先週のG20財務相中央銀行会議で、あらゆる手段を用いて経済の下支えと市場の安定化を実現する旨の合意がされた。週明けの市場動向が注目されたが、やはり上海株は下降線を辿り、元は安値方向のトレンドに変わりない。上海市場を除けば、概ねG20の協調を好意的に受け止めて上昇基調となった。やはり震源地の中国の情勢だけは、生半可な解決策では済まないという市場の認識だろう。
急減速によって中国の異常な風景が目立って報告されるようになった。ゴースト・タウン化した鬼城は周知のことだが、最近はデパートからテナントが逃げ出し、廃墟化したものが都市部に500カ所以上も出現している。
G20で構造改革を急ぐよう要求された中国、構造改革の中身は肥大化し赤字を垂れ流す1,100の国営大企業を整理することでしかない。だとすれば膨大な失業者の発生をどうするのか、という治安問題が並行する。早くもネット規制の強化は著しく、またメディアは党の宣伝機関としての機能を果たせ、などの情報統制の下命が相次いでいる。情報統制を徹底しなければ民の暴動を恐れねばならぬ、それほどに経済の運営を失敗している証左だろう。
日本の国会は相変わらずだ。クイズのような質問まであり、喧嘩腰であれば何でも良しの野党質問の低質さに呆れ果てる。これなら安倍政権は安泰を約束されているようなもの、何時でも好きな時に解散に打って出ることができ、なおかつ圧勝するだろう。
以前は毎年首相の顔が変わり、日本の政治はバナナ国家並みで外交議論もできない、と世界から揶揄されてきた。だが、野党がこの水準であれば、安倍政権は記録的な長寿政権になるのは確実だろう。少なくとも、短命政権による国益の毀損だけは当分心配なさそうだ。
野党の現実認識は壊滅的に怪しく、旧社会党並みに浮世離れした空中戦を挑んでは得意気だ。不毛なイデオロギー対決など何の役にも立たない。現実の国際情勢に適合する安保政策とは何なのかではなく、相も変わらず立憲主義云々の形而上学にと嵌っていく。
現実理解が無視されるのであれば、如何なる立論も可能になる。大学の学生の議論と同列で良いのだから、何百年でも現憲法を変えずにいれば良い。浮世離れした日本を目指す、そのように宣言してからの話だが。馬鹿な論議、そんなものの為に国民は代表を国会に送ったのではない。
激変する国際情勢、なぜ日本だけが関わらないで居られると思うのだろうか。東アジアは今年大きく様相を一変する。北朝鮮と中国、コウモリ外交の韓国、いずれも既にその路線の限界を迎えているからだ。そのとき日本はどうするのか、腹案を持って現実に臨んでいるのは、少なくとも野党ではない。
川口