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アジア金融道

自称「国際金融界のインディ・ジョーンズ」(謎)がアジア各地からお届けする最新金融事情、ローカル情報、グルメ・ネタ等々。

クライシス考ふたたび

2008年10月08日 | アジア域内全般
ここのところ更新サボっていたにもかかわらず、本ブログへのアクセスがやけに増えているので、アクセス履歴をチェックしてみたところ、どうやら原因は年初にアップしたこのログのようです。サブプライム問題が表面化して間もない頃に書いた上っ面だけの「感想」なので、今頃こんなに読まれてもちょっと恥ずかしいんですが(笑)。で、その後みるみるうちにこんなことになってきて、あのころ世の中が騒ぎ始めていたことは、ほんの序章に過ぎなかったということが、日に日に明らかになりつつある今日この頃、皆さん如何お過ごしでしょうか?

Crisisさて、それこそ初めのうちは「来るぞ、来るぞ!」とか言いながら、まだあんまり「クライシス」の実感が無かったわけですが、最近「こりゃ確かに...」と感じざるを得ないのは、逆説的ではありますが、「大丈夫、落ち着いて」みたいなことを言うヒトが増えてきたこと。そういう声に限ってプルプル震えていたり、論拠が希薄だったりするんですが(笑)。97年のアジア通貨危機の時は、アジアが一方的にヤラれたわけですが、今回は全世界中が影響に晒されてるわけで、今現在味わっている「不透明感」、「底なし感」は97年の比ではないように思えます。今日の下げも強烈でしたし...。サブプライム商品の保有高が米国の数倍とも言われる欧州はまさにこれからでしょうし、米国でも12月の企業決算でドカンと底が抜けちゃうことも視野に入れる必要がありそうです。アジアはそこまで目茶苦茶なことにはならないと思いますが、本ブログでも何度か書いたように、この先「実体経済への悪影響」という形でジワジワと効いてくるはず。ここから数四半期ぐらいが正念場というところでしょう。

「入り口編」、「渦中編」と書いてきたので、あと半年ぐらいしたところで「総括編」でもアップできるといいのですが。。。(写真:ロイター)
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クライシス考

2008年01月24日 | アジア域内全般
Saleアジア通貨危機をきっかけに短期資本移動をテーマにして取り組んできた博士論文、残念ながら今年も提出が間に合わず、もう1年延ばすことになり(涙)、モタモタしてるうちに次のクライシスが来てしまいました(号泣)。少し前に慶応の竹森先生が日経の「やさしい経済学」でも書かれていましたが、

    ブラックマンデー (87年)
 → アジア通貨危機 (97年)
 → サブプライム問題 (07年)

と、危機の到来はまさに10年周期になっているのだと。原因はそれぞれバラバラだし、その因果関係は判然としませんが、すごーく平たく言うとだいたい以下のような感じではないでしょうか。 --- サスガに10年も経つころには危機の当事者たち(国や企業や個人)も元気を取り戻して、流動性が再び積み上がってくる。そのカネを動かすほうも馬鹿じゃないから同じ轍は踏まないものの、先のトラウマが忘れられかけてくる頃に、未知なる収益機会に十分なリスクの検証もないままカネが流れ込んでいく。そこでヤラれちゃうと、過剰反応で急激に流動性が収縮する。「収益機会」は、プログラムトレーディングであり、アジアへのドル建て融資であり、そして今回はCDOであったわけです。

私ごとながら、アジア通貨危機後の3年間を「次なる危機の回避」に向けたコンサル業に費やしたのですが、その当時も関係者の間で、「次のクライシスは何が原因になるのかねぇ...」なんて話をしていたことを思い出します。その後、SARSも鳥インフルエンザも津波も乗り切って経済復興に邁進してきたアジアが、まさか遠く離れたアメリカ人の野放図な消費行動に引き金を引かれるなんて、数年前までは誰も想像すらしなかったはず。

で、いざ危機がやってくると、さぁ大変とばかりに大騒ぎになってしまうわけですが、それじゃ上記プロセスのいったいどの部分がいけないのかを、考えてみましょう。

 1) 流動性が過剰になること
 2) それが新手の商品やエマージング市場に向かうこと
 3) 投資対象そのものの複雑さや不透明性
 4) そういうものに投資する投資家の知識・力量不足
 5) そういう取引を組成・仲介する業者(投資銀行や格付会社)のモラル
 6) 投資資金が急激に引き上げること

以上の6つを、×(いけないこと)△(よくはないけど仕方ないこと)、○(全然OKなこと)に分けるとしたらどうでしょう?(イキナリですが。)

気が向いたらコメントしてみて下さいね。> 皆サマ
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金融センターと為替規制

2005年09月20日 | アジア域内全般
Hubチキンライスの香りにつられてお集まりいただいた皆サマに冷水をぶっかけるようで恐縮ですが、今日は久々にまともな金融ネタで(笑)。

金融ハブ構築を目指すソウルから、すでにハブとなっているシンガポールにやって来ると、その違いってのは金融街の様子だとか会うヒトたちの雰囲気からもヒシヒシと伝わってきます。が、為替規制の部分だけを見ると、実は韓国もシンガポールもそんなに変わらないというのは結構意外。。。ソウルでは「こんなガチガチの為替規制やってるくせして、金融ハブもへったくれもあるか」っていう外資系金融の方々の声をよく耳にしました。基本的には国外での自国通貨建て取引ができないんですが、それってシンガポールもおんなじ。で、その趣旨(=自国通貨への投機圧力回避)もおんなじ。なのになぜみんな、あたかもそれが理由で韓国がシンガポールみたいな金融ハブにはなれないかのように思ってるんでしょう...。オフショア市場の存在、投資家や金融業者に対するタックス・インセンティブ等の各種優遇措置、ストレスなく英語が通じるビジネス環境、弁護士・会計士といった市場インフラ、生活環境や生活コスト等々、色んな要素が絡み合っているんでしょうけれど、シンガポールにきてからずーっとそのことをグルグル考えてます。(チキンライスのことばっかり考えるわけじゃありませんので、念の為。)

ちなみに韓国にいる外資が閉じられた市場の象徴のように語っていた為替規制ですが、2009年までには完全自由化されるんだそうです。それって韓国が「シンガポール」ではなく「日本」の道を歩むってことだと思うんですが、ホントにそれで大丈夫なんでしょうか? オフショア市場でも作って外貨建て取引の場を提供するぐらいで止めといたほうがいいのでは? それとも、わしが為替規制における両国の重要な違いを何か見落としているのか...。

皆さんはどう思われますか? なーんていうと、チキンライスの盛り上がりからうって変わってシーンとなっちゃったりして(苦笑)。
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東南ア諸国、イスラム金融を推進・オイルマネーに狙い

2005年06月06日 | アジア域内全般
Mosque今朝の日経から。またまたではありますが(笑)。それにしても世界のイスラム金融市場規模が2,500~3,000億ドルで、年15%で成長してるってのは強烈ですねぇ。。。わしは無宗教ではありますが、こういうパラレル・ワールドがこんな規模と成長率で存在してるってことに、純粋に面白みを感じます。、、、なんですけど、この分野に食指を動かす日本の金融機関って今のとことあんまりないようで、イスラム金融の取り込みを狙ってるのは殆どが欧米系のようですね。「文明の衝突」とか言いながらもしたたかにビジネスしちゃう彼らに比べると、「何となくヤバそう」とか言ってる我が国金融機関って、やっぱりウブっていうか...。旨みの枯れた後でノコノコ出ていってイタい目に遭わなきゃいいんですが。(写真はあんまり関係ありませんが、出張したブルネイのバンダル・スリ・ブガワンで撮影した国内最大のモスクです。)
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「エックス・ジャパン」

2005年06月02日 | アジア域内全般
X JAPANというと、皆さんは何を思い浮かべるでしょう? 多くの方は、小泉首相が「フォエバーラァ~ブ」と口ずさんでいたメタル歌謡バンド(爆)「X JAPAN」が思い浮かぶんじゃないかと思います。だけどアジアの金融統計を扱う仕事をする人種は、このコトバにちょっと違った思い入れがあるはず。。。というのもアジアの金融市場を考える場合、東京が余りにも巨大なため、しばしば「日本を除いたアジア」という意味で「ex-Japan」でデータを集計するんです。いつも「ぅおりゃ、日本はアジアじゃねぇのか!」って思うんですけどね(笑)。もちろんデータ比較のしやすさなんかもあるんでしょうけど、基本は「東京はそれ自体がマーケットとして自己完結してるから別格」っていうのがありありとしてるわけです。だけどバブル後の「失われた10年」の間に東京の地盤沈下が危惧されて、シンガポールや香港に拠点を移したりする企業が増えてきた中、そんな呑気なことも言ってられないってのが、金融関係者の共通認識のはず。

で、先週末に参加した金融関係の学会で、「望ましいアジア通貨体制」に関するパネル・ディスカッションを聞いたんですが、そこでこの「ex-Japan」の認識を覆す面白い議論がありました。パネリストは河合正弘伊藤隆敏両東大教授、吉冨勝経済産業研究所所長、吉野直行慶大教授っていう、この手のハナシの時は「お約束」の面々で、議論の中心は当然のように(笑)「通貨バスケット」。その何たるかはこういうのをご覧いただくとして、興味深かったのはパネリストの一部から、このバスケット通貨圏に日本も加えるべきとの考え方が示されたこと。これまでも「ex-Japan」のアジア各国に対する提言として「円・ドル・ユーロ3通貨のバスケットに自国通貨価値をターゲティングする」という議論はありましたが、その先の話として「アジア主要通貨で作ったバスケットに、日本も含めたアジア各国がターゲティングする」っていうアイデアがこういう場で議論されたのを聞いたのは初めてでした。

さすがに円単独での通貨調整の限界だとかドルのプレゼンス低下といったことを考えると、域内経済安定性のためには望ましい方向なのかも知れません。中国の資本勘定完全自由化までの道のりを考えるとまだまだ先は長いようにも思えますが、それでも「2010年には中国のGDPが日本を追い越す」なんて聞くと、いよいよ「ex-Japan」というコトバ自体が忘れ去られる日がやって来るのかな... なんて思ってしまいます。
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スリランカより: 津波被害関連情報

2005年01月10日 | アジア域内全般
先月29日にご紹介したスリランカ駐在の友人からの支援呼びかけに対し、多くの皆さまからご反響、ご協力をいただき有難うございます。

彼女、復興計画策定のため当初の帰国予定を延長することになったそうで、現地から被害状況、ドナー動向などを報告するブログを立ち上げたとのこと。現地からの貴重な報告を是非一度ご覧いただき、被害・復興状況理解の一助としていただければと思います。
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新たなアジアの「危機」: スマトラ沖地震

2005年01月07日 | アジア域内全般
50億ドルの支援を決定して被災国支援首脳会議が閉幕し、IMFも10億ドルの緊急支援を決めたようです。また今朝の某テレビ報道によると、今後疫病の蔓延などで、犠牲者は総計30万人にまで拡大する可能性があるとの予測まであるそうです。

わし、仕事でアジア各国の中央銀行の方々とお会いすることが多いのですが、97年のアジア通貨危機の話をしている時に、あるエコノミストから「次にアジア危機が訪れるとしたら、その原因は全く違ったものになるかも知れない」と言われたことが、今更のように思い出されます。

今回の被害拡大の背景としては、津波予測が遅れたことによる人災の側面も指摘されており、我が国も警報技術支援の意向を表明しているようですが、次々と生まれてくる新たなリスクに対し、我々はその表出を契機としてしか手を打てないことに、もどかしさを覚えざるを得ません。そうやって人類の英知が積み上げられていった先に、少しは安心して暮らせる世界が待っているといいのですが...。

そうなることを祈りつつ、そして、それぞれの持ち場でできることがある方はそれを全うしつつ、まずはわしらにできることからやっていきましょう。> 皆さま
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スマトラ沖地震関連義援金

2004年12月29日 | アジア域内全般
29日8時29分現在の日経記事によると、犠牲者は7万人を越える模様で、8万人に迫る可能性もあるとのこと。大変なことになってます。とりわけインドネシア(上記報道では3万2836人)、スリランカ(同・2万2493人)、インド(同・約1万2500人)、タイ(同・1574人)等の被害の甚大さは報道でご存知の通りですが、わしが仕事で頻繁に訪れている国も含まれており、厳冬のウランバートルから気をもんでいます。被害者の方々には心よりお悔やみ申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈り致します。

スリランカ駐在を終え、年明けの帰国を前に現地でこの災害を目の当たりにした同業の友人からは、義援金呼び掛けのメールをもらいましたので、以下に一部転載させていただきます。

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現在スリランカでは、2万人以上が死亡、100万人以上が避難生活を強いられていると考えられています。また、被災地は現在雨が続き、保健衛生の状態も懸念されています。
スリランカはじめ、アジアの被災地域では現在物資が足りない状況にあります。スリランカにおいては、洋服、大きなタオル・シーツ、蒸留水(きれいな水)、すぐに食べられる食物(クラッカー等)、子供用の粉ミルク等が喫緊に必要とされています。そこで、もしお力を貸していただくことが出来れば、日本赤十字等の団体を通じ、被災国にご支援を戴くことが出来れば幸いです。
また、私はスリランカの連絡先しか分からないので、義援金の送付先として、下記をご連絡させていただきますが、被害が大きいと思われるインドネシア・インド・タイ・スリランカをはじめ、10か国が被害にあっています。もしよろしければ、それら国々への義援金についても、ご協力をいただければ幸いです。

【義援金送付先】
 口座名: Embassy of SriLanka, Tokyo
 当座預金: 0470825611
 銀行名: 東京三菱銀行 広尾支店
 連絡先: スリランカ大使館
 Fax: 03-3440-6914
 E-mail: lankaemb@mba.sphere.ne.jp
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他の義援金に関しては以下のサイトをご参照下さい。
日本赤十字社
Yahoo!ボランティア (日本赤十字社、ワールド・ビジョン・ジャパン、日本ユニセフ協会、ピース ウィンズ・ジャパン)

ご協力、宜しくお願い致します。
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イスラム金融→SRI?

2004年11月17日 | アジア域内全般
英国でイスラム金融商品への規制緩和を背景に、180万人といわれるイスラム教徒向けの金融商品需要が高まっているそうです(「イスラム金融 需要拡大 – 英、規制緩和も後押し」、2004/11/17付日経金融新聞)。イスラムでは「シャリア」と呼ばれる教えに則って、金利の受払いが認められていなかったりするので、例えば住宅ローンだったら金融機関が契約者の代りに物件を購入し、購入に係る元本・利子を「家賃」という形で受け取るわけです。昨年のイスラム金融による物件取得の場合の印紙税廃止を背景に、各種住宅金融商品が開発されているとのこと。

なんかイスラム金融っていったって解釈の違いだけのような気もしますが、まあそれはそれとして、面白いのはシャリアではアルコール、たばこ、軍需、アダルト産業などへの投資が禁じられているため、イスラム金融活性化が、SRI(社会的責任投資)への資金流入につながるとの見通しがあるっていうこと。近時にわかにCSRだのSRIだのって騒ぎはじめた欧米諸国と、遥か昔からそういうことが教義に組み込まれているイスラム社会との接点がこんなところに出てくるなんて、面白いと思いませんか?文明も「衝突」するばっかりじゃなくて、こういうところから融和していったらいいのに...なんて思っちゃいます。
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