キャリーパミュパミュの「にんじゃりばんばん」のCDを買った。想像を絶した日本語の使い方や、仮想空間に生身のアイデンティティーを求めるようなキャラクターが面白い。我々の世代からはとんでもない距離のある世界だが、面白いものは面白い。そもそも、リズミカルなポップスに理屈なんか要らない。
ちんぼんじゃらしの音と共に引導を渡され、旧友は冥府にと旅立った。予想以上にダメージが残ってしまい、にんじゃりばんばんの助けでもなければやっていられない。
今年の弥生の風情は既に春も盛り、いつもより早く花は咲き、気温も随分と上がっている。風も強い日があるけれど、例年より黄砂の空も少なく、青い空が美しい日が多い。
無常のこの世に在って、なお美しさも面白さも求めないなら、それは一体なんだろう。今今のこの春を体いっぱいに受け止め、愛で、讃えよう。これから、周りは命の輝きで一杯になる。
人は意味を求める存在だ。不変の価値の連鎖の中に己を置きたいと願わぬ者はないのかもしれない。それが、絶えることなく宗教が発生する理由だろう。やがては単なる物質に還元される命というもの、儚さと、その再生の季節。心象風景は重いままだが、満開の桜の下、春は無関係に力強くて。
「にんじゃりばんばん」の出幕だ。少しく、頭を空っぽにしよう。
川口