１、訪問したロマネスク修道院＆教会で今回紹介するもの
私が旅行した地図に、今回紹介するロマネスク修道院＆教会をプロットした。訪問した時系列とは異なるが順次紹介していくこととする。
１、セナンク修道院、付属教会
これはリュベロン地方にある修道院で、「セナンク修道院」「シルバカーヌ修道院」、少し離れているが「ルトロネ修道院」を合わせて「プロバンスの三姉妹」と呼ばれている。私がロマネスク修道院＆教会を周ろうと思ったのも、この言葉の響き、そして青山先生の講義に魅せられたからである。
上の図はセナンク、シルバカーヌ修道院とリュベロン地方の主要村落が載っている。ただし、ルトロネ修道院はこの地図より、もっと東の方にある。
私はアビニョンに泊まり、その宿主の車、その宿主の知り合いの女性のドライバーと言う組み合わせで10/18朝9:00宿を出発した。あいにくの雨模様であったが素晴らしいツアーを楽しめた。
まずセナンク修道院に行く。ここはゴルドと言う村の奥のほうにある。
この修道院は春はラベンダーの花で有名で、修道院前がラベンダー畑となっている。多分この畑も自給自足の一環だったんだろう。
●セナンク修道院遠景 手前にラベンダー畑が見える。
●修道院外観絵図
さて到着し、入り口に行くと「今日は14:００から開館」とのこと、いや～それはないだろうとは思うが、しょうがない、他を回って最後に来るかと思い、修道院の周りをぐるっと回ると、途中で教会堂の鐘が鳴った。時計を見ると、あれ正時ではない おかしいなと思いながらさらに回ると入付属教会堂のり口があり何やら人が入っていく。我々もそれについて入っていくと、なんとミサが始まったところだった。先ほどの鐘はミサの開始の鐘だったんだ。
ミサの最中で写真は遠慮したが、
信者は２０人程度、内陣では司祭がミサを執り行っている。そのうちに讃美歌が始まった。カトリックのミサは何回か参観したが、厳かな中にも華やかで、特に司祭の歌声が素晴らしい。聖歌隊の声と相和し、神々しい。また説教の声も教会内に陰々と反響するのも神々しい。ある本によるとロマネスクの教会堂は殊の外音響がいいそうだ。また終わりには司祭が参列者全員に両手で握手して回るのも好ましかった。
内部の他の見学は出来なかったが、それに余りある経験をさせて頂いた。
２、シルバカーヌ修道院、付属教会
ゴルドに戻り、メネルブ、ボニューと言う村落を通り、シルバカーヌ修道院、付属教会に到着。ここも見学開始は14:00からで、ちょうどその時刻に到着しラッキー！
ここはすでに「現役」ではなく、博物館となっている。現役でないので「使用感」がないことは事実。良い面と悪い面があるが・・・。
●修道院、付属教会の平面図
●平面図
まず図面の右下の入り口から付属教会堂にはいる。まずどんと目に入るのが、祭壇の向こう奥の三つの窓である。これはキリスト教における「三位一体」すなわち、父と子と精霊 である。内陣から入り口を見ても同じように三つの窓が見える。
そして身廊の両側に側廊が両方にある。
祭壇の付近で声を出してみる。なるほどよく響く。
音響効果がいいのではあるが、少し賑やか目の音楽では響き過ぎて煩かろうと思った。
構造的に見て見ると、
・石材が構造部材である。
・開口部（窓、入り口）が少なく、小さい。
・身廊の天井はトンネルボールトと横断アーチで構成されている。
・身廊と側廊の間は、大アーチとシャフトで区切られている。
次に内陣を背に右手方向に進み、少し階段を上ると寝室がある。
ここもまず構造的に見て見ると
・トンネルボールトと横断アーチで構成されている。
・側壁にはアーチ状の小さな窓が連続的に開いている。
修道士はこの石の上に、藁を敷きベッドにして休んだという。
静逸で、厳かな雰囲気である。ここで休んだらどのような思いが巡り、どのような夢を見るのだろうか。
また窓から差し込んでくる光も神秘的な感じがする。随分壁が厚いのも見て取れる。
上の写真の真ん中の階段を降りていくと、回廊に出る。
ここの壁も厚い。他の修道院の回廊は柱で支えられているのが大半だが、ここはアーケード形式で支えている。アーケードの石に何か彫刻したようなものも見えるが、総体的には無骨である。従ってよく見られる柱頭彫刻もここでは無い。
そして食堂。ここも結構広い。中にはコンテンポラリーな絵が飾ってあった。
写真右奥の階段を降りていくと炊事場に出る。
二つの修道院を回ったが、いかにもロマネスク、いかにも禁欲的シトー派の修道院の雰囲気を味わい大変素晴らしき一日を過ごせた。
