの前後も台本形成者に委ねられる。

【今回冨士山アネットにおいての登場人物】

実際のヴォイツェクには10数人の登場人物が出てくるが、今回はその中でも主要人物である五人が配役として登場する。残りの人物も数名登場。


ヴォイツェク
→主人公。貧しい一兵卒。精神障害を抱える。

マリー
→ヒロイン。ヴォイツェクの内縁の妻。ヴォイツェクとの子供があるが、貧しいため教会に認知されていない。

鼓手長
→軍の楽隊の鼓笛隊長。身分は下士官と同列だが、基本的にイケメンが就任し、性的シンボルであったり、カリスマ的、アイドル的存在。性の象徴。

大尉
→ヴォイツェクの上司で、ヴォイツェクに髭を剃ってもらったりする代わりに心付けをヴォイツェクに渡している。権威の象徴。

医者(僕です。)
→ヴォイツェクを使って人体実験(治験?)をしている人物。
ヴォイツェクに三ヶ月間エンドウ豆だけを食べさせ、その尿やヴォイツェク自身を観察して学会に発表している。実験の代わりに少ない手当てをヴォイツェクに渡している。
ヴォイツェクの精神異常に大きな影響を及ぼす。科学の象徴。


【当時の価値観】

ヴォイツェクとマリーは、夫婦状態ではあるが結婚はしていない。
当時はある一定の額を教会に納めねば結婚できず、ヴォイツェクの医者や大尉からの少ない収入では無理だった。

なので世間からは白い目で見られる存在。

また当時、結婚をしないで子供を作ることは大罪にあたり、それがたとえレイプでも女性が罰せられる世の中だった。(ひどいね。)

劇中で出てくる貨幣単位、グロッシェン。
だいたい2グロッシェンで5~600円。
医者からの治験の報酬は一日2グロッシェン。



だいたい以上です。
元々台詞は暗示や象徴やアンチテーゼに満ちているため、かなりわかりにくい作品ですが、ストーリーはいたってシンプル。

さて、これでより作品を楽しめますぜ♪