外科医(9年目)日記

自分さえ我慢すればいいと思って頑張ってきた。そんな僕には家族が出来た。患者も大切、家族も大切。わがままだろうか?

急変 続編

2008年08月05日 10時41分22秒 | 医療の裏話
家族はこういった。
「ここまでの2か月がんばってきたのだから後はくるしませたくない。
挿管して人工呼吸器で管理することはやめてもらいたい。。。」

もちろん、急変なのだが、癌は進んでいるし、状態も急変前よりはよくなるわけ
ではない。
家族は毎日の看病で、そういったことが分かっているようだった。
もちろん、僕たちも患者さんを簡単に死なせるわけにはいかないので、
できることならやれる限りのことはしてあげたい。

しかも、この患者の主治医は僕ではなく、夏休み中の先生だった。
勝手なことはできないが、家族の意向、本人の意向には背けない。。。

主治医の先生に連絡を取り、当然のように挿管しろと言われた。
「でも家族が望んでないんです。」
その先生もどうしていいかわからないようだった。
通常であればできる限りのことをしてください。お願いします。
といわれる。

僕の説明が悪かったのだろうか?いや、客観的に検査結果を状態を説明した
つもりだ。。。

その間にも親族がどんどん集まってくる。。。
みんなふだんからお見舞いに来てくれていたのだろう。。。
「もうひと踏ん張りだからがんばれなあ」
そう声をかけている。
息子さんから親戚たちに、かなり悪い状態であること、人工呼吸が必要である
ことが説明された。
でも、そこまで自分の父親を苦しめたくないともいっていた。。。

親戚の意見も同じようだった。
小学生くらいの孫もいた。じいちゃんの名前を必死で呼びながら泣いていた。

どうにかしてあげたいが、そうなると、挿管してICUだが、状態があまりにも
わるい。。。最後の時間を家族と一緒に過ごさせてあげたい。。。

外科医として、僕の考えはそうだった。。。

もちろんいろんな先生がいて、そんな説明もなしに、処置をしてしまう先生、
僕みたいな先生、別の考えの先生いろいろいるだろう。

正解はないと思うし、少ないコミュニケーションの時間で人が亡くなっている
ので、疑問におもっている家族もいるかもしれない。。。
でも、少ないながらの僕の経験の中での考えはある。。。

今後、今回の急変がどのように病院内で扱われていくかはわからないが、
間違ったことはしていないと思う。

。。。さんにご冥福をいのります。。              終わり



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