グリム童話と民間伝承に関心ある方の対話の広場

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★グリムと民間伝承研究会(グリミン)★第63回例会★中岡翔子:ドロステ=ヒュルスホフ「ゴーレムたち」

2015年09月03日 | Weblog
★グリムと民間伝承研究会(グリミン)★第63回例会案内★

                        2015年9月2日


猛暑の夏も落ち着き、ようやく秋らしくなってきました。
みなさま、お元気でいらっしゃいますか?

 さて今回は、日本独文学会の秋季大会(鹿児島大学)に合わせて、
大会2日目午後にグリミンの例会を開催します。
平素参加しにくい方々も是非奮ってご参加下さい。

★今回は京都府立医科大学非常勤講師 中岡 翔子先生に ご発表いただくことになりました。
  中岡先生から現在のご研究テーマ「人造人間ゴーレムに見られる科学」について以下のコメントをいただいています。

「19世紀以降のドイツ文学において、ゴーレムは科学的な素材として用いられてきました。
このことから、ゴーレムはロボットの原型とみなされています。
ただ、こうしたものは本来のユダヤの伝説には見られない要素であり、非ユダヤ的な概念の混合によるものです。
そこで私は、非ユダヤ人作家らが描き出したゴーレムの科学的な可能性について個々の作品の分析を通して考察しています。」

   当日は、とても興味深いテーマ 「ゴーレム像」 について発表頂きます。

●日時: 2015年10月4日(日)午後1時30分から(時間厳守)
      午後1時30分~3時30分 研究会 (発表・質疑応答)
午後3時30分~4時 グリミン 懇談会
●会場:
 鹿児島大学 郡元キャンパス(〒890-0065 鹿児島市郡元 1-21-30)
         共通教育棟1号館・2号館 122教室
道順:鹿児島空港からリムジンバスで鹿児島中央駅まで約40分、
      同駅より 市営バス乗車、「鹿大正門前」または「法文学部前」下車
キャンパスアクセスガイド

●内容:
 
★研究発表 午後1時30分~ 
   
中岡 翔子(京都府立医科大学非常勤講師)

  非芸術的な「 形象(かたち) Gebilde 」
    ― アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ「ゴーレムたち」におけるゴーレム像


アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ
 【発表の概要】  
  ヤーコプ・グリムがゴーレム伝説を紹介して以来、ドイツの非ユダヤ人作家らはこの素材をさまざまに作品に取り入れてきた。
ドロステによる叙情詩「ゴーレムたち」もグリムの影響を受けたもののひとつである。
ドロステによるゴーレムの特徴は、ゴーレムが詩人の産物とみなされている点にある。
とりわけ、ゴーレムが血の通わない「形象 Gebilde 」と呼ばれるとき、詩人の産物もまた芸術的な精彩を欠いていることが明らかとなる。
そしてドロステはこうしたゴーレムから逃れようとする。
ゲーテが「歌と形象 Lied und Gebilde」(『西東詩集』)において「形 Gestalt」 に凝固することのない歌を讃えたように、
ドロステもまた詩の生命を求めるのである。発表では、この「形象」について考察を加える。

アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ「ゴーレムたち」(原詩テキスト):
Annette von Droste-Hülshoff:Die Golems
     
●参加費 500円


■次回グリミン例会予告■

★第64回例会:
 2016年2月 武庫川女子大学にて卒論合同発表会
            (野口ゼミ、浜本・溝井ゼミほか)

★第65回例会:
2016年度日本独文学会春季研究発表会 (獨協大学 5月28日~29日)
の2日目午後において開催予定。
  上記の例会の研究発表を募っています。
  特に大学院生はじめ若い研究者の積極的なアプライを期待しています。
  希望者は世話人までご連絡ください。

★世話人
竹原 威滋
野口 芳子

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■学会情報ほか■

★日本独文学会秋季研究発表会
  2015年10月3日~4日
  鹿児島大学
  ●シンポジウム I(10:00~13:00)A 会場(111 教室)
旅と啓蒙―近代黎明期のドイツ文学における旅の表象とその変遷
       司会:田口 武史・小林 英起子
     1. クライストの『ミヒャエル・コールハース』と旅の啓蒙 市田 せつ子
     2. カロリーネ・ノイバー座の旅と啓蒙
       ―北・中部ドイツにおける興行と『序幕』を例に 小林 英起子
     3. J.H. カンペの旅行記
         ―啓蒙教育家は Volk をどう描いたか 田口 武史
     4. ゲーテのロマーンにおける旅と物語 木田 綾子
     5. 「旅行文学」の解体
        ―初期ロマン派と文学のトポグラフィー 武田 利勝

    そのほか学会の研究発表、詳しくは下記サイト参照:
       秋学会

★日本児童文学学会2015年度大会
   日時 2015年11月7日(土)、8日(日)
   会場 大阪教育大学

★朝日カルチャ・くずは教室・公開講座「グリム童話と昔話の世界へようこそ!」
    7月~9月の第3週金曜  講師:竹原威滋
      詳しくは、下記サイト参照:
       朝日カルチャー竹原

■新刊情報■

『カラー図説 グリムへの扉』 大野寿子編  勉誠出版 2400円(予価)
  グリム童話誕生200年祭記念出版  
  執筆陣:ツィンマーマン(チューリヒ大教授)、ラウアー(グリム兄弟博物館長)ほか
  グリミンの関係者(大野、高橋、田口、竹原、西口、野口、溝井)
  グリミン例会で紹介します。
『グリム童話とドイツ伝承文学における父親像と母親像』 野口芳子編 日本独文学会研究叢書102号
   執筆陣:グリミンの関係者(金城、竹原、野口、溝井、山本)
『グリム童話の旅 グリム兄弟とめぐるドイツ』 小林将輝 小澤昔ばなし研究所 1500円
『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』 シャルロット・デマトーン絵 橋本孝/天沼春樹訳 
   西村書店 3600円
『中世後期のドイツ民間信仰 : 伝説 (ザーゲ) の歴史民俗学』 ヴィル-エーリヒ・ポイカート著 
中山けい子訳 三元社  2800円
『民俗学のかたち - ドイツ語圏の学史にさぐる』 河野眞 創土社 12000円
『ナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論』 橋本陽介 水声文庫 2800円
『シルクロードをつなぐ昔話 中国のグリム童話』 三弥井書店 2800円
『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 大塚ひかり 草思社 1500円
『「赤ずきん」のフォークロア』 私市保彦・今井美恵 新曜社 3200円
『子どもと本』 松岡享子 岩波新書 820円
『入門 説話比較の方法論』  廣田收 勉誠出版 4800円
『語り伝える吉野の民話』 丸山顯徳編 金壽堂出版  750円 
『村上郁再話 子どもと家庭のための奈良の民話』 青木智史・竹原威滋編  
  京阪奈情報教育出版  第1巻:人の世の話 900円
第2巻:動物の話  840円  第3巻:こわい話と笑い話 840円
『超域する異界』 大野寿子編  勉誠出版 6500円
『卒論を楽しもう―グリム童話で書く人文系卒論―』 野口芳子著
武庫川女子大学出版部 1575円
http://www.mukogawa-u.ac.jp/~jigyoubu/book/book_03.html
『臨地の対人援助学―東日本大震災と復興の物語』 村本邦子ほか編著 
  晃洋書房 2000円
『語りの講座 伝承の創造力 災害と事故からの学び』 花部英雄・松本孝三編
   三弥井書店 2800円
『祓の神事 神話・理念・祭祀』 丸山顕誠著 三弥井書店 8900円
『昔話から御伽草子へ 室町物語と民間伝承』 福田 晃著
   三弥井書店 5500円
『日本の昔話と伝説 民間伝承の民俗学』 柳田国男 
   河出書房新社 2300円
『水窪のむかしばなし』  二本松康宏監修 三弥井書店 1000円


Boehncke,Heiner/Schmidt,Phoebe Alexa: Marie Hassenpflug.
Eine Maerchenerzaehlerin der Brueder Grimm.
Darmsatdt: Philipp von Zabern 2013.
Stauff, Beate: Von Strassenmusikanten und anderen Vertriebenen.
Marburg:Tectum 2010.
Roelleke,Heinz /Schindehuette,Albert: Es war einmal... Die wahren Maerchen
  der Brueder Girmm und wer sie ihnen erzaehlte.
  Die Andere Bibliothek Eichborn:Frankfurt/M. 2011.
Freyberger,Regina: Maerchenbilder - Bildermaerchen.
Illustrationen zu Grimms Maerchen 1819-1945.Athena:Oberhausen 2009.
200 Jahre Grimmische Maerchen. Ein deutscher Welterfolg und seine Autoren.
Die Brueder Girmm. in: Die Zeit. Geschichte 4/12
Uther, H.-J.:Handbuch zu den "Kinder-und Hausmaerchen" der Brueder Grimm.
Entstehung-Wirkung-Interpretation. 2008 (Gruyter) E 58.00
Schede, Hans-Georg: Die Brueder Grimm. Biographie. (CoCon) Hanau 2009
Mieder, Wolfgang: "Maerchen haben Kurze Beine" Moderne Maerchenreminiszenzen
in Literatur, Medien und Karikaturen. (Praesens) Wien 2009.
Wildhaber, R. / Uffer, L.: Der Schweizer Maerchenschatz.(Diederichs) 2007
Burgard, Matthias: Das Monster von Morbach. Eine moderne Sage des
Internetzeitalters. (Waxmann) Muenster 2008. E 19.90
Martus Steffen: Die Brueder Grimm. Eine Biograhie. (Rowohlt) 2009 E 26.90
Jaeckel, Karin: Deutschland, eine Maerchenreise. (Herder)
Freiburg 2010. E17.90

■グリムと民間伝承・論文情報■
伊藤惟:『クラバート伝説』再創造が語る民族アイデンティティの葛藤
  ―ユリィ・ピルク版『ヴェンドのファウスト伝説』を通して―
 『昔話―研究と資料―』43号(2015.3.) 所収
難波美和子:フォークロアと女性―帝国の境界で―
 『昔話―研究と資料―』43号(2015.3.) 所収
加藤康子:幼少期源頼光像の変貌
 『昔話―研究と資料―』43号(2015.3.) 所収
金城ハウプトマン朱美:ドイツのクリスマスとメルヒェン
  関西大学独逸文学会編『独逸文学』59号(2015.3) 所収
横道 誠:『太平廣記』収録「張雲容」
  ―スタロスティナ論文の中国版「眠り姫」と林羅山の『怪談全書』―
 『口承文芸研究』 38号 (2015.3.) 所収
横道 誠:グリム兄弟による「歌謡エッダ」(古ノルド語)のドイツ語訳(その1)
  ―「青年シグルズの歌」を例として―
 京都府立大学ドイツ文学会『AZUR(アツール)』7号(2015.2.) 所収
中山淳子:翻訳と考察『ドイツの伝説 ― グリム兄弟編集』から「コーボルト」
 文芸誌『KORN』3号(2014.8.)所収
間宮史子:200歳を迎えたグリム童話―その現代における意義―
 『口承文芸研究』 37号 (2014.3.) 所収
丹菊逸治:国際口承文芸学会16回大会参加報告
 『口承文芸研究』 37号 (2014.3.) 所収
川原美江:「フォルク」のいない文学
― ヘルダーからグリム兄弟にいたる民衆文学の構築 ―
『ドイツ文学』148号 (2014.3.) 所収
中丸禎子:人魚姫が浮かび上がるとき ― アンデルセン『人魚姫』における
  主体的な女性とデンマークの人魚モチーフ文学作品における原型 ―
『ドイツ文学』148号 (2014.3.) 所収
植 朗子:『ドイツ伝説集』における<人間が生る木>伝承と神話的樹木
『ドイツ文学』148号 (2014.3.) 所収
鈴木満:ルートヴィヒ・ベヒシュタイン編著『ドイツ伝説集』試訳(その1~9)
武蔵大学人文学会雑誌第44巻~46号 (2012.11~2015.3)所収

Roelleke,Heinz: Wess-Rot-schwarz:”Die drei Farben der Poesie”.
Zu Farbspielen in Grimms Schneewittchen-Maerchen und anderwaerts
in: "Fabula" Band 54, Heft 3/4 (2013)


★和書・洋書を問わず、グリムと民間伝承に関する新刊情報をお寄せください。

以上