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アジア金融道

自称「国際金融界のインディ・ジョーンズ」(謎)がアジア各地からお届けする最新金融事情、ローカル情報、グルメ・ネタ等々。

クライシス考

2008年01月24日 | アジア域内全般
Saleアジア通貨危機をきっかけに短期資本移動をテーマにして取り組んできた博士論文、残念ながら今年も提出が間に合わず、もう1年延ばすことになり(涙)、モタモタしてるうちに次のクライシスが来てしまいました(号泣)。少し前に慶応の竹森先生が日経の「やさしい経済学」でも書かれていましたが、

    ブラックマンデー (87年)
 → アジア通貨危機 (97年)
 → サブプライム問題 (07年)

と、危機の到来はまさに10年周期になっているのだと。原因はそれぞれバラバラだし、その因果関係は判然としませんが、すごーく平たく言うとだいたい以下のような感じではないでしょうか。 --- サスガに10年も経つころには危機の当事者たち(国や企業や個人)も元気を取り戻して、流動性が再び積み上がってくる。そのカネを動かすほうも馬鹿じゃないから同じ轍は踏まないものの、先のトラウマが忘れられかけてくる頃に、未知なる収益機会に十分なリスクの検証もないままカネが流れ込んでいく。そこでヤラれちゃうと、過剰反応で急激に流動性が収縮する。「収益機会」は、プログラムトレーディングであり、アジアへのドル建て融資であり、そして今回はCDOであったわけです。

私ごとながら、アジア通貨危機後の3年間を「次なる危機の回避」に向けたコンサル業に費やしたのですが、その当時も関係者の間で、「次のクライシスは何が原因になるのかねぇ...」なんて話をしていたことを思い出します。その後、SARSも鳥インフルエンザも津波も乗り切って経済復興に邁進してきたアジアが、まさか遠く離れたアメリカ人の野放図な消費行動に引き金を引かれるなんて、数年前までは誰も想像すらしなかったはず。

で、いざ危機がやってくると、さぁ大変とばかりに大騒ぎになってしまうわけですが、それじゃ上記プロセスのいったいどの部分がいけないのかを、考えてみましょう。

 1) 流動性が過剰になること
 2) それが新手の商品やエマージング市場に向かうこと
 3) 投資対象そのものの複雑さや不透明性
 4) そういうものに投資する投資家の知識・力量不足
 5) そういう取引を組成・仲介する業者(投資銀行や格付会社)のモラル
 6) 投資資金が急激に引き上げること

以上の6つを、×(いけないこと)△(よくはないけど仕方ないこと)、○(全然OKなこと)に分けるとしたらどうでしょう?(イキナリですが。)

気が向いたらコメントしてみて下さいね。> 皆サマ

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7 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (ばぶるばすたー)
2008-01-25 00:45:43
1)○
2)○
3)複雑さは○、不透明性は△
4)プロなら○(というか、それでプロか?)セミプロなら△
5)×
6)△

でも、リスクを訳のわからない素人にリスク押し付けて儲けるのが投資銀行業務だから、当該業務に携わっている身からすれば、適切なことしているとなるんで、しょうがないんですけどね。。。。。
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Unknown (TS)
2008-01-25 09:51:00
ブログ再開ありがとうございます。

1)△
2)○
3)△
4)×(理解できないものに投資すべきではない)
5)×(わかっていてやめられなかった分)
6)△(パニックはよくない)

という感じです。頭の整理になりますね。
返信する
博士論文 (Yoichiro)
2008-01-27 17:55:34
頑張ってください!僕も似たようなトピック「中所得国のクライシスとエコノミック・ガバナンス」で博士論文を書きました。もし、興味があるようでしたらお送りいたします。でも、2004年に完成したやつなので少し古くなっていますが。
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Unknown (わし)
2008-01-28 14:37:36
早速どうも有難うございました。> ばぶるばすたーさま、TSさま

わしのは大体こんな感じです。

1)△: 今日の日経で、グリーンスパンの「私の履歴書」にも同じような話がありましたね。まぁ、過剰になることの弊害はあるものの、金融政策でのコントロールには限界があるという意味で△。

2)○

3)複雑さ→○、不透明性→×: 投資対象として提供される以上、対投資家での不透明性は×。世の中に対する透明性は必ずしもその限りではありませんが。

4)×: TSさんの仰るように、理解できないものには投資すべきじゃないでしょうね。

5)×: ヤバいと知りながら売ってた分は、そりゃアウトでしょう。今回は前の2つの危機に比べて、その割合が高かったのではないかと思います。

6)△: これって実は4)とも絡んでいで、皆が投資対象をきっちり理解できていれば、ここまでのオーバーシュートはしないんじゃないでしょうか。まぁ自分は理解できていたとしても、皆がお互いに自分以外のことを「馬鹿」って思っていたら同じことは起こってしまいそうですが。。。

ばぶるばすたーさんの「リスクを訳のわからない素人にリスク押し付けて...」っていうコメント、投資銀行時代を思い出して苦笑してしまいましたが、今回のクライシスはまさに1)原資産のリスクが野放図に拡大したことと、2)それが証券化を通じて素人にバラ撒かれたことが、ダブルで効いたようで。でもって、自分で商品作るほど「玄人」である筈の欧米金融機関が一番ヒドくやられているってのが、アジア通貨危機との対比で興味深いですね。あの当時、素早く資金を動かしてアジア経済からハシゴを外した欧米金融機関が、今回は自分達がハシゴ外されちゃったワケで、自分でも制御できないぐらい投資対象が複雑化してるってことなんでしょうか...。
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Unknown (わし)
2008-01-28 20:02:38
はるばるアフガンから有難うございます。> Yoichiroさま

ブログ、いつもドキドキしながら(笑)拝見してます。
論文、是非ぜひ参考にさせて下さい!
別途ご連絡させていただきますね。
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Unknown (ばぶるばすたー)
2008-01-29 02:38:02
ども、お久です。>わしさん

ついに国内不動産マーケットもよれてきたので、カナリア買い(はげたかじゃないよーん)出動できるので、グフフと思っています。

さて、「皆がお互い自分以外のことを「馬鹿」って思っていたら同じことは起こってしまいそうですが。。。。。」というのはまさに市場の様子を表す良い例ですね。なんか国内不動産も似たような様相です。とほほ。


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Unknown (わし)
2008-01-29 09:28:57
ガッツリお稼ぎ下さいね。> ばぶるばすたーさま

> なんか国内不動産も似たような様相

まさに囚人のジレンマですね。そういえばコレに絡んで、今朝の日経の「大機小機」欄に何だかトンチンカンなことが書いてありましたが(笑)。
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