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チャオプラヤ河岸の25時

ビジネスマンの日記帳

中東の戦争

2025-06-19 16:08:06 | インポート

 イスラエルは遂にイランの核施設や革命防衛隊や国軍基地への本格的な攻撃を開始した。標的にはナタンツ、フォルド、イスファハンなどにある核濃縮施設が含まれ、これへの攻撃はイランの全面報復を招くものとしタブーとされてきた。イスラエルはその全面戦争を覚悟しての攻撃、と云うことになる。

 イランは中東各地に配下のテロ組織を育成し、ハマス、ヒズボラ、フーシなどがイスラエル攻撃の先兵になってきた。イスラエルの絶滅が国是、そんなイランとの共存がどうやって可能になるのか、がイスラエルの言い分だ。日々が生き残りの為の戦争であるイスラエルにとって甘いことは云っていられない。世界最強とされる地下工作の専門組織モサドにより、イラン軍高官や核開発技術者の居場所は事前に特定されており、開戦初日にほとんどが爆殺された。更に第一撃でイランの防空網はほぼ壊滅し、首都テヘラン上空はイスラエル空軍のステルス機が自由に飛行できる状態だ。情報力を含め、軍事力には大差があると云うことだ。

 ウクライナ戦争に加えロシア、イラン、北朝鮮、中国の独裁国枢軸対西欧諸国の構図は全面発火の度合いを著しく高めた。イランがホルムズ海峡を軍事的に閉鎖すれば、中東の石油は世界に輸出できなくなる。無論8割の石油輸送ルートをこの海峡に依存する日本にとっても存立危機事態となる。放置されてきた危機の構図が遂に発火した。これを第三次世界大戦の導火線と呼ばずに何と呼べばいいのだろう。

 イランの核開発の最重要拠点はナタンツではなくフォルドである。地下100mにウラン濃縮の大型の施設がある。今回の爆撃でも破壊は出来ていない。アメリカが持つバンカーバスター(地中貫通爆弾)とB∸2戦略爆撃機以外では手が届かず、イラン・イスラム宗派統治の権威維持の生命線になっている。アメリカの反対に関わらずイスラエルはこのタブーである施設を爆撃した。

 破壊出来ないのが分かっているのに何故か?それは中途半端に終えれば核の危険はやがてイランが大悪魔と呼ぶアメリカにも及ぶはず。従って自国第一主義であろうとバンカーバスターとBー2をイランに出動させる以外に選択肢はなくなる。全体の構図と進捗はイスラエルがアメリカを巻き込むための戦争戦略になっており、それは現実に起動している。戦火が世界に及ぶ可能性を持っている地域、中東での本格的発火、今までの紛争レベルとは意味が違う。ロシアのウクライナでの暴走により、大国による中東鎮静化の枠組みを世界は既に失っているからだ。

 更に懸念はある。イランはウラン235を90%の濃縮まで進めてある、との情報だが高濃度にして高度兵器級にするまでもなく、20%濃縮以上になれば基本的には核分裂の連鎖反応を起こすことができる。つまり二級品の核弾頭やプルトニュウム型核弾頭、更には放射性物質をばら撒く汚い核兵器をイランが持っている可能性まで否定できない。追い詰められたハメネイ師が何を使って反撃するのか、実は不透明なままだ。

  イランは狂信的なシーア派による政教一致政権、ユダヤ・シオニズムのイスラエル、同じく終末戦争こそが福音であるとするキリスト教福音派の狂信的セクトに影響される宗教国家アメリカ。唯一神を同様に信仰した国家同士による宗教戦争の意味合いさえ持つ泥沼。停戦は望まず最終的な結果だけを望む、腰砕けで名高いトランプだが、今はそのように発言している。

 

                              川口

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