外科医(9年目)日記

自分さえ我慢すればいいと思って頑張ってきた。そんな僕には家族が出来た。患者も大切、家族も大切。わがままだろうか?

47歳

2008年08月22日 05時56分42秒 | 日記
3時から病院にいる。
昨日は僕の誕生日だった。準備ができず、昨日は夫婦で、軽く酒を飲んだ
くらいだったが。。。

気持ちよく寝ていた3時前、電話が鳴った。
「。。。さんの息が止まりそうです。」

。。。さんは、がんの終末期の方だ。
詳しいことはのべられないが、がん性腹膜炎という状態で、
抗がん剤も使いつくし、最後は緩和ケアをということで、うちの病院に
こられた患者さんだ。。。

腹水はたまって、おなかは苦しいし、腸閉塞もあるので、吐き気がする。
足は、血管が詰まりかけていて、パンパンに腫れている。。。
そんな状態で、病院に来られた。。。

いままで、苦しい治療を頑張ってきたから、楽になりたい。
初診でそう、はっきりと言っていたのが印象的だ。。。


子供は2人。一人は大学生。一人は中学生だ。
お父さんは、たまたまか、病気でなくなったばかりということだった。

癌の終末期の患者さんは、わがままになって、自我をなくす人も
少なからずいる中で、その人は、痛み、苦しみに耐えて、母親であり続けた
気がする。。。

娘さんは、お母さんが入院中の間は、ずっと付き添っていた。
きっと、それが、一番の親孝行であり、一番娘にしてあげられることであり、
大切な時間だっただろうと思う。。。

外科医として、何もしてあげられなかったという無力感はある。
でも、人生の最期を穏やかな形で、時間を取らせてあげられたのも、
こういう仕事について、少なからずの経験をしているからだと思う。。。

家族と、本人、娘さんが本当に感謝しているかはわからない。
死への、別れへの悲しみ、怒りが、僕に向くのは仕方ないと思う。。。

ただ、数年たって、良い時間を過ごせたのかもなあと思ってもらえれば、
緩和ケアが少しでも役に立っているのかなと思う。。。

ご冥福をおいのりします。。。



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