チャオプラヤ河岸の25時

ビジネスマンの日記帳

ウクライナ東部戦線

2022-05-14 13:25:17 | インポート

 8日、ウクライナでは驚くべき戦闘があった。東部ドネツ川で渡河作戦を行っていたロシア軍をウクライナ軍が砲爆撃、1個BTG(戦術大隊)を全滅させた。指揮官がいないのか知能が無いのかは分からないが、失敗を重ねても同じパターンで9回も渡河を試み、結果全滅したと云う。戦車など70台、兵員では1,000人規模を一気に失った。ロシア軍の士気の低さと時代遅れの兵器や戦術は非常識なレベルにあり、この為に人員の損耗は急速に進んでいる。いずれ命令拒否や逃亡で前線が崩壊するだろう。

 ロシアは守備隊形に切り替え長期戦を目指す気配もあるが、それもおそらく失敗する。今後更に最新鋭の兵器を受け取るウクライナ軍、特にアメリカのM777榴弾砲はエクスカリバー誘導砲弾を発射でき、GPS誘導で30キロ先の目標に誤差2メートルで着弾する。塹壕戦に持ち込むことすらもできない。つまり、欧米の新鋭兵器に対抗する力は最初からロシアにはない、その客観的自己評価能力に欠けている奇妙な軍だ。

 ロシアが敗走するのは時間の問題だが、プーチンの戦争がそれで終わることもない。敗勢になれば戦術核を使う可能性もゼロではないし、年単位で立て直しの時間を稼ぎ、再度キーウを狙う作戦もあり得る。人命を何とも思わぬ共産主義と歪んだロシア正教民族主義とが結びついた侵略への執念、それは存在する限り周辺国を脅かし続ける質にある。

 民間人を狙った砲爆撃に加え、ロシア軍はウクライナから奪った膨大な穀物を海外で売り捌くべく、船でシリアに積み出してもいる。正に強盗国家だ。各国は船の入港を拒否しているがシリア、ベラルーシ、中国などは略奪品処分に加担する可能性が十分にある。いずれにせよウクライナの穀物が正常に流通しなければ、中東やアフリカでは大規模な飢饉の可能性が濃厚になる。

 フィンランドとスゥェ-デンはNATO参加を決めた。ロシアの隣国であれば当然の判断だろう。ロシアは早速に電力とガス供給を止めると宣言した。各国をエネルギーと食糧で依存させておき、戦時にはそれを武器に敵対を牽制する、長年狙っていた戦略が実行されている。その意味で戦争はヨーロッパ全域に波及した。ロシアは北方領土の守備隊すらウクライナに移動させ、ヨーロッパ戦線の瓦解阻止に必死となっている。

 東部戦線で督戦中にウクライナ軍の砲撃により再起不能の負傷説が出たゲラシモフ参謀総長、ロシア軍にとって最大行事になる9日の戦勝記念日には姿を見せなかった。つまり、負傷が事実であるか敗勢の責任を取らされ逮捕されたか、いずれかの可能性が高い。ロシアの追い詰められ方が相当のレベルに至っている証拠だろう。核の脅しを使う無頼、追い詰められる強盗国家ロシア。継戦能力を奪う大打撃を東部戦線で与えて停戦協議に引っ張り出すこと、戦争の止め方が他に何もない。

 

 

 

                                川口

 

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ロシア戦勝記念日

2022-05-09 16:33:05 | インポート

 プーチンは独ソ戦争での勝利にロシアのアイデンテティーを重ねる。従ってネオナチのウクライナから祖国を防衛するために侵攻した、との荒唐無稽な宣伝からは離れることはない。どうみても現代のナチスはロシアだが、愚民化プロパガンダの下地があればこの馬鹿げたロジックでも国民を騙せる、との確信があるのだろう。ナチの宣伝相ゲッペルスは嘘も百回繰り返せば真実になる、として虚偽宣伝によって好戦的なナチス支持者を産み出し、祖国防衛の名の下に熱狂的な空気を作って侵略戦争に突進させた。まさにプーチンの手法はナチスの再現そのもの云えるだろう。

 ロシア軍は占領地に白赤青の三色旗ではなく、かつての鎌とハンマーの赤旗ソビエト国旗を掲げている。侵略戦争の過程で先祖返りを果たした、ということだろう。国境線を最大化させたソビエト共産党の領土回復、それ以外には何の動機もないことを自白している。怪しげなロシア正教のキリル総主教に悪魔ウクライナを語らせ、自身は共産主義と皇帝との混合物となって愚民化した民衆を操縦する、そんな気色の悪い支配構造が明瞭になっている。プーチンこそがヒットラーの再来である所以だ。

 独ソ戦勝利の今日がロシア最大の祝日だ。ナチスに勝った、だからと云ってソビエト共産主義が正義だ、と云うことになるわけがない。拮抗する悪の二か国が人民の膨大な犠牲を意に介さず激突し、運よくロシアが勝ったに過ぎない。シベリアに無数の強制収容所を作り、膨大な粛清による殺人の上に築かれたソビエト連邦、ヒットラーとスターリンのどちらがより悪魔的かは悩ましい議論になる。そのどこが記念すべき戦勝なのか、意味が分からない。恥ずべき記念日でしかないことは明らかだろう。明確なことは一方の悪魔が戦後も生き残ってしまった、と云う事実だ。

 戦勝記念日の今日、プーチンは演説でウクライナをナチと決めつけ、ロシア系住民の解放のためと称しロシア軍に一層の奮起を促した。懸念した総動員令可能な戦争宣言こそ回避されたが、それは現状の敗勢を隠蔽したいだけのことだ。プーチンに最早引き下がる場所は無く、ただウクライナで膨大な民衆の死傷者を積上げていくしか能はない。政治家ですら既になく、スターリンとヒットラーの混合物となった軽蔑すべき小皇帝に過ぎない。彼によってロシアは失敗国家並みに瓦解していく運命にある。

 

 

                           川口

 

 

                           

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ウクライナと日本

2022-05-05 22:08:12 | インポート

 日本の地政学的危険度は世界でも有数の立地だ。隣国がロシア、中国、北朝鮮と揃っている地域はそう多くない。では、なぜ戦後75年も平和であったのか?その解は当たり前だが日米同盟の存在だ。日米同盟の最大の利点はアメリカの防衛義務を片務的に課してあるが、日本はアメリカの戦争に軍を出して支援する義務はない。正に冷戦下、ボロボロになった敗戦国故の甘えが許された同盟だ。

 従って戦後野党の様に外交がアメリカに従属的だと云って非難し、一方で自前の軍備増強に反対する、と云うのはひどい論理矛盾だ。偏狭なナショナリズムは戦後左派野党の反米感情として継承されたが、片務的に安全を担保している相手に逆らってでもと云うのなら、左派こそが憲法改正の主軸になるべきだった。このロジックの破綻、現実拒絶姿勢こそが野党が万年野党の無様な勢力でいる理由だ。加えて日米同盟は世界最強の軍事力を持つアメリカに攻められる可能性を極小化させる、この同盟メリットは戦後75年の日本の平和にとって大きいものだった。

 よく聞く平和主義者のもう一つの大きな誤りは軍事基地があれば戦時には攻撃される場所になる、と云うものがある。沖縄などでは主流の考え方だが、それはまったく違う。戦術的、地政学的に重要な位置にあるから攻められるのであって、防備が薄ければ竹島や北方領土のように黙って占領されるだけのことだ。それを安全と云うのだろうか?ウクライナはソ連解体時に核を手放し、空母を中国に売り、軍備を大幅に削減して日本そっくりの平和国家となった。ロシアの黒海への出口に立地しながらだ。その結果が、今の姿だ。

 核抑止力は完璧に機能している。核保有国同士の正面衝突は戦後一度もなく、核保有国が持たざる国と戦っているか、持たざる国や勢力同士が戦っているだけのことだ。この弱い者いじめの戦後秩序をどうするのか、日本の立ち位置はポスト・ウクライナの世界でどうするのか、いい加減でタブー無しの議論がされなければならない。平和憲法を固守して国連依存と外交とで地政学的リスクを何とかする、この全く機能しない妄想平和主義の方法論を掲げ続けるのは、今や妄想レベルでなく分裂症的としか云いようがない。

 現実が変わった。国連安全保障理事会の常任理事国が核で脅しながら隣国を蹂躙する、戦後世界はそんなことを予測したシステムになっていない。国連の解体による新秩序の提起、自前の抑止力の確立、日本の目指すべき大目標は嫌になるほど明確になっている。

 

 

                              川口

 

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ドイツの変身

2022-05-01 23:12:36 | インポート

 ドイツは大半のエネルギーをロシアに依存し、巨額な外貨収入をロシアに与えてきた。シュレーダー、メルケルと続いたドイツの親ロシア路線のもたらす豊富な資金、それがロシアのウクライナ侵略を招いたと誹られても無理もない。にも拘らず戦争の開始直後にはウクライナにヘルメット5,000個のみを送り国際社会から強烈な非難を浴びた。

 そのドイツが劇的な方針転換を遂げた。ロシアの侵攻が国際秩序の瓦解をもたらす質であることを見て、一気に国防費を倍増させた。これまではウクライナに重火器の提供はしないとしてきたが、ゲパルト対空戦車50台の提供も決めている。更にPzH2000自走榴弾砲20両やレオパルド戦車の供与が検討されている。何れも最新型でなく退役した在庫兵器だが、更に時代遅れなロシア装甲部隊相手ならば圧倒的に優勢な武器になる。ゲパルトは水平射撃なら陸戦にも有効な機関砲になるだろう。こうしたヨーロッパ諸国のウクライナ防衛への踏み込みはプーチンにとって大打撃となるはず。つまりロシアの戦勝はもう無い。

 ロシアの侵略意思はウクライナに留まらず、ここでウクライナ併合を成功させてしまえば、次はモルドバ、ジョージア、バルト三国、フィンランドなどが次々に犠牲になる、その恐れは極めて高い。既にモルドバでは自作自演の偽旗作戦やサイバー攻撃をロシア軍が開始しており、ヨーロッパの危機感は半端なものではない。

 更にはロシアは占領地へルソンなどでレーニン像の設置を始めている。つまりソビエト以来の共産主義信仰を断ち切ってなどいない。国家のアイデンテティーが相も変らぬ全体主義、暴力的レーニン主義、共産主義への拝跪であること、そのことには唖然とする。言論の自由も選挙も、全てまやかしの見せかけであったのだろう。であれば欧米は冷戦構造の継続者に対しては冷戦構造で向き合うしかなくなる。それがドイツの方向転換の理由だ。

 アメリカやNATOの支援も本格化している。プーチンの核の脅しに屈している場合ではない、このウクライナ侵攻のもたらす質を世界が認知し始めたと云うことだろう。最新のドローンを含め、大量の重砲などを各国が支援を開始した。ドニエプル川周辺での戦争は全ヨーロッパに拡大する可能性が高く、ヨーロッパの戦争は世界大戦に至る蓋然性を持つ。ロシアをここで完全に消耗させ、自由市場から締め出して立ち直れないまで弱体化させなければ世界は決定的に危険なものになる、それが欧米の認識と決意の内容だ。既に戦争はロシアとウクライナの枠を超えつつある。

 核大国が悪の枢軸を形成し、ならず者化して世界と向き合う、まったく次元の異なる現実がポストウクライナの未来図だ。平和ボケの議論に終始する日本、だが無関係でいられるはずもない世界史的な大転換が起きている。それが世界の現在地である。

 

 

                                川口

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侵略抑止能力

2022-04-24 09:43:06 | インポート

 ロシア黒海艦隊司令官のオシポフ将軍が逮捕された。巡洋艦モスクワを撃沈され、プーチンの逆鱗に触れたと云うことだろう。ソビエト共産党時代と今のルースキー・ミール(ロシアの世界)を思想的核としたロシアとの違いは、要するに見当たらない。更にはブチャでの虐殺を実行した部隊に国家親衛隊の称号を与え、功績を称賛してもいる。話にもならない帝国主義者の姿、そこには何の変化もない。

 ロシアは戦略的に壊滅的な打撃を受けることになる。プーチンの知識不足、能力の無さがロシア破壊の原動力だ。歴史観の偏向と貧弱さ、軍事理解の浅薄さは特に亡国の指導者にふさわしい。欧米の経済制裁は効いていないとの先週の記者会見、これも恥ずかしいレベルの認識だった。曰く、ルーブルの下落が収まり戦争前の水準に戻った、貿易収支は黒字拡大した、と語っては胸を張っている。国内金利を20%に引き上げ、更にドルとの交換が不可能であれば、ルーブルは安定するに決まっている。代わりに国内経済が壊滅的に衰弱する、それだけのことだ。輸入ができない以上は貿易収支が極端な黒字になるのも当たり前、犠牲は国内のインフレと物不足、工業生産の不可能化になる。どこをとっても制裁が強力に効いていると云う確実な証拠でしかない。為替水準のみを見て自慢したり経済の強弱を語る、それは経済音痴である証拠と云うことだ。

 核使用を伴う第三次世界大戦の回避、アメリカは早くからその方針を固めて直接介入を避けた。それはロシアや中国などの核を持つ専制国家の強固な侵略意思を止める力が、既に世界からは失われていることを示している。結果ロシアが中期的には瓦解に向かうのならそれでも良い、という計算は成り立つのかもしれないが、ウクライナのように直接の被害国には地獄だ。ロシアは次にモルドバへの侵攻を示唆し、更にロシアは北海道に正当な権利を持っている、と発言してもいる。

 核抑止力は保有国同士で機能する。しかし非保有国への大国による核の傘提供なるものは、危機の時には意味をなさないファンタジーである、そのことが明確になった。ロシアは一方的にキーウを攻撃するが、モスクワにミサイルの雨で反撃する国はどこにも無い。それは戦争の姿ですらなく、核の恫喝下、問答無用の弱小国への破壊活動と虐殺が実行されているにすぎない。

 核の傘は無意味だが、核の保有には強力な抑止力がある、このことを現実認識として認める以外にない。侵略を抑止する装置、確証報復能力は核積載の原子力潜水艦保有でしかなく、おそらくそれを多数の国が今後目指すことになるだろう。そうでない限りは自国民を中ロから守れない、それが明確になった世界史的事件こそがウクライナ戦争であるからだ。

 プーチン相手に一体どんな外交が可能だろうか?力の信奉者を相手の話し合い、其処に軍備の力を背に臨むのでなければ何の成果も生まれるはずがない。それが冷徹な現実だ。今、核拡散防止の枠組みは既に世界のどこにも存在していない。拒否権を乱発する安全保障理事国が非拡散の模範国ウクライナを侵略したのだから。

 

 

                                 川口

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モスクワの撃沈

2022-04-18 16:57:13 | インポート

 ロシア黒海艦隊の旗艦、ミサイル巡洋艦のモスクワが撃沈された。ロシアは火災と嵐の為に浸水し沈没した、との大本営発表を行った。だが、防空システムを満載したはずの自慢のモスクワは、ウクライナ軍のミサイルたった2発によって沈められたことが確認された。

 艦隊旗艦の撃沈は日露戦争でバルチック艦隊の旗艦スウォーロフが沈められて以来、歴史的な大失態だ。艦長以下大佐級将官も3名が戦死している。ミサイルが正確に司令塔である艦橋付近を直撃した証明だ。真実以外は何でも広報するロシア、流石に嘘の羅列に力はない。更には火災と説明したはずが翌日にキエフに報復攻撃を実施、プロパガンダの整合性は支離滅裂になっている。

 陸海空のロシア軍の弱さに驚くばかりだが、兵力数はウクライナの10倍あることに変わりはなく、今後もあくまで侵略を継続させるだろう。プーチンの頭の中では犠牲者の数はどうでも良いことらしい。2次大戦における独ソ戦では2,700万人のロシア軍が戦死しており、それに比較すると現状を軽微な損害と判断しているかもしれない。お国柄としか言いようがない。

 ロシアは大国、そう世界は誤解していた。広大な領土を持ち、最多の核兵器を所有する、だが一方で人口は1億4千万人に過ぎず、GDPは韓国以下である。中国も北朝鮮もロシア製兵器のコピーで軍備を整えてきたが、部品は欧米から輸入しなければまともな物など何も作れない。兵器の脆弱さや戦術の時代遅れぶりには啞然とするが、そのコピーで武装した中国やインドに至っては冷や汗ものだろう。

 張子の虎、ロシアの自滅は彼我の差を正しく評価できないが故の悲劇だ。士気も高く、最新の精密誘導兵器を供与されるウクライナ軍、NATOの結束、それを2次大戦の成功体験に酔うだけのロシア軍が一蹴できるはずがなかった。黒海艦隊旗艦モスクワの撃沈、それは世界がロシアへの誤解を解く契機になるだろう。核やBC兵器での脅し以外に今や何も無くなりつつあるロシア、脅されたら一歩前に出る、それが喧嘩の作法だ。

 最早停戦の機会も失われている。どちらかが完全に消耗するまで悲劇は続けられることになる。少なくともプーチンは犠牲者数を意に介する人間ではない。ならば止める方法はただ一つ、侵略者が侵略を諦めることでしかない。であれば更に世界は一歩前に出る、それが正しい選択肢になる。軍事的にロシアを壊滅させる、他に収拾の手段がまったく無い。

 

 

                             川口

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神と悪魔

2022-04-11 16:51:20 | インポート

 ロシアはギリシャ正教系、ロシア正教を大半の国民が信仰する国だ。ギリシャ正教には各国ごとに国名を戴く組織があるだけで、ギリシャ正教総本山と云うような国境を横断する組織体は無い。カトリックのようにバチカンがあり教皇が在る、と云う宗派とはかなり様相が異なる。

 ロシアは帝政期でのラスプーチン以来、ロシア正教が政治に絡むことが良くある。現在のトップ、キリル1世も同様にプーチンと一体になった聖職者だ。以前からロシア正教からの独立を目指すウクライナ正教と鋭く対立し、ウクライナはネオナチの国と云う宣伝を彼が主導し繰り返してきた。プーチンがそれを下命したのか、ロシア正教が逆にプーチンに影響を与えたのか、内実は定かでない。

 神や天使を措定する宗教と云うもの、それは反対概念である悪魔を同時に必要とし、信仰心の強さとは、そのまま悪魔を強く意識し憎悪する動力になる。如何に美しい神の世界を説こうとも、同時に心中に悪魔を措定している。宗教と苛烈な粛清を繰返す共産主義との親和性の源でもある。反対概念を憎悪する故に神と信徒は美しく神聖で居られる、対立党派をゴミ扱いすることで内部の結束が生まれる。宗教と共産主義は相互に対立的だが心理学的構造の親和性は極めて高い。組織に育てる憎しみのエネルギー、その社会心理学的構造は両者ともにまったく同じものだ。

 自分達は悪魔と戦う前線、この集団ナルシズムこそ宗教や党派がもたらす一体感の本質であり、社会的孤立に悩む利己的凡愚を救う妙薬になる。キリル1世に選ばれた悪魔は、不幸なことにウクライナ正教会であった。神の崇拝の一方で激しく悪魔、つまりネオナチ集団とレッテルを張って執拗にウクライナを攻撃する、それが信仰にとっては不可欠な要素になる。邪教が無いところに正系も無いからだ。

 悪魔であれば殺せる、殺さねばならない、それがロシア軍の占領地では常に起こる民間人大量虐殺や遠方への誘拐、強制移住と云った非道な行いの原因にもなる。ロシアは今、ラスプーチン以降で最悪とされる怪僧キリル1世が国民の洗脳を担っており、条件は最悪だ。

 如何にウクライナをネオナチと呼んで攻撃しようが、ナチスに最も類似した国こそがロシアであると云う事実は動かしようがない。ヒトラーをヨーロッパから駆逐したソ連が善である、とのロシア国内の愛国プロパガンダはとてつもなくナンセンスだ。同じような悪魔のうち、運の良い方が生き残った、それが独ソ戦であり第二次世界大戦の決着の姿だった。ナチを倒したから善、そんなことは間違っても云えない。スターリンがヒトラーよりましなどと云える人間は余程歴史を知らない人物だろう。とにもかくにも、一日も早くウクライナに平安が戻ること、今は切にそれを祈るしかない。

 

 

                              川口  

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原発と吉本隆明

2022-04-09 22:58:04 | インポート

 世界は天然ガス、石油、石炭の化石燃料不足の対応に追われている。無論、ロシアの戦争が原因だ。ドイツはロシア製ガス依存を極端に進めてきたため、ロシアの軍事費を潤沢にさせた元凶ともされ、責任論が出るほどの窮地に陥っている。メルケルはウクライナのNATO入りを妨害し、一方で脱炭素・脱原発・SDGsなどを掲げてはノルドストリーム2による更なるロシア依存を図ってきた。非難されて当然だ。

 EUの盟主ドイツが転落し、フランスも大統領選挙が終わらねば何もできない。ヨーロッパの方向性を読むのは今後かなり難しくなるだろう。ウクライナ支援に攻撃性兵器も厭わぬ姿勢に転換したが、EU内部にはハンガリーなどの親ロ国も抱えている。ロシア対策や脱炭素で一致した行動が可能かどうか、依然疑問が残る。

 脱炭素を進めるのなら原発の再稼働以外には何もない。再生可能エネルギーが全体消費量を満たす可能性なら、それはゼロである。戦後の偉大な思想家である吉本隆明、福島原発事故後の諸悪の根源は原発、と云う世間のヒステリックな風潮に対し明確に反論している。一回の失敗、一回の天災でその技術全てを捨て去るなら、それは文明の後退をしか意味していない、と。代わりに一体何を持ってくるのか、血みどろの資源争いにならずに脱炭素も確実にする、その為に進めた技術の全てを葬ることの何処が善なのかと。エネルギーの為に対米戦争をした国が、少なくとも一時の感情で処理してよい問題ではない。

 福島は大変な悲劇だったし、今も最終処分場の目途は立っていない。だが、世界が今更に石炭・石油・ガスに戻れば、もっと悲劇的で予測不能な世界が現れるはず。作用には必ず反作用が伴うが、脱炭素や脱原発の反作用については検討が不十分に過ぎる。これでは大規模戦争の火種を消すだけで21世紀が終っていくだろう。エネルギーと食糧とが不足する世界、それがどんなものになるのかの想像力を失ってはならない。我々は科学の子でなければならず、事故があったなら再発防止技術を見出し、安全技術を前進させるだけのことだ。

 反原発は宗教的頑迷さを伴なったり、共産主義団体が利用主義的に活用してきたりもした。それは人類の進歩に対する許し難い妨害行為であり、世界をロシアの地下資源に依存させようとのプーチンの意図を援護するものでしかなかった。結果それが何を意味するのか、ヨーロッパのこれからを見れば分かる。反原発、脱炭素の雄だったドイツのメルケル、今やウクライナの人々にとって彼女はプーチンと同格の悪魔でしかない。

 

 

 

                             川口

 

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ロシアの共犯国

2022-04-07 22:41:38 | インポート

 ウクライナ侵略の主役はもちろんロシアだが、忘れてはならない侵略のサポーターが存在している、中国だ。冬季オリンピックでのプーチン・習会談においてウクライナ侵攻を支持し、制裁で売り先を失うだろうガス、小麦、石油などを中国が大量に買取る旨を合意した。この決定的な支援の約束が無ければプーチンが戦争に踏み切ることが不可能だった。つまりサポーターと云うより共犯の関係にあるのが中国だ。ロシアはオリンピックの閉幕を待ってからの侵攻を約束し、中国は侵攻前日にサイバー空間でウクライナのインフラ攻撃を実施していた。習近平はロシアのウクライナ侵略を了承しかつ共闘していた、そのことに今や疑問の余地がない。

 近未来に中国自身が台湾侵略を実行する可能性は極めて高く、ロシアとの共犯関係は自国の為に是非必要なものと判断したのだろう。台湾に侵攻すれば国際社会はどう動くのか、西側は結束して中国制裁ができるのか、中国支持に廻るのはロシアと弱小独裁国家以外にもあるのか、様々なチェックができる。ウクライナ戦争を都合の良い予行演習として見たことだろう。

 伝統的に規律が滅茶苦茶なロシア軍相手に降伏し、占領を許せばどうなるのか、その結果がブチャでの民間人大量虐殺で明らかとなった。国際世論はロシアに対する厳しい制裁を更に求め、非難の度合いを高めねばならない。ロシア製兵器の供給に依存するインドですら、中立的スタンスを見直し始めた。それだけのインパクトがある。ロシア軍は過去、平時にも関わらず大韓航空やマレーシア航空の旅客機を撃墜した実績がある。そのロシアと組むリスクは半端なものでは済まないはず。

 従って、最も慌てたのは共犯者の中国だったろう。国際社会からの袋叩き状態となったロシアの道ずれに悪評に晒される、その可能性が高まるからだ。ロシアの国内向けプロパガンダをそのままに垂流し、虐殺はフェイクニュース、ウクライナの自作自演、との恥ずかしいばかりの内容で国内報道をしている。国内を愚民化する、そんなテレビはロシア以外では中国、北朝鮮くらいでしかお目に掛かれない。

 ロシアと中国のリスクはまったく同じである。近い将来の経済の完全デカップリングに備えねばならない。如何に痛みが伴おうと、その事態は必ず来る。中国に拠点を持った製造に未来などはない。ロシアの中で日系企業がどのような損失を受けるのか、良く観察すればよい。中国にとってウクライナ戦争は予行演習だったかもしれないが、世界の企業にとってもそれは同様だ。同じことが必ず中国で起こり得る。ロシアの背中を強く押した中国共産党、それがSWIFTの枠の中でいつまでも繁栄を享受する、そんな馬鹿なことを世界は許さなくなるだろう。デカップリングされた中国経済の姿、その想像力が無いのなら後の言葉は無い。

 

 

                            川口

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粉飾の勝利

2022-04-03 22:06:04 | インポート

 ロシア軍がキエフの占領を断念し、東部ドンパスの占領に集中するとの報道があった。事実北部からはロシア軍の撤退やウクライナ軍による地域奪還のニュースが相次いだ。これは欺瞞工作であり再編して再度首都制圧を目指す、との見方も当然にある。だが、現実にはロシア軍の損耗は激しく、兵站の準備がまるでなく、杜撰で旧式な戦術、司令官レベルの将官が8名も失われた、などから判断すれば再編でまた大規模な再侵攻が可能になるとは思えない。

 つまり、これはキエフ周辺からの撤退宣言で間違いはなさそうだ。旧日本軍も壊滅的損害を受けた場合には部隊の転戦、転進、と表現していた。東部への戦力集中とは、北部戦線での敗北が極めて深刻だったことを示すものでしかない。世界最強とされたロシア陸軍は神話に過ぎず、現実の弱さに驚愕する.

 劣等感に苛まれる世界では面子やプライドは絶対的だ。弱ければ強さを偽装する他にはなく、敗北が即政権が瓦解することを意味する以上、大敗北を大勝利に作り替える必要に迫られる。キエフ侵攻は陽動作戦、最初から目標でないと言い訳を始めている。何の戦略もなく始めたプーチンの戦争。終わらせ方は局地戦の勝利でもって何時ものように国民を洗脳できるかどうか、に掛かっているのだろう。そもそもロシア国内ではウクライナに侵攻などしていない、と云う報道になっている。ネオナチに虐められた人々を救援する為、小規模な特殊軍事作戦しかやっていないと。なるほど、そもそもやっていない戦争ならば敗戦はないことになる。スターリン以降の愚民化政策に如何に習熟しているのか、この表現だけで良くわかる。

 共産主義ソビエトも今のロシアも、何らその本質は変わっていない。独裁政権以外はこの国には馴染まなくなっているのかもしれない。報道はプロパガンダ以外のものが無く、国民はソビエト共産党以来、既に数世代にもわたって愚民化、洗脳の対象にされている。権力者の発言を妄信する以外の思考回路を持つことがそもそも危険すぎる、そんな凶暴な治安組織も存在する。民主主義を機能させるには一定の民度と教育水準とがベースの資源として必要だ。欠けているそれを、彼の地でこれから育成するには更に数世代を要する。それは覚悟すべきだろう。単に民主主義のシステムや市場経済を移植しても、そのベースが脆弱ならばまったく意味をなさない。

 史上最悪の原発事故だったチェルノブイリ、そこを占領したロシア軍は何と周囲の重度汚染地区「赤い森」に塹壕を掘り、防御陣地化していた。そこは高濃度汚染物を埋めるしかなかった地域であり、土中埋設物は極めて高い放射線を今も放出している。福島原発敷地内の更に900倍の汚染が確認されている場所である。ロシア兵の中にはその危険性は無論、原発事故そのものを知らされていない者が多かったという。結局400名近くが急性放射線障害を起こし先週後方の病院に撤収した。報道がプーチンの宣伝機関に過ぎず、日々国民はプロパガンダしか目にしない、そうなればこのような愚行の民が育つしかなくなる。

 ロシア国内でプーチンの支持率は80%を超えている。ベースの無いところに民主主義は育たない、そのことを証明しているのがロシア他の専制主義国家の現在地だ。局面の戦争に負けようが勝とうが関係なく、その情報統制と愚民化政策とによって、彼らの大敗北は既に確定している。なぜなら愚は次の世代にも愚を産み、更に拡大再生産する。国家の長期的な弱体化を目指すなら、それ以上の毒物はない。ソビエト共産党とプーチンの手により、ロシアは未開の地にまで転落することになるだろう。

 

 

                             川口

 

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