難問

新婚の頃、夫の会社の人たちと泊りがけのＢＢＱをしたことがある。
名目はたしか……「親睦会」だったような。。。
小さな会社ならではのアットホームな雰囲気があった。

入籍だけのジミ婚だった私は、頃合を見て社長に挨拶に行った。
夫はその時、同僚たちと飲んでいたように思う。

社長は言った。

「いったい彼のどこがいいと思ったの？」

虚を突かれた。
そんなことは考えてみたこともなかった。

不自然なほど長く言葉に詰まってしまった私を見かねた社長が
「いいよ、いいよ、無理に言わなくても」
と言ったのと、何か言わなければ、と焦った私が
「やっぱり優しいところですね」
と妙な答え方をしたのがほぼ同時だった。
今なら即座に「それは秘密です」と茶化すと思う。（古いなあ）

でも、秘密も何もないのだ、本当は。
なぜなら、考えて好きになるわけではないから。
長所だのなんだのという理由はすべて後付け。
人を好きになるのに理由なんてないのだ。
そして、好きになってしまうと、長所ばかり見える。

今は……

短所も見えるようになった！

いや、それは正確じゃないかも。。。

絶対的な短所、というようなものがもしあるとすれば、
そういう類のものは、まだ見たことがない。

良くも悪くも互いに影響しあうと思うと、
夫の短所と見えるものの一部は、
私にも責任があるのだろうな、と思ったりする。

互いの良いところだけ、というわけにはいかないのかなぁ。

でも、まあ、水がきれいすぎると魚が住めないというから、
これでいいのかも。。。


（私の長所は能天気な楽天的なところか）


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